甲南大学フロンティア研究推進機構

KONAN INFINITY

人工の小型タンパク質で広がる未来のナノバイオ

ナノやバイオへの応用展開を目指した人工ペプチド
(小型タンパク質)の創製

フロンティアサイエンス学部 生命化学科 准教授
臼井 健二

ペプチドと核酸が組み合わさった特殊なナノ構造

 ペプチドと核酸(DNAやRNA)を組み合わせたnmサイズの新規構造体の作製を目指しています。核酸には二重らせん構造のほかに特殊な四角い構造の四重鎖構造というものがあります。この構造は疾病や老化などに関与しています。本研究では人工のペプチドを作製して、ある環境では、特定の配列に結合して、特殊な四重鎖構造に似たペプチド-核酸の複合構造を形成させ、別の環境ではもとの核酸のみの構造に戻るという構造のスイッチが可能となるシステムを構築しています。目的タンパク質のコードしてあるDNAの上流にこのスイッチを配置すれば、環境変化や刺激による構造変化によって、タンパク質の発現のスイッチが可能となる素子が構築でき、バイオテクノロジー分野への貢献が期待できます。

ペプチドをビーズなどに固定化した装置

 ペプチドをビーズなどの固相担体に固定化し、さらに自由自在に固相担体から切り離しができる装置を開発しています。固定化したペプチドは、水などに溶けているペプチド(溶液状態)よりも、精製などの工程を省略できる可能性があり、安価・容易な生産が期待できます。また、溶液に比べ、操作・取り扱いも簡便です。これらの特徴を踏まえ、我々はこれまで、次世代診断装置であるマイクロアレイ、薬物や化粧品のアレルギー感作性検査装置、調製が難しいタンパク質やペプチドの作製支援装置などを開発してきました。本研究は今後も、医学・工学のはば広い分野における検出・測定デバイスの開発やタンパク質・ペプチドを用いる医薬・化粧品などの生産に大いに貢献できることが期待されます。

ペプチドを使って無機物の沈殿を制御する

 歯や骨などの形成もタンパク質が緻密に制御しています。ペプチドも、炭酸カルシウムのような金属・無機物をイオンの状態から固体化させる、ミネラリゼーション(無機物の沈殿)を制御できますが、まだまだ人工的に精密に制御することは難しい課題となっています。本研究では、人工のペプチドとDNAを利用して、無機物沈殿の制御を試みます。 具体的にはDNAの好きな場所に人工の無機物沈殿制御ペプチドを配置させて、ペプチド部分のみに無機物沈殿を促すことで、DNAとペプチド、無機物からなる、形状が制御されたナノ複合体の作製を目指しています。本研究により、無機物沈殿の精密制御の基礎的な手法が確立でき、バイオだけではなくナノへの貢献も期待できます。


【研究助成】
○ 科学研究費助成事業 新学術領域研究(平成27年度~平成28年度)
 ペプチドと核酸の人工複合二次構造を用いた刺激応答感覚素子の作製

臼井准教授 ホームページ
2017年 1月11日作成


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