甲南大学フロンティア研究推進機構

KONAN INFINITY

次世代のエコなキノコ栽培

キノコの新しい栽培方法の開発

特別客員教授
田中 修

キノコの人工栽培の問題点とは?

 一年中、毎日、シイタケ、エノキタケ、エリンギなど、多くの種類のキノコが市販されています。これらは、毎日、山で収穫されているわけではなく、人工的に栽培されているのです。人工栽培にはいろいろな方法がありますが、代表的なのは、木を切るときにでるオガクズに栄養として米ぬかを加えて、栽培容器に詰めて行われるものです。しかし、オガクズは使い捨てであるため、近年のキノコ生産の増加に伴い、廃棄物の処理が問題となります。また、オガクズ供給のための森林伐採による環境問題や、将来のオガクズの供給不足が危惧されます。そこで、オガクズを使用せず、再利用できるおしぼりやタオルを用いてキノコを栽培する方法を開発しました(図1)。

おしぼりやタオルの繊維素材でキノコを育てる!

 おしぼりやタオルなどの繊維素材を用いる新しい栽培方法を、繊維や布地を意味する「ファブリック」という語を用いて、「ファブリック・キノコ栽培」と名づけました。この方法では、オガクズの代用となる繊維素材は、市販の洗濯機で洗浄して、再利用できます。そのため、オガクズの使い捨てに伴う問題は解決されます。その上、洗浄された繊維は清潔であるため、培地の滅菌が大幅に簡易化されるという利点があります。また、栄養として、米ぬかを粉末で用いず、成分を液に抽出する方法を開発しました。この栄養抽出液を繊維に吸収させることで栄養条件を高めることができ、大きなタオルを用いると、キノコの大幅な生産性の向上がもたらされます(図2)。

この研究の今後の展開は?

 この方法は、新聞やテレビなどのメディアで紹介され、2013年、日本きのこ学会でポスター賞優秀賞を受賞し、社会的な評価を受けています。ただ、これが産業的に使われるには、既存の栽培設備の大幅な変更が必要なため、実用化に至っていません。そこで、将来、この方法が産業的に実践されることを願って、現在、栽培ノウハウを蓄積し、この方法の付加価値を高めることに努めています。具体的には、家庭用、教育用に普及させるため、球状の繊維に菌糸を繁殖させてキノコを発生させる“キノコの球根栽培”(図3)の方法を確立し、米ぬかの成分抽出液を、現在の栽培方法に用いて生産性を高めることや、キノコ菌糸以外の微生物の培養に用いることに取り組んでいます。


田中教授 プロフィール
2016年12月08日作成

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