甲南大学フロンティア研究推進機構

KONAN INFINITY

「空間経済学」で日本と世界を知ろう

イノベーションダイナミクスと空間経済の発展

特別客員教授
藤田 昌久

参勤交代からイノベーションを学ぶ

 様々な地理的空間が影響し合うダイナミックな経済を対象とする新しい分野である「空間経済学」を更に発展させ、イノベーションが次々に生まれる社会の理論を研究しています。その鍵は有名な格言「三人寄れば文殊の知恵」にあります。つまり、多様性から新たなアイディアが生まれ、次々とイノベーションが起こります。この考えを数学モデルとして理論化し、例えば、なぜ江戸時代に日本中で多様な文化が栄えたかを解明しています。右図のように、独自の文化を持つ三百近くの藩の多様な文化が、参勤交代を通じて江戸に持ち込まれ、融合されて生まれた新たな文化が逆に参勤交代により地方に持ち込まれ、更に多様な独自の文化が生まれました。このように江戸をプラットホームとして、日本中に多様な文化が発展していったと理解しています。

東日本大震災からの創造的復興に向けて

 2011年3月の東日本大震災により、東北地方は甚大な被害を被りました。特に、三陸海岸沿いの多くの市町村は壊滅的な被害を受け、現在も復興の見通しは明るくありません。震災直後から被災地の現場をおよそ半年ごとに訪れて(左の石巻被災地の写真を参照)、空間経済学の視点より、被災地域の創造的復興に向けて研究を進めています。特に、三陸海岸沿いの一連の市町村が、相互の役割分担と連携のもとに、水産業と観光業を中心とする新たな産業クラスターと町づくりを進め、創造的に復興していくための総合的な地域政策について研究しています。

多様性を生かしたアジアの新たな発展

 東アジアは過去30年において、組み立て型製造業を中心とする高度な生産ネットワークと産業集積を築き、「世界の工場」として発展してきました。しかしながら東アジアが更に発展していくためには、「世界の創造拠点」として、欧米と比較しうる成熟した経済社会に脱皮していく必要があります。幸い、東アジアは民族や文化の違いにおいて、欧米よりもはるかに多様性に富んでいます。例えば2013年に空間経済学について招待講演を行った中国四川省成都の西南民族大学(右の写真参照)には、50以上の民族出身の3万人の学生がいます。東アジアにおけるこのような多様性を潜在力として生かしながら、東アジア大の知識創造社会を構築するための、知のネットワークづくりについて研究を進めています。


【研究助成】
○ 科学研究費助成事業 基盤研究(A)(平成26年度~28年度)
 イノベーションダイナミックスと空間経済の発展

2016年12月08日作成

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