ゼミの紹介
19世紀アメリカを代表する小説家の一人であるナサニエル・ホーソーンは長編小説を4作完成させていますが、その4作品を毎年1作ずつ4年間かけて研究します。3年目の2016年度のセミナーでは長編第3作『ブライズデイル・ロマンス』を研究します。作品を精読しながら、基本的には神中心のピューリタニズムと人間中心のロマン主義(トランセンデンタリズム)の対立構造を中心に読み解いていきたいと思います。『ブライズデイル・ロマンス』は作者のホーソーンが実際に参加した実験農場ブルック・ファームをモデルとしています。ホーソーンとは思想的に相容れなかったトランセンデンタリストたちが企てたユートピア運動でしたが、ホーソーンは大方の期待を裏切って参加しました。ホーソーンの側における思想的葛藤や、運動の思想的バックボーンであったトランセンデンタリズムがフーリエ主義へと変遷していくあたりの文化的、思想的背景を視野に入れながら研究を進めていきます。
【教科書】
Hawthorne, Nathaniel. The Blithedale romance. Norton
【参考書】
青山義孝『ホーソーン研究――時間と空間と終末論的想像力』英宝社
ゼミの進め方
セミナーでは、毎週1章の割で作品を読み進めていきますが、毎回全員参加の発表形式で進めます。
これまでの卒論テーマ
- 「エミリ・ディキンソン —その詩の世界—」
- 「『黄色の壁紙』から読み取る狂気」
- 「『目覚め』におけるエドナの自己発見と自己破壊」
- 「『フォレスト・ガンプ』――アメリカが生んだマイノリティ・ヒーロー」
- 「『遠い声 遠い部屋』におけるトルーマン・カポーティ」
- 「1969年の若者たちと二つのフェスティバル」
- 「『怒りの葡萄』におけるジョン・スタインベックの主張」
- 「映画『イージー・ライダー』における旅とアメリカ」
その他
担当者の関心
アメリカ文学。学際的な見地から19世紀のアメリカ文学を中心に研究している。
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