ゼミの紹介
本年度のセミナーはルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』を使用してイギリス文化の諸相を検討していこうと考えています。
ルイス・キャロルが生きた時代は、遠いかなたのようでもありますが、イギリスで自動車が国内生産されはじめた時期でもありました。キャロルが書いた作品にはヴィクトリア朝の価値観のみならず衣食住が色濃く染み込んでいます。そこで『不思議の国のアリス』をたんに児童文学としてとらえるのではなく、もっと大きく文化の集積とみなし、その文化の一片、一片を丹念に読み解いていきたいと思います。
またキャロルの作品は、翻訳、視覚化されて、サブカルチャーの豊かな水脈を現代文化にも反映させています。音楽、映画、美術、ファッションなどの比較文化からの検討も大いに興味深いものをもたらしてくれるでしょう。
[テキスト]
Lewis Carroll, Alice’s Adventures in Wonderland and through the Looking-Glass (Oxford World’s Classics, 2011)
ゼミの進め方
前期は全員で『鏡の国』を読んでいき、各章からそれぞれテーマを抽出し、それについて話し合い、討論していきましょう。前期のそうした助走をえて、後期は各自のテーマを絞っていき、それらを発展させていきましょう。セミナー参加者全員による検討をえて、各自のテーマを追究していくことは、卒論の作成のみならず、将来につながる経験となるでしょう。
これまでの卒論テーマ
- 「ウィリアム・モリスの夢 ―ユートピアとデザイン―」
- 「『不思議の国のアリス』のニセウミガメとイギリスにおける食の問題」
- "The Contribution of Vogue for the Rapid Change of Female Aesthetic in 1920s"
その他
担当者の関心
19世紀後半から20世紀前半のイギリス文学・文化を研究している。
→ 研究者情報