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甲南大学の研究力

細胞の運命を決める核酸の非標準構造

核酸の構造と機能を、定量解析する、分子設計する、自在操作する!

フロンティアサイエンス学部 生命化学科 教授

三好 大輔

細胞の運命を決める核酸の非標準構造

DNAやRNAといった核酸の構造は、と聞かれると二重らせん構造を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、核酸は、二重らせん構造以外の非標準構造も形成できます。その代表が四重らせん構造です。四重らせん構造は、細胞寿命を決めるテロメアやがん関連遺伝子、様々なRNAで形成されています。 我々の研究室では、この四重らせん構造の形成の仕組みや、細胞の中での実際の構造を解明するために、物理化学的な方法で研究をしています。これまでに、テロメアが形成する四重らせん構造が連なった数珠構造などを解明しています。

細胞内の分子環境を化学的に知る

核やミトコンドリアが浮かぶ細胞の模式図を見たことがありますか?細胞には、タンパク質や核酸などの分子が大量に存在します。その量は、1L当たり400gにも達し、細胞の体積の約40%を占めています。この値は、ダイヤモンド結晶の充填率より高いことから、細胞内部は水のような液体とは全く異なった状態にあるといえます。このように分子が込み合った状態を分子クラウディングといいます。 我々は、分子クラウディングで核酸の二重らせん構造が不安定化し、それ以外の非標準構造が安定化することを見出しました。さらに、細胞を精密模倣した実験系を構築して、細胞内の核酸の物性予測や機能性分子の設計に役立てています。

がん遺伝子を狙った光線力学療法の開発

細胞のがん化に関係するがん関連遺伝子には、四重らせん構造を形成する部位が多く存在します。またがん関連遺伝子から作られるmRNAも四重らせん構造を形成します。この四重らせん構造を制御することで、がん関連遺伝子の機能を阻害できます。 我々は、がん関連mRNAが形成する四重らせん構造に特異的に結合する化合物を発見しました。さらにこの化合物に光を照射することで、活性酸素を発生させ、標的のがん関連mRNA四重らせん構造のみを特異的に切断する「分子標的型光線力学療法」の開発を試みています。この分子標的型光線力学療法は、低い副作用と高い薬効のがん治療につながると期待できます。

【研究助成】

○科学研究費助成事業基盤研究(B)(2015年度~2017年度)

DNA・ヒストン・オズモライトの三元効果による遺伝子発現人工制御系の構築

○科学研究費助成事業挑戦的萌芽研究(2016年度~2017年度)

がん細胞特異的mRNAの四重らせん構造に対する分子標的型光線力学療法の創製

 

2017年度より掲載