Kansai Circle of Psycholinguistics
関西心理言語学研究会 (KCP)

About KCP

関西心理言語学研究会(KCP)とは、心理言語学に関するオープンな勉強会/読書会/研究会として,2010年に小野創(現・津田塾大),中野陽子(関西学院大学),中谷健太郎(甲南大学)を中心に開設されました。

「心理言語学に興味はあるけれども,勉強する機会があまりなかった」という学生・院生さんたちに心理言語学のおもしろさを伝え,心理言語学という若い分野を関西の地に根付かせたいという思いで立ち上げた会ですので,予備知識のない人も大歓迎です。ぜひ,お気軽に遊びに来てください!

現在は,田中幹大(甲南女子大学),中野陽子(関西学院大学),中谷健太郎(甲南大学)の三名を中心に会を開いています。心理言語学,特に人間による言語処理の研究は,仙台、東京、広島、福岡で活発に行われているものの,関西圏においてはまだ萌芽状態だと言えます。心理言語学は実験研究ですので,院生さんを含めたチームによる研究が望まれます。ぜひ関西にも心理言語学研究を根付かせたいと我々は考えています。よろしくお願いします。

Visiting a KCP meeting for the first time

KCPに興味ある,初めて参加してみたいという方は下にあるKCP研究会予定の日時・場所にいきなり飛び入りで来ていただいてけっこうです。

研究会に行く前に,ひとこと参加表明しておきたいという方は,下の「Contact」のメールフォームで中谷まで一言メールを送っていただくか,また,田中さん,中野さんのお知り合いの方は,そちらに一声かけてもらってもかまいません。

Mailing List

  • メーリングリスト:http://groups.google.com/group/kcp-ml
    MLでは,研究会お知らせなどを配信します。どなたでも参加いただけます。月に1, 2回の少ない配信ですので,お気軽にどうぞ。
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    (なお,当MLはgoogleの機能ですが,もちろんgmailアドレス以外での登録もできます)
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  • お問い合わせ: メールフォーム(中谷)
    (田中・中野のアドレスをご存じの方はそちらへお問い合わせいただいてけっこうです。)
  • What's new

    季節もすっかり秋となりました。みなさまにおかれましてはお変わりありませんでしょうか。

    関西心理言語学研究会(KCP)の次回研究会が決まりましたのでお知らせします。ふるってご参加ください!

    第49回 KCPミーティング

    【日時】10/7 (土) 13:00--15:00
    【場所】関西学院大学の梅田サテライトキャンパス 1401教室(14 階)
    http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/
    (阪急梅田 茶屋町口を北に徒歩5分)

    【発表者】Kentaro Nakatani (Konan University)
    【発表タイトル】Anti-locality effects of surprisal: A case of negative polarity items in Japanese
    【要旨】
    *This is a practice talk for a JK25 satellite workshop “East Asian Psycholinguistics”.

    An interesting aspect of locality effects––slowdown effects caused by long-distance dependencies (Gibson, 2000; etc.)––is that they are often difficult to find in head-final languages (Konieczny, 2000; Konieczny & Döring, 2003; Nakatani & Gibson, 2008, 2010; Vasishth & Lewis, 2006). A number of researchers have reasoned that growing expectation for a head in the course of processing cancels out, or even overrides, the cost of retrieving a distant target word (Konieczny & Döring, 2003; Hale, 2001; Levy, 2008).

    Nakatani (2014) introduced a slightly different perspective to this issue by examining the effects of locality in the processing of ungrammatical inputs in Japanese. In that study, I found a strong anti-locality effect of surprisal: local NPIs incurred greater RTs at the affirmative (ungrammatical) predicates than distant ones. A question remains, however, as to whether this effect is peculiar to a case of failed processing of ungrammatical strings, something not found in normal processing.

    The present study addresses this issue by examining a grammatical combination of NPIs and affirmative predicates in Japanese by utilizing the so-called bridge expressions (Kato, 1985), such as [Clause] koto-ga nai “(lit.) [Clause] experience-Nom lack” = “have no experience of [Clause]”. NPIs in Japanese can be licensed in this construction, in which case NPIs would be temporarily matched with affirmative predicates in the course of processing before licensed by the negative element nai.

    A self-paced reading experiment was conducted using a 2x2 factorial design crossing the Locality factor (local vs. distant) and the NPI factor (NPI subject vs. nominative subject). The results revealed a significant interaction between the two factors at the spillover region, such that there was a strong anti-locality effect within the NPI conditions but not with the nominative control. This shows that the anti-locality effect of surprisal is not a peculiar property of a processing failure.

    I interpret this to be an indication of modular, bottom-up processing within a local window (Frazier & Fodor, 1978; Tabor et al., 2004; etc.).

    <発表者募集> 随時発表者を募集しています。研究の途中経過の発表も歓迎します。研究に行き詰まったらむしろ発表してみませんか? 行き詰まっていない発表ももちろん歓迎です!

    過去の研究会


    第48回 2017.7.15 (関西学院大学梅田サテライトキャンパス)

    【発表者】早川 杏子(関西学院大学)
    【発表タイトル】日中間における同形および非同形の漢字語処理―中国人日本語学習者を対象とした聴覚・視覚の両側面からの検討―
    【要旨】
    現代の日本語と中国語の間には、「教育」や「停電」など、書字や意味を共有する同形の二字漢字語が数多く存在する。日本語を第2言語として学ぶ中国語学習者にとっては、こうした語彙の存在が、語彙学習やリーディングの負荷を軽減してくれるという正の側面がある一方で、音韻的には、必ずしも日中間で類似性が高いとは言えないことが指摘されている(茅本 1995,早川 2017)。また、日本語の二字漢字語には、中国語には存在しない日本語独自の漢字語(例:番号、配達)や、中国語と字順が逆転した漢字語(例:(日)短縮-(中)縮短、(日)許容-(中)容許)なども存在している。これまで、中国人日本語学習者の聴解処理においては、中国語と非同形である日本語独自の漢字語が、中国語と同形の漢字語よりも速く処理されることが報告されている(早川 2010,2012)ものの、字順が逆転した漢字語の認知処理については、いまだ視覚・聴覚ともに詳細に検討されていない。そこで、本研究では、日本語の語彙性判断実験によって、聴覚および視覚の双方から、中国人日本語学習者の同形語・非同形語の漢字語処理について検討した。その結果、字順が逆転した漢字語には一貫した結果が見られたが、その他の漢字語は聴覚処理と視覚処理において、異なる傾向が見られることがわかった。


    2017.6.10 第42回 関西言語学会 第42回大会(於 京都大学)
    関西言語学会(KLS)ワークショップ

    【発表者】中谷健太郎(甲南大学),中野陽子(関西学院大学),田中幹大(甲南女子大学),青木奈律乃(甲南大学院)
    【タイトル】パソコンがあれば出来ることばの実験研究の実際
    【要旨】
     今日,言語学における実験的アプローチの重要性はますます増している。その理由の一つとして,現代言語理論の転機であったチョムスキーのAspectの出版から半世紀余りが経過し,英語や日本語のように研究が進んだ言語において主要な文法性判断がかなりの程度出揃い,それにともない,判断に揺れが見られる文法性判断に基づいて言語能力についての理論を築くことの危険性が反省されるようになったことが挙げられると考えられる。また,実験手法の発達とコストの低下により,多くの研究者が実験を実行しやすくなったという事情ももちろん大きく影響しているだろう。そのような研究史的な流れの中で今後は,単純化された「言語能力」対「言語運用」の二項対立を超えて,動的な言語理解・産出と静的な言語知識の双方を合理的に説明できる言語モデルの探求がより求められるようになるだろう。

     しかし日本におけることばの実験的アプローチによる研究は,特に関西圏において(少なくとも当ワークショップ発表者が)期待するほどは広がっていないように思える。その理由はいくつもあると思うが,そもそも「やり方が分からない」という身も蓋もない躓きがあるのではないかと想像される。

     当ワークショップではそういう「関心はあるがそもそもやり方が分からない」という研究者,あるいは研究者の卵をオーディエンスに設定し,コストも機材も最小限で済み,複雑な技術がなくても実行できる実験手法を紹介し,デモンストレーションを行う。研究成果ではなく,実験手法のチュートリアルに特化する。(使用するソフトウェアなどの詳細は事前に関西心理言語学研究会(KCP)のウェブサイトに掲載予定)

     青木はクラウドソーシング・サイトLancersを介し,無料のクラウド実験サービスIbex farmを利用した容認性判断実験の手法,中谷は無料ソフトLingerを利用した自己ペース読文実験の手法,中野は無料ソフトのDMDXと市販のゲームパッドを用いて,語彙判定課題や,形態素処理の研究に使われている閾下プライミング課題(マスクをかけた刺激を,呈示されたことに気づかない程短時間呈示した後,ターゲット語を呈示してその効果を調べる課題),田中は,E-Primeを利用した,代表的な言語産出の実験方法(絵描写タスク,文再生タスク,談話スクリプトタスクなど)の手法をデモンストレーションする。

    アプリ,スクリプトなどのダウンロードリンク:

    1. Introductionのスライド(中谷)
    2. 容認性判断(青木)
    3. 自己ペース読文課題(中谷)
    4. 語彙判定課題/プライミング(中野)
    5. 言語算出(田中)

    第47回 2017.5.27 (西宮大学交流センター)

    【発表者】井上雅勝(武庫川女子大)・藏藤健雄(立命館大)・松井理直(大阪保険医療大)
    【発表タイトル】日本語量化文解釈の方略と選好性について
    【要旨】
    「XがYをVしたZに〜した」のタイプの文において、XとYがともに裸名詞(裸—裸)の場合やともに量化されている(二重量化)場合に比べて、X, Yのいずれか一方が量化される(片側量化)場合には「Zに」の語句でガーデンパス(GP)効果が低下する(井上他, 2008)。この観察から、二重量化では裸—裸のようなグループ解釈が行われているが、片側量化では、オンラインでの量化計算の際、文構造の決定が保留され、その結果GP効果が軽減すると考えられる。本研究ではこの仮説を検証するために、新たに開発した独自の方法により裸—裸、二重量化、片側量化の解釈パターンを調査した。しかし、二重量化と片側量化の間でグループ解釈の割合に差はみられなかった。一方、二重量化では、適切に量化計算しているとはいえない解釈の割合が片側量化に比べ有意に高かった。本発表ではこの量化方略の違いがGP効果に影響を与えている可能性を指摘する。


    第46回 2017.4.15 (西宮大学交流センター)

    【発表者】Mikihiro Tanaka (Konan Women's University)
    【発表タイトル】The Production of Metonymy: Evidence from Priming
    【要旨】
    Figurative language such as metonymy (e.g., I bought Dickens instead of I bought Dickens’ book) is widely used in everyday conversation. While several psycholinguistic studies have investigated the comprehension of metonymy, little is known about how metonymic expressions are constructed.

    The present study reports an experiment that investigated whether speakers prime metonymic expression in Japanese sentence production. In a recalled-based sentence production task (Ferreira, 2003), speakers encoded two sentences (the Prime and filler) into memory, then were asked to produce the Prime. Then speakers were presented with the Target and filler sentence, and were prompted to produce the Target. I examined the form of participants' subsequent Target descriptions. There were three prime conditions: metonymic, non-metonymic or literal expressions (1). For recalling Primes and Targets, they comprised a subject NP only, allowing a metonymic or non-metonymic completion (2).

    Results showed that participants were more likely to recall the metonymic expressions correctly after recalling the metonymic expressions than after recalling the non-metonymic and literal expressions as the Primes. Also, the difference of the proportions of the non-metonymic and literal expressions was not significant. This result is not compatible with the ‘indirect’ model of figurative language in which the non-metonymic expressions are accessed prior to the metonymic expressions (e.g., Grice, 1975). Instead, it supports the ‘direct’ model in which the metonymic and non-metonymic expressions can be accessed directly (e.g, Frisson & Pickering, 1999).

    (1)  Prime: Shousetsuka-ga Toshokan-de, [Dickens-o yonda / Dickens no / hon-o yon-da / Dickens-ni atta].
    'The novelist in the library [wrote Dickens / wrote Dickens’s book / met Dickens]. (metonymic /non-metonymic /literal)'

    (2)  Target: Kashu-ga Concert-de, [Madonna-o utta / Madonna no CD-o utta].
    'The singer in the concert … [sold Madonna /sold Madonna’s CD].'
    (metonymic /non-metonymic)


    第45回 2017.3.21 (関西学院大学梅田サテライトキャンパス)

    【発表者】津村 早紀 (東京大学大学院)
    【発表タイトル】日本語における否定極性表現を含む主語・述語依存関係の処理について-自己ペース読文実験による検討-

    【要旨】
    主語と述語の要素間の距離が離れている場合、離れていない場合に比べて処理負荷が増大し、その処理負荷を反映してlocality effectが観察されることがある。本研究では、日本語における主語と述語の要素間の距離の違いが処理負荷に影響を与えるかどうか、否定極性表現(NPI)の一つであり、全称量化詞である「誰も」を含む文を用いて検討した。自己ペース読文実験の結果、NPIである「誰も」とNPIでない「誰もが」の両条件で、locality effectが観察され、全称量化詞の場合、主語と述語の要素間の距離の違いが処理負荷に影響を与えることが示唆された。


    第44回 2016.10.22 (立命館大阪梅田キャンパス)

    【発表者】浅原 正幸(国立国語研究所)
    【発表タイトル】BCCWJ-EyeTracking の概要とその統計分析

    【要旨】
    BCCWJ-EyeTracking (浅原ほか, 2016)は『現代日本語書き言葉均衡コーパス』 (Maekawa et. al., 2014) の一部に対して視線走査法と自己ペース読文法を用いて計測した、読み時間データである。このデータに対して人手による係り受け構造アノテーション BCCWJ-DepPara (浅原・松本 2013) の情報を重ね合わせ、係り元文節数と読み時間の関係を調査する。先行研究ではドイツ語 (Konieczny, 2000) および日本語 (Uchida et al.,2014) において、係り元文節数が多い場合に係り先文節の読み時間が早くなる現象 Anti-Locality が、二重目的格をもった作例について確認されている。本研究では均衡コーパスと人手による係り受け構造アノテーションを用いて、より一般的な設定で経験的に Anti-Locality をの検証を行った。線形混合モデルに基づく統計分析の結果、本研究においても Anti-Locality の現象が確認できた。

    引用文献:
    Maekawa, K., Yamazaki, M., Ogiso, T., Maruyama, T., Ogura, H., Kashino, W., Koiso, H., Yamaguchi, M., Tanaka, M., & Den, Y. (2014). Balanced corpus of contemporary written Japanese. Language Resources and Evaluation, 48(2), 345-371.
    浅原 正幸・小野 創・ Miyamoto, E. T. (2016) BCCWJ-EyeTracking ~『現代日本語書き言葉均衡コーパス』に対する読み時間アノテーション, 電気情報通信学会技術研究報告 思考と言語 Vol. 116, No. 169, pp.7-12.
    浅原 正幸・松本 裕治 (2013) 『現代日本語書き言葉均衡コーパス』に対する係り受け・並列構造アノテーション, 言語処理学会第19回年次大会発表論文集, pp.66-69.
    Konieczny. L. 2000. Locality and parsing complexity. Journal of Psycholinguistic Research, 29(6).
    Uchida, S., Miyamoto, E. T., Hirose, Y., Kobayashi, Y., and Ito, T. 2014. An erp study of parsing and memory load in Japanese sentence processing – a comparison between left-corner parsing and the dependency locality theory –. In Proceedings of the Thought and Language/the Mental Architecture of Processing and Learning of Language 2014.


    第43回 2016.9.25 (西宮市大学交流センター)

    【発表者】木戸康人(神戸大学大学院)
    【発表タイトル】日本語複合動詞の獲得順序について―CHILDESを使用した実証研究―

    【要旨】
    日本語には動詞と動詞を複合させた複合動詞という複雑述語が他言語と比べても豊富にあることが影山 (2014)によって報告されている。そのような日本語を日本語たらしめている複合動詞を日本語を母語とする子どもがいつ、どのように獲得するのかという問いは、日本語に関する第一言語獲得研究、なかでも、言語発達研究と語彙獲得研究において重要な研究課題のひとつである。本研究ではまず、日本語複合動詞の獲得に関する先行研究(e.g., 大久保 1967, 西ノ内・伊東・村田 1970等)を概観する限り、子どもが得ているインプットはそれぞれの子どもで異なるにもかかわらず、そこには 1) 語彙的複合動詞が統語的複合動詞よりもおよそ12ヶ月先に発話されること、2) 最初期に発話される語彙的複合動詞のV2は移動動詞であること、3) 最初期に発話される統語的複合動詞のV2は起動相を表す「出す」であること、という共通点があることを指摘する。次に、その共通点が他の子どもでも観察されるのかどうかを調べるために、Aki(Miyata 2004a)とTai(Miyata 2004b)とSumihare(Noji et al. 2004)(と澄晴(野地 1973–1977))を対象にCHILDES(MacWhinney 2000, Oshima-Takane 1998)を使用した実証研究を行った。その結果、調査した3名の子どもでも同様に上に記した共通点が観察されたことを報告する。さらに、なぜ日本語複合動詞の獲得順序にそのような共通点があるのかという問いに対して、概念発達(conceptual development)(Huttenlocher, Smiley, and Charney 1983等)と語彙概念構造(lexical conceptual structure)(影山 1996等)に関する研究成果を組み合わせることによって説明を与えることを試みる。


    第42回 2016.7.16 (立命館大阪梅田キャンパス)

    【発表者】Nigel Duffield(甲南大学)
    【発表タイトル】"Are second language learners really narrow-minded? Investigating the ‘Other Race effect’"

    【要旨】
    I report the results of a cross-linguistic, cross-modal study investigating correlations in second language learners between two kinds of perceptual discrimination: phonological discrimination of non-native sound contrasts vs. visual discrimination of 'non-native' faces (aka ‘Other Race Effect’ cf. Spelke & Kinzler), both of which abilities show very similar narrowing patterns in early infancy.

    Eighty-two adult speakers (40 Japanese, 40 Canadians) took part in a counter-balanced set of visual and auditory ABX discrimination tasks. The results clearly demonstrated nativeness effects in the auditory domain, but not for face discrimination: in fact, Japanese faces proved hardest to discriminate even for native Japanese participants (Fig. 1). This result calls into question the ‘Other Race Effect’. Moroever, the nativeness effects found in the auditory experiment were phonetic, rather than phonological: English learners exhibited more difficulty in discriminating Japanese [d] from [t] than in discriminating long vs. short vowels (see Fig. 2).

    In this talk, I’ll discuss the experiments in more detail, and consider the implications of the research for theories of language acquisition.


    第41回 2016.6.18 (立命館大阪梅田キャンパス)

    【発表者】折田 奈甫(東北大学)
    【発表タイトル】理性的言語行為モデル (Rational Speech Act model) チュートリアル

    【要旨】
    近年,話者と聞き手間のコミュニケーションにおける推論を確率モデルによって形式化した理性的言語行為モデル(Rational Speech Act model)が提案され,さまざまな言語現象をうまく予測している.本チュートリアルでは,Frank and Goodman (2012)の理性的言語行為モデルの紹介をしながら,話者の語の選択や聞き手の語の解釈が,話者・聞き手間の推論を形式化した確率モデルによってどのように説明できるかを解説する.


    第40回 2016.5.29 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    中谷健太郎(甲南大学)
    "What does it mean to be local? Rethinking locality effects in the processing of various dependencies in Japanese."

    What is the cost of having a long distance dependency, really? Is it costly to retrieve a far-away linguistic element? Or conversely, would the intervening elements actually make the processing easier because they help the processor narrow down the expectation? What about similarity interference? How about the effect of having multiple incomplete dependencies? How about the hypothesis of the processing within a local window?

    This presentation recaps the history of locality studies, revisiting various theories on locality effects, which often make completely contradictory predictions. Then I report results from several self-paced reading experiments testing the effect of locality in various dependencies in Japanese, including thematic relations, wh-interrogatives, and NPI processing. It will be concluded that (i) the two major theories conflicting with each other, i.e., the distance-based locality theories (Gibson, 2000; Vasishth & Lewis, 2006; etc.) and the probabilistic, expectation-based facilitation theories (Hale, 2001; Levy, 2008), are both necessary in explaining the whole data, and (ii) the locality effects cannot be completely reduced to similarity interference effects, necessitating an activation-decay model (Gibson, 2000; Vasishth & Lewis, 2006; etc.).


    第39回 2015.10.24 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    井上雅勝 (武庫川女子大学)「Rを用いた線形混合モデル分析(LME)におけるp値の算出と単純傾斜検定の分析方法」

    近年の心理言語学的研究において分析方法の主流となりつつあるRプログラムを用いた線形混合モデル分析(主にlme4パッケージを用いた場合)では、これまで、(1)固定因子の自由度とp値が計算できない、(2)交互作用が有意であった場合の単純傾斜検定(分散分析における単純主効果の検定に相当)ができない、などの問題があった。一方、ここ数年で、Satterthwaite近似を用いてtの自由度およびp値を計算するlmerTestパッケージが開発され、論文にも表記される例があらわれはじめてている。さらに、このパッケージとPreacherのサイト(http://quantpsy.org/)を併用することにより、単純傾斜検定を実施する方法も紹介されている(清水, 2014)。今回は、交互作用の下位分析としての単純傾斜について若干解説した後、Reading timeサンプルデータを使って、実際に上の分析の操作を実習する。


    第38回 2015.7.11 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    田中幹大(甲南女子大学)
    "Planning association of causes and consequences in Japanese"

    When people produce an utterance longer than a sentence, they have to combine the complex narrative into a coherent one. Formal and experimental analyses of narrative discourse have suggested each continuation of a discourse can link to prior context in various ways (van den Broek, Linzie, & Fletcher, 2000; Simner & Pickering, 2005).

    However, the precise nature of this mechanism has been unclear, and this type of study has mainly been done in English; therefore, it is not known if the same result can be found in other languages. In this talk, by focusing on the relationship of causality (e.g., cause and consequence), I present four psycholinguistic experiments (discourse completion tasks) in Japanese to investigate two aspects of planning narrative discourse: (1) how the discourse continuation’s prior context is chosen, and (2) how the content of the discourse continuation is chosen.

    Firstly, I found that people tend to continue their narrative from the previous consequences than causes. And this tendency was much stronger if these included information from consequences that were linguistically closer than less closer (Experiment 1).

    Secondly, I found when the discourse fragments were presented in context, people tend to continue their utterance with consequences more than when the discourse fragment was presented out of context (Experiment 2). This effect was even stronger, when the controlled fragments were presented (Experiment 3). In addition to these, people are more likely to continue the sentence with more consequential narratives if the events described in the sentence are more typical than less typical (Experiment 4).

    To summarise, I suggest people consider an absence of either cause or consequence to be a gap, and they seek to fill this gap in their narrative. Furthermore, people do not simply use causality relations to produce an utterance in their discourse; they use their world knowledge and features of textual and temporal recency to produce a successful narrative. Finally, the general findings in this Japanese study are compatible with the findings by Simner and Pickering (2005) conducted in English, suggesting the mechanism of narrative discourse, in terms of how individuals choose the anchor and the content, could be similar in both languages.

    References

    Simner, J., & Pickering, M.J. (2005). Planning causes and consequences in discourse. Journal of Memory & Language, 52, 226-239 van den Broek, P., Linzie, B., Fletcher, C., & Marsolek, C. D. (2000).

    The role of causal discourse structure in narrative writing. Memory & Cognition, 28, 711–721.


    第37回 2015.5.10 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    西本優・中野陽子
    "The processing of Japanese inflected forms in native and non-native speakers"

    The debate about possible differences between the L1 and L2 processing of complex words is most controversial with regard to inflected forms: While some studies show robust differences between L1 and L2 speakers (e.g. Neubauer & Clahsen, 2009, Kırkıcı & Clahsen, 2013), other studies (e.g. Basnight-Brown et al., 2007; Diependale et al., 2011) suggest that L2 speakers process inflected forms in the same way as L1 speakers. Importantly, however, previous studies on the L1 and L2 processing of such forms have mainly focused on languages written in alphabetic scripts. The issue of script is particularly important with regard to the processing of complex words, because major theories of morphological decomposition (Rastle et al., 2004; Marslen-Wilson et al., 2007) consider the segmentation mechanism for complex words to be morpho-orthographic in nature. The present study investigates the L1 and L2 processing of Japanese inflected forms written in moraic script.

    In a masked priming experiment with native speakers of Japanese and advanced native Korean learners of L2 Japanese, participants encountered masked prime words (shown for 50 ms) with the past-tense affix –ta (e.g., tsumazui-ta ‘stumbled’), and subsequently had to perform a lexical decision on morphologically related forms of the same words with the non-past suffix –u (e.g., tsumazuk-u, ‘stumble’). The experimental design also included an identity control condition, in which the targets were preceded by an identical prime (tsumazuku - tsumazuku) and an unrelated control condition, in which the targets were preceded by a morphologically, orthographically, or semantically unrelated prime (e.g., mijikai ‘short’- tsumazuku). Importantly, primes were written in different Japanese mora scripts (primes in Hiragana, targets in Katakana), controlling for purely visual priming effects. Unrelated control primes were matched with morphologically related primes with regard to length and frequency, based on the Japanese jpTenTen corpus.

    The Japanese L1 group showed a reliable morphological priming effect (p<.001), with shorter lexical decision times for targets following morphologically related primes than for targets following matched unrelated primes. The L2 group, in contrast, showed no significant priming (p=.652).

    The effects are consistent with previous findings of differences between L1 and L2 processing, and also go in the same direction as in these previous studies, with significant priming effects only for L1 speakers, but not for L2 learners. In this respect, we conclude that the effect generalizes to non-alphabetic scripts. The lack of morphological priming in the L2 group suggests that L2 speakers do not decompose inflected forms during the initial stage of word recognition. L2 learners can thus be considered less sensitive to the morphological structure of inflected forms.

    (This talk is an extended version of the talk we will give in the preconference workshop for the 10th International Symposium in Bilingualism, Rutgers University, New Jersey.)


    第36回 2014.12.6 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    中谷健太郎(甲南大学)
    "Ambiguity resolution in the Japanese benefactive constructions"

    Japanese benefactive constructions usually involve verbs of giving. Because Japanese has two types of giving verb, kureru 'give (to the speaker)' and ageru 'give (to a non-speaker)', the corresponding two types of benefactive constructions can be constructed, depending on who the beneficiary is. It has been pointed out in the literature that the kureru benefactive (=for the speaker's benefit) involves greater processing cost than the ageru counterpart (=for a nonspeaker's benefit) in an example like the following (Nagata, 1993; Mazuka & Itoh, 1995; Tokimoto & Nakanishi, 2000):

    (1)
    a. 中村が中古のパソコンを買ったとき修理してくれた。
    b. 中村が中古のパソコンを買ったとき修理してあげた。

    The two sentences are superficially identical except for the choice of the final benefactive verb. Both sentences involve two main verbs (買った 'bought' and 修理して 'repair') while involving only one nominative subject (中村が), leading to ambiguity as to who is doing what. (1a) is especially difficult to process because in the first parse, the overt nominative subject is construed as the subject of the first verb 買った 'bought', which turns out to be wrong: the person who bought the PC should be the speaker, because kureru forces the reading in which the speaker benefitted from having somebody (中村) repair the PC, which in turn forces the interpretation where the speaker, not 中村, bought the PC.

    However, previous studies are problematic in some respects. First, they have not exhausted all the possible structural and interpretive possibilities. Second, the driving force of pragmatic inferences has not been sufficiently discussed. Third, the possibility of a reanalysis triggered by ageru has been overlooked. Kataoka & Nakatani (2012) address the latter two issues, and the present study extends K&N's study to address all the three issues, through a judgment study and a self-paced reading experiment in which context is added to K&N's materials to separately test the effect of pragmatic inferences. It will be shown that the difficulty in (1a) may not be incurred by a forced structural reanalysis, but may simply be an instance of a garden path effect incurred by pragmatic anomaly.


    第35回 2014.11.1 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    森 直哉(同志社大学大学院)
    "Japanese listeners’ compensation and the use of contextual information at the segmental level."

    This presentation reports the result of the experiment that was carried out in order to investigate how Japanese listeners compensate the underlying form of English assimilated segments. In the experiment, targets were English words whose final segments were alveolar, bilabial, or assimilated (these are called PLACE condition in later). In addition, there were stop sounds and nasal sounds (MANNER condition in later) for each PLACE condition. They are paired with other words to make phrases, and embedded in sentences. The task was that participants judges whether the target in the sound stream heard from the headphone is alveolar or bilabial.

    The analysis on the result showed that participants interpreted nasal MANNER condition segments as alveolar regardless of what segment follows them, even if the nasal segments was underlyingly bilabial. On the other hand, they interpreted stop MANNER condition segments along with its following segments. These result reveals that upcoming contexts have great influence on their preceding word final stops, but not on word final nasals for Japanese. Since there is still necessity to carry out further investigation, the current research will go on.


    第34回 2014.10.11 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    尾島司郎(滋賀大学)
    "Proficient second-language users’ perceptual and computational advantages in the processing of the mother tongue and arithmetic: brain potential evidence"

    Past research has shown that a proficient L2 user’s brain represents the L2 in cerebral regions identical to the mother tongue (L1). Having an additional, different language in the same brain regions may negatively influence the pre-existing L1 and other cognitive functions such as arithmetic, due to competition. In contrast to this possibility, here we provide event-related brain potential (ERP) evidence that proficient L2 users possess advantages in the processing of the L1 and arithmetic. High L2 proficiency was correlated with faster L1 and arithmetic processing as indexed by ERP latencies in both semantic and syntactic aspects. The groups also differed, irrespective of experimental conditions, in early ERP components that are likely to reflect perceptual processing. Our results suggest that proficient L2 users have advantages in the processing of verbal information generally, at the levels of both low-order perception (vision) and high-order computation (semantics and syntax).


    訃報

    ご存知の方も多いかと思いますが,7月23日に九州大学の坂本勉先生が急逝されたとの悲しいお知らせがありました。KCPのメンバーの多くにとっても馴染みが深い,日本の心理言語学研究の真のパイオニアとしてご活躍された先生でした。それだけに悲しみもひとしおです。KCPよりこころから哀悼の意を評したいと思います。

    奇しくも坂本先生が亡くなられた直後に行われたKCPミーティングは,坂本研の「長男」である大石さんの発表で,多くの人にご参加いただきました。「坂本研出身」の名に恥じないすばらしい発表でした。坂本先生も喜んでいらっしゃると思います。ありがとうございました。


    第33回 2014.7.26 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    大石衡聴(立命館大学)
    「脳波の周期性振動活動から言語処理を探る試み」

    我々が時間軸に沿って言語を処理している際に脳がどのように活動しているのかについて検討するにあたり、事象関連電位 (event-related potential: ERP) を指標とした研究が、日本語を対象とした研究でも、多数見られるようになってきている。数ミリ秒単位で脳の電気的活動の変化を記録することの出来るERPは、我々の脳内で驚異的な速度で展開される言語処理を捉えるのに最適なツールの一つであることは間違いない。しかしながら、ERPを抽出するために加算平均法によって相殺されている自発 (spontaneous) 脳波 (electroencephalogram: EEG) にも、実は言語の処理に伴う認知的な活動に関する情報が含まれており、自発脳波の解析をもって、ERPだけでは観ることの出来ない言語処理の諸相を観ることが可能となる。本発表では、自発脳波の変動を指標として言語処理について検討した先行研究を紹介し、さらに発表者自身が実施した実験のデータを紹介することを通して、事象に関連した自発脳波の変動を指標とすることの有用性をアピールする。

  • 発表資料
    第32回 2014.6.21 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    井上雅勝(武庫川女子大学)
    「非正規語順・目的語関係節・ガーデンパス-3つの構造的な複雑さに同時に直面すると」

      (1) 加藤が宮田を止めた武田を呼び出した
      (2) 加藤を宮田が止めた武田が呼び出した

    本研究では、self-paced reading task による語句毎の読み時間の測定に基づき、(1), (2) 文のような「含まれる要素は同じだが語順が異なる」2つの構造的曖昧文について、それぞれの文のGP効果 (注) を比較した。すると、(1) のHN領域の平均RTが1211msであったのに対し、(2) では1568msに達した。このGP量の非対称性は、何に由来するのだろうか。本発表ではまず、(2) のHN領域での再解釈処理において、目的語関係節効果と非正規語順効果が重複することに着目し、他の条件ないし他の領域のRT量を利用して、それらの効果分を減じるという分析を試みる。その上でなお残存する (1)-(2) のRT差が真にGP量の条件差を示すものであるとみなし、それがいかなる処理の違いに由来するのかを検討する。また、時間が許せば、本実験のデータを例に、線形混合モデル分析 (LME) におけるいくつかの問題について話題提供を行う。

    注:(1), (2) 文において、「止めた」までを単文として解釈すると、関係節主要部 (HN)「武田を/武田が」が現れた時点で、それまでの解釈が誤りであったことに気づき、再解釈が必要になる。そのための処理コストが読み時間のような指標にあらわれる現象を、ガーデンパス (GP) 効果という。


    第31回 2014.5.24 (甲南大学 岡本キャンパス)

    青木 奈律乃(甲南大学院生)
    「The Effect of the Choice of the Objects in Japanese Locative Alternation」

    Although the details are unclear, it is known from the literature that the choice of objects influences the acceptability of Japanese locative alternation. I argue that the choice of objects affects the acceptability in one of the following ways: (i) it may improve the Theme-object type construction (NP[Location]-ni NP[Theme]-o V) by pragmatically enhancing the inference on the manner of motion. Alternatively, (ii) the choice of objects may improve the Location-object type construction (NP[Location]-o NP[Theme]-de V) by pragmatically enhancing the inference on the incorporation of the theme into the location. I presented the result from a questionnaire study supporting my hypothesis.


    2014.3.6 関西学院大学大学院オープン・レクチャー

    関西学院大学大学院オープン・レクチャーとして,Sentence Processing研究の第一人者であり,特に主要部後置言語のmemory retrievalの研究で知られるShravan Vasishth先生(Potsdam大)の講演会を行ないました。20人以上の参加をいただき,盛会のうちに閉会しました。ご来場くださった方々には厚く御礼申し上げます。

    Shravan Vasishth 氏(University of Potsdam)講演
    「Strong expectations cancel locality effects: Evidence from Hindi」
    (関西学院大学 大学院言語コミュニケーション文化研究科 オープン・レクチャー)

    Although both languages are active regardless of a bilingual’s intention to speak in one language only, cognitive control mechanisms effectively allow the target language to be selected during speech planning. In this talk, I address the questions of when the target language is selected and what factors influence the locus of language selection using behavioral and neurocognitive methods. A series of behavioral experiments with same and different script bilinguals demonstrate that script differences allow the bilingual to select the language of production at an earlier point in speech planning when they are perceptually available. In the next set of experiments, we have been examining the time course of cross-language activation and language selection with event-related potentials (ERPs) which are sensitive to the time course of speech planning. A critical result is that both languages are activated to the phonological level at least for same script bilinguals. These findings will be discussed in terms of models of bilingual word production.

    I will discuss the implications of this and related work from my lab on the expectation-locality interaction.


    第30回 2014.3.6 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    星野 徳子(神戸市外国語大学)
    「Language selection in bilingual speech production: When do same and different script bilinguals choose the language to be spoken?」

    Although both languages are active regardless of a bilingual’s intention to speak in one language only, cognitive control mechanisms effectively allow the target language to be selected during speech planning. In this talk, I address the questions of when the target language is selected and what factors influence the locus of language selection using behavioral and neurocognitive methods. A series of behavioral experiments with same and different script bilinguals demonstrate that script differences allow the bilingual to select the language of production at an earlier point in speech planning when they are perceptually available. In the next set of experiments, we have been examining the time course of cross-language activation and language selection with event-related potentials (ERPs) which are sensitive to the time course of speech planning. A critical result is that both languages are activated to the phonological level at least for same script bilinguals. These findings will be discussed in terms of models of bilingual word production.


    第29回 2013.12.21 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    藤原 崇(近畿大学非常勤)・鈴木 大介(日本学術振興会/龍谷大学)
    「英語法副詞における機能的差異について―コーパス分析とアンケート調査から―」

     本研究では、機能論的な観点からの実証的な手法により、語用論的変数を引き出すことで、英語法副詞の機能的差異を実証する。具体的には法副詞conceivably, imaginably, perhaps, possiblyを扱い、コーパス分析及びアンケート調査の結果に基づいて、類義語間の語用論的機能の違いを論じる。変数として、モダリティの観点から(i)法助動詞との共起、談話構造の観点から(ii)法副詞の生起位置という要因の影響を調査し、さらに、この2要因の交互作用も検証する。結果として、各要因の影響力の大きさや、(i)と(ii)の要因の組み合わせによる効果が得られ、とりわけconceivablyとperhapsが語用論的な要因と密接に関わっていることが明らかとなった。


    第28回 2013.11.30 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    中谷健太郎(甲南大学) 「否定対極表現処理における局所性効果と反局所性効果〜非文処理をからめて」

     文処理においてGibson (1998, 2000)などによって主張される局所性効果(=メモリー負荷と文法依存関係の線型距離の間に仮定される正の相関)が主要部後置言語に見られないことは先行研究において指摘されている(Nakatani & Gibson, 2008, 2010; Konieczny & Döring, 2003; Vasishth & Lewis, 2006)が,Wh疑問詞処理(Ono & Nakatani, 2010, forthcoming)やNPI処理(Nakatani, 2009 [CUNY poster])といった,θ関係の処理以外の処理では局所性効果が報告されており,長距離依存関係処理における記憶資源の利用についてはさらなる検証が必要とされる。
     本研究ではNPI処理に焦点を当てる。Nakatani (2009)の実験デザインの潜在的問題として,すべてのターゲット条件において述語が否定形だったことが挙げられる。「シカ」にとって否定辞をともなう述語は無標であるが,「ガ」に対して否定形述語を組み合わせることは肯定形に比べるとより多くの前提を要求することになり,むしろ有標条件となることが考えられる。つまり,「シカ」「ガ」の主語標識因子と局所性因子の2因子デザインとして実験が遂行されたが,実際には述語の有標性という第3の因子がからみ,それがノイズとなった可能性がある。本研究では,局所性因子,主語標識因子に加え,述語に「否定」「肯定」の2水準の因子を設定し,自己ペース読文課題実験を行った。「ガ」条件にとっては肯定形が無標,否定形が有標であるいっぽうで,「シカ」条件にとって,否定形が無標,肯定形が有標(非文法的)となる。
     実験の結果,否定形・肯定形それぞれについて,主語標識因子と局所性因子の2因子の効果を見たところ,否定形・肯定形いずれについても,効果が交差する形で2因子の交互作用が見られた。つまり,「無標」においては局所性効果,「有標」においては反局所性効果が見られる方向での交互作用が見られた。
     本発表では「無標」処理と「有標」処理において局所性効果の現れ方が逆であることが,文処理ストラテジーについて何を示唆するのかを,「期待に基づく分析」「統合に際しての読み出し負荷」そして「再分析負荷」の観点から考察する。


    第27回 2013.10.12 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    野村 潤(京都女子大学)・Glen Norris(石川県立大学)・石川圭一(京都女子大学) 「日本人英語学習者の英単語知覚における母音挿入:予備実験と課題」

    日本語話者が外国語の子音連続を知覚する際、母音が挿入される(例えば magnet が magUnetto と聞こえる)ことが知られている。本研究は、この知覚的母音挿入がどのような状況下で起こりやすいかを調査することを目的とする。今回の発表では、予備実験の結果を報告するとともに、今後の課題を考察する。予備実験では「モーラ検出課題」を用い、英単語の親密度と、子音連続を構成する子音の有声性を制御した。どちらの要因に関しても有意な主効果が検出されたため、知覚的母音挿入には語彙アクセス前に生じるもの(音韻的挿入)と、語彙アクセス後に生じるもの(語彙的挿入)の2種類が存在する可能性が示唆された。(本報告は、日本音響学会2012年春季研究発表会における報告を、修正・拡大したものである。)


    第26回 2013.9.21 (甲南大学 岡本キャンパス)

    南部智史 (国立国語研究所)・中谷健太郎 (甲南大学) 「『が/の』交替と隣接性の効果について」

    日本語の名詞修飾節における主語標示としての助詞「が」と「の」が交替することは良く知られている(「が/の」交替)。また、名詞修飾節主語と述語の間に付加詞等の介在要素が存在する場合、主語標示「の」の容認度が低くなることが以前から指摘されていた (e.g., Harada 1971)。しかし、統語論ではMiyagawa (2011)を除いてほとんど従属節主語と述語の隣接性の問題に触れられてこなかった。さらに、これまでの隣接性のデータは全て内省判断によるものであり、隣接性の効果の実際についてそもそも明らかにされているとは言いがたい。本研究では、まず質問紙調査にて容認度判断を定量化し、隣接性の効果を経験的に明らかにする。さらに同じ材料文を用いて自己ペース読文実験を行い、読みの遅延が現れる場所を明らかにすることにより、「が/の」交替における隣接性の効果の原因を追究する。


    2013.8.7 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    浅原正幸(国語研)・森田敏生(総和技研)「ChaKi.NET 講習会」
    (国立国語研究所コーパス開発センター・関西心理言語学研究会 (KCP) 共催)

    国研と共催で,コーパスの形態素分析・検索についての講習会が開かれました。講師の浅原さん,森田さん,有り難うございました。


    2013.8.3-4 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    Mental Architecture for Processing and Learning of Language 2013 (MAPLL2013)がKCP共催で開催されました。たくさんのご参加ありがとうございました。

    →プログラム


    2013.8.2 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    神長伸幸(理化学研究所)・井上 雅勝(武庫川女子大学)「混合モデル分析ワークショップ」

    事前に参加人数上限に達したため,一般告知しませんでしたが,第三回目の混合モデルワークショップが行われました。中谷は所用があり参加できませんでしたが,実践的かつ有意義な会だったと聞きます。講師の神長さん,井上先生,有り難うございました。


    第25回 2013.5.25 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    小野創・池本優(近畿大学)「Backward dependency formation in gapless relative clauses」

    日本語関係節の処理難易を比較する先行研究では,主語関係節に比べて目的語関係節で読み時間の遅延が見られ,目的語関係節の処理負荷が高いことが多くの研究で明らかになっている。しかし,その要因についてはまだ多くの議論がある。特に英語のような主要部前置型言語に比べて,日本語のような主要部後置型言語の関係節では,空所が埋語に先行し,それが関係節構造の予測可能性に影響し(主語関係節の方が関係節構造が予測しやすい),それが目的語関係節の大きな処理負荷につながっていることを示唆する研究もある。本研究は,この予測可能性の問題,また談話上の関係節の使用に関する制約といった要因を排除するために,「そこ」のような代名詞を使用した空所のない関係節を刺激文として用いた。代名詞「そこ」は関係節主要部である「どの温泉旅館も」に束縛されることによって,束縛変項の解釈を受ける。自己ペース読文課題の結果,目的語に「そこ」を含む条件に比べて,主語に「そこ」を含む条件で読み時間の遅延が見られ,これまでの関係節の難易に関する研究で見られた目的語関係節の大きな処理負荷は,関係節の予測可能性を大きく反映した結果であることを示唆する。


    第24回 2013.4.20 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    矢野雅貴・立山憂(九州大学)「日本語分裂文におけるgap-filler依存関係の処理について」

    カフラマン(2011)は、読文実験の結果、日本語では、目的語分裂文の方が、主語分裂文に比べて処理負荷が低いことを報告した。しかし、この実験では、fillerに対する予測可能性が読み時間に影響を及ぼした可能性が高い(Kahraman et al.,2011)。そこで本研究では、文脈を用いて予測可能性を統制した上で、分裂文におけるgap-filler依存関係の処理を検討した。実験の結果、主語分裂文の方が処理負荷が低かった。従って、日本語分裂文においてgapとfillerを統合する処理負荷は、構造的な距離によって決定されることが明らかとなった。


    第23回 2013.2.18 (近畿大学東大阪キャンパス)

    井上 雅勝(武庫川女子大学)「Rを用いた混合モデル分析ワークショップ/チュートリアル」

    昨年始めた統計の勉強・チュートリアル・ワークショップの続きになります。武庫川女子大の井上雅勝先生に認知科学会(昨年12月)で行ったワークショップのおさらい等をしていただきます。

    参加要件
    ・ノートPC持参 (WIndows. Mac)
    ・なるべくこれまでKCPの回帰分析ないし線形混合モデルのワークショップに参加していること、あるいは独学等で回帰分析をある程度理解していること(下記参照)

    要件としての自習のお願い
    ・上のWSのどちらにも参加していない場合は、なるべく回帰分析について自習しておいて頂きたい。例えば、
       http://www.msi.co.jp/splus/splusrescue/regression.html(回帰の基礎と単回帰)
       http://www.u-gakugei.ac.jp/~kishilab/spss-mra.htm(重回帰)
    程度の基礎的な説明をみておくだけで十分(最小二乗法の数式などはとりあえず読み飛ばしても可)。特に、回帰式の意味、どんな統計量がでてくるのか(偏回帰係数β、標準誤差、t値、蹴決定係数など)、それぞれの統計量の意味を中心に。
    ・言語心理実験で混合モデル分析を用いるとき、前提として「重回帰分析の交互作用」を理解しておくことがどうしても必要になる(メカニズムは2要因以上の分散分析の交互作用と全く同じ)。ところが、重回帰の交互作用をまともに説明している日本語のテキストやHPは意外に少ない。今回、これについて十分に解説する時間的余裕がないので、上の回帰の基礎の後、できれば、
       http://kz-md.net/stat/HP_MR_1.html
    の1-3の項もご一読いただきたい。

    必要なPCプログラム
    ・Microsoft Excel (データの配列や処理方法などを視覚的に説明したいため)
    ・R システム(インストール方法は後述)

    あらかじめインストールが必要なRの拡張パッケージ
    ・ez (分散分析・回帰分析・線形混合・混合ロジスティックなど)
    ・少なくとも混合モデル分析用の lme4 (上のezには含まれている)
    ・languageR (MCMC)
    ・rms (ロジスティック分析)
    ・ordinal (従属変数が順序尺度の混合モデル)

    Rのインストール
    ・http://cran.ism.ac.jp/ 該当するOSのページからダウンロード→インストール
    ・Windowsの場合、導入されているOSは、たいていは32-bitだろう
    ・Rの基本的な操作:http://cse.naro.affrc.go.jp/takezawa/r-tips/r.html

    拡張パッケージ(ライブラリ)のインストール方法
    ・http://cse.naro.affrc.go.jp/takezawa/r-tips/r/08.html#02
    ・「拡張パッケージのインストール」の項を参照
    ・なおWindows版なら、Rを起動した後、上のページの「Windows 版 R ならば,GUI
    のメニューから簡単にパッケージをロードしたり,インストールしたりすることが出来る」の行以降を参照してインストールできる。


    第22回 2012.12.22 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    小嶌友輝(関西学院大学)「日本語かき混ぜ文におけるフィラーギャップ依存関係の処理過程 —事象関連電位を指標として—」

    【共同研究者】
    杉本史惠 研究員(関西学院大学大学院文学研究科)
    片山順一 教授(関西学院大学文学部総合心理科学科)
    中野陽子 教授(関西学院大学大学院言語コミュニケーション文化研究科)

    本研究は、事象関連電位(ERP)の時間分解能を利用してフィラーギャップ構文の処理過程について調査した。実験には、基本語順の文(1a)と「NPに」が文頭に移動した日本語かき混ぜ文(1b)を用いた。

    (1) a先生の/秘書が/お茶を/飲んだ。(基本語順)
      b先生に/秘書が/お茶を/飲ませた。(かき混ぜ語順)

    (1ab)の「先生の/に」では、フィラーである「先生に」を保持する負荷を反映する成分が見られると予想していたが、かき混ぜ語順と基本語順の間に有意差は見られなかった。
    「秘書が」では、かき混ぜ語順が基本語順に対して、左前頭で潜時300〜400msec、またC4から広範囲にかけて潜時500〜700msecで陰性成分が見られた。「先生に」後に、予想とは異なる「秘書が」が入力されたことで、陰性成分が見られたと考えられる。
    「お茶を」では、かき混ぜ語順が基本語順に対して、Fzで潜時400〜500msec、またCz,CP4で潜時700〜900msecで陽性成分が見られた。陽性成分が「お茶を」で見られたのは、「秘書が」まででは、フィラーギャップ依存関係に気付かず、入力後に「先生に」というフィラーを統合したためではないかと考えられる。
    キーワード:かき混ぜ文、事象関連電位(ERP)、フィラーギャップ依存関係


    第21回 2012.10.20 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    小野創(近畿大学)・小畑美貴(三重大学) 「Interference and subcategorization information: A case of pre-verbal NPs in Japanese」


    第20回 2012.9.1 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    山田敏幸(東京大学)「Relative Clause Attachment Ambiguity in Japanese and English: What does it tell us about the human parsing mechanism?」

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    The purpose of this study is to examine and compare relative clause (RC) attachment ambiguity in the Japanese and English languages (e.g., Someone shot the maid of the actress who was on the balcony). Although the RC (e.g., who was on the balcony) may attach either to the local noun (e.g., actress) or to the non-local noun (e.g., maid), earlier studies show that parsing preferences (i.e., the former or latter attachment) as ambiguity resolution seem to be varying across languages. We point out four issues in earlier cross-linguistic studies on RC attachment ambiguity: (i) the head-directionality or linear order of the RC and its two possible modifiees, (ii) the existence of relative pronouns, (iii) the source of ambiguity/disambiguation, and (iv) the RC types. As for (i), typically, the RC follows its two possible modifiees in head-initial languages like English but precedes them in head-final languages like Japanese. (ii) divides languages into two types: those which have relative pronouns (e.g., who in English) and those which do not (e.g., Japanese). For (iii), morphosyntactic agreement is often used as disambiguating information in languages with agreement (e.g., number agreement in English), while semantico-pragmatic information is used instead in languages without (surface, at least) agreement (e.g., plausibility/probability in Japanese). (iv) can be divided into four types depending on the extraction site of the head noun (i.e., the noun modified by the RC) (subject or object) and the RC position in the matrix clause (subject or object). Since the experimental manipulation varies across earlier studies, the findings about the cross-linguistic variation in parsing preferences have to be interpreted in consideration of those four issues. The present study controls them as much as possible and compares attachment preferences in various types of the RC in Japanese and English. This time we discuss the validity of the research design for the present study, the pilot experimental results (if available), and finally what the research on RC attachment ambiguity tells us about the language-universal and language-particular aspects of the human parsing mechanism.

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    第19回 2012.7.7 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    統計ワークショップ part 2「統計ソフトRを使って、自己ペース読文実験の生データを分析してみよう!(続編)」

    10:00 - 13:30
    田中幹大(昭和大学)「ANOVAからMixed modelへ」(仮題)


    第18回 2012.6.9 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    統計ワークショップ「統計ソフトRを使って、自己ペース読文実験の生データを分析してみよう!」

    10:30 -13:00
     中谷 健太郎(甲南大学)「Rの基本的操作~データトリミング~分散から分散分析まで」

    13:00-14:00 ランチ休憩

    14:00-16:30
     井上 雅勝(武庫川女子大学)「回帰分析・分散分析・一般線形モデル-線形混合効果モデルの理解のために」


    第17回 2012.5.12 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    久保琢也・酒井弘(広島大学)「有生性が語順に与える影響--VOS言語における検討--」

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     多くの言語において「有生物が無生物に先行しやすい」という傾向が観察されている。また、この傾向からしばしば普遍的な文の産出メカニズムが想定されてきた。しかしながら、これまでに検討された言語は主語が目的語に先行する言語に限られているため、そのメカニズムが真に普遍的であるのか明らかではない。特に、典型的な動作主、被動者がそれぞれ有生物と無生物である点を鑑みると、目的語が主語に先行する言語においては上記傾向とは本質的に反すると予想される。

     そこで、本研究ではVOS言語であるカクチケル語を対象に、有生性が語順に与える影響を検証した。実験の結果、カクチケル語では必ずしも「有生物が無生物に先行しやすい」という傾向を示さず、先行研究とは異なる振る舞いを見せることが明らかとなった。本発表ではこの結果を受け、我々が文を産出するメカニズムがどのように説明されるのかを議論したい。

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    第16回 2012.4.28 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    森 直哉(同志社大学)「Japanese Listeners' Speech Processing in Japanese and English Place Assimilation Environments」

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    Studies on speech processing have revealed that two strategies are employed by listeners in place assimilation environments. One is an anticipatory strategy where listeners anticipate the following segment from the preceding assimilatory segment (i.e. one expect a bilabial sound to follow greem, because it is an assimilated form of green triggered by the following bilabial sound). The other is a regressive or compensatory strategy where listeners infer and recover the underlying form of the assimilatory segment from the upcoming segment and contexts (i.e. they estimate that greem should be underlyingly green given the phrase greem beans). Gow (2001) claims that English speakers use both strategies, .Japanese listeners also use the anticipation strategy in their daily language processing as its nasal sound /N/ shows dynamic assimilation to the following phonological context. (Otake et al., 1996; Vance, 2008) The compensatory strategy is, however, not necessary for Japanese listeners when processing Japanese speech because the only possible coda consonant in the language is /N/ and there is no need to recover its underlying form based on the place of the following consonant. The main question asked in this study is whether Japanese listeners can use the regressive compensatory strategy that is absent in their L1 speech processing when they process English speech as English listeners do.

    To unveil Japanese listeners' speech processing relevant to place assimilation, two monitoring experiments are planned and one of them is on the way. Experiment 1 is prepared in order to explore Japanese listeners' speech processing in Japanese. The data yielded so far show that there is an anticipatory effect in a viable context. Experiment 2 is designed to investigate Japanese listeners’ L2 processing, especially the question of whether they could use the compensatory strategy as English speakers do, but it is still under development.

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    第15回 2012.3.26 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    1. 青木奈律乃・中谷健太郎(甲南大学)「Process, Telicity, and Event Cancellability in Japanese: A Questionnaire Study」(Practice Talk for the Spring Forum, ELSJ)

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    "Process, Telicity, and Event Cancellability in Japanese: A Questionnaire Study"

    It is known that the telic events in Japanese transitive verbs can often be cancelled, as in an example like moyasi-ta-kedo moe-nakat-ta 'I burnt it but it didn't burn.' (Ikegami, 1985; Kageyama, 1996; Tsujimura, 2003; etc.). By examining such a phenomenon, Tsujimura (2003) argues that the result states of Japanese transitive verbs, especially the ones that alternates with intransitive inchoative counterparts, are not lexically encoded, but rather conversationally implicated.

    Questions, however, remain. First, Tsujimura (2003) points out that "speakers' judgments may vary"; then one can ask if the "cancellability" phenomenon pointed out in the literature is real. Second, the cancellability judgments seem to vary with the choice of the object NP of the transitive verb (cf. Ikegami, 1985), although the reason behind this has not been fully explicated. Finally, Tsujimura (1993) states that the cancellability phenomenon is "particularly common with transitive and intransitive verb pairs that enter into the causative alternation." However, no empirical evidence is provided by her or by other researchers as far as we know.

    We addressed these issues through a questionnaire study, where participants were asked to judge the acceptability of cancellation. Our results show that the process component is crucial in determining the acceptability of cancellation: (i) the cancellability of alternating transitive verbs varied according to the strength of the process component; (ii) the main effect of the achievement vs. accomplishment factor and the attested influences from direct objects also point to the same conclusion; (iii) the distinction between alternating verbs and non-alternating ones does not seem important, whereas the existence of the process component does.
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    第14回 2012.1.21 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    小泉有紀子(山形大学)「Influence of information structure and prosody on the processing of scope ambiguity: The case of 'not-because' sentences in English and beyond」

    Abstract:
    The present talk investigates on the role of non-syntactic factors in sentence processing with attention to the question of how prosody and pragmatics can affect the comprehension of not-because sentences in English (e.g. Jane didn't purchase the blouse because it was silk), scopally ambiguous between BEC>NOT (Jane did not buy it) and NOT>BEC (Jane bought it for some other reason) readings. Frazier and Clifton's (1996) reading experiment had found a strong dispreference for NOT>BEC, which could be attributed to high attachment of the because-clause outside the scope of negation. This result is in conflict with an otherwise very general processing tendency to attach incoming constituents low.

    The present study was designed to evaluate the possibility that no adjustment of the parsing model is necessitated, because the NOT>BEC reading has marked prosodic and pragmatic properties which would not be anticipated by the parser without substantial contextual support. In two self-paced reading experiments, disambiguated target constructions were presented either as main clauses or embedded in if-clauses. If-subordination was hypothesized to neutralize the marked prosodic and pragmatic properties of NOT>BEC by (a) suppressing a prosodic boundary before because and (b) reducing perceived 'incompleteness' by guaranteeing that another clause would follow.

    In Experiment 1, significantly slower processing occurred for NOT>BEC than BEC>NOT targets in main clauses, replicating previous results, but no processing time difference was evident when the not-because construction was embedded within an if-clause. Experiment 2 followed to separate the two factors, assessing the contribution of prosody alone. All details of Experiment 1 were maintained constant except that the not-because construction displayed on a single line in Experiment 1 was now distributed over two lines. The line-break inserted before because was expected to encourage a prosodic break there, due to readers' tendency to interpret visual display segmentations as prosodic breaks, thus favoring BEC>NOT. The reading time data confirmed this, showing no sign of the if-subordination amelioration observed in Experiment 1 (BEC>NOT was processed faster across the board: no Scope x Clause Type interaction was found). Thus, Experiment 2 confirms that prosody is a crucial contributor to the usual difficulty of NOT>BEC.

    A general conclusion drawn from these results is that standard parsing strategies are not falsified by not-because, but may be overridden by its unusual linguistic properties. Time permitted, the talk will discuss some of the remaining issues and future directions of the project and invite feedback especially for the equivalent cases in Japanese.


    第13回 2011.12.4 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)
    祐伯 敦史(立命館大) 「日本語照応表現『彼』と『自分自身』の オンライン言語処理に関する心理言語学的研究」
    第12回 2011.11.19 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)
    田中幹大(昭和大学)「What is structural priming? An introductory review」

    Recently, the phenomenon called structural priming - a tendency to repeat their own and each other's linguistic choices in production - has been intensively investigated in the study of language production (Bock, 1986; Pickering and Ferreira, 2008). In this talk, I discuss the extensive evidence for such priming and what it can tell us about the model of language production. Furthermore, I highlight two issues which can be investigated by a structural priming method - bilingual production (Hartsuiker et al., 2004) and the nature of syntactic theory (Bock, Loebel and Morey, 1992).


    第11回 2011.10.15 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)
    池本 優「文脈における派生語の処理:日本語使役動詞の研究」

     日本語の使役動詞には語彙的使役と-させ使役があり(e.g. 並べる vs. 並ばせる)、両者は異なった意味と統語構造を持っている。語彙的使役は使役者から被使役者へ直接的に働きかける意味を持っているのに対し、-させ使役は間接的に働きかける意味を持っている。また、語彙的使役は単文構造であるのに対し、-させ使役は埋め込み構造である。このような意味と統語構造の違いが使役動詞の処理過程においてどのようにかを語彙的使役が好まれる文脈と-させ使役が好まれる文を作り、眼球運動測定実験を用いて調べた。
     結果は、語彙的使役は文脈効果がすぐに現れるのに比べ、-させ使役は少し遅れる傾向が見られた。この文脈効果が遅れるという結果は-させ使役の複雑な統語構造によるものであると考えられる。よって派生語の処理において、複雑な統語構造を持つ場合は統語情報が意味情報よりも先に処理されるのではないかと議論する。


    第10回 2011.9.9 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)
    1. 松井理直(大阪保健医療大学)「言語理解の実時間処理について--音声処理過程を中心に」
    2. 小泉政利(東北大学)「カクチケル語の文理解と文産出」

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    言語理解の実時間処理について--音声処理過程を中心に--
    松井理直(大阪保健医療大学)

    言語処理を時系列の実時間上で行うためには、計算量の爆発を防ぐために、適切な言語単位ごとにボトムアップ処理とトップダウン処理をフィードバック・ループとして駆動することが大切である。本発表では、こうした言語理解の実時間処理の特性について、主に音声の絡む処理過程に注目して、言語理論・心理実験・神経科学の面からいくつかの話題を提供したい。

    (1) 聴覚系における音声処理について:聴覚情景処理および難聴における音声知覚を例に
    (2) モーラ・音節構造の処理と心的辞書について:特殊拍知覚を例に
    (3) 韻律構造と統語構造のマッピングについて:曖昧性を持つ疑問文理解を例に
    (4) 意味処理の影響について:ある種の袋小路文を例に
    (5) まとめ:言語理解の計算理論・アルゴリズム・ハードウェアと失語症

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    カクチケル語の文理解と文産出
    小泉政利(東北大学)

    日本語や英語など多くの言語の理解や産出の際に、主語(S)が目的語(O)に先行する語順(SO語順= SOV, SVO, VSO)のほうが、主語が目的語に後続する語順(OS 語順= OSV,OVS,VOS)よりも処理負荷が低く母語話者に好まれる傾向があることが知られています(SO語順選好)。しかし、従来の文処理研究は全て日本語のようにSO語順を基本語順にもつSO型言語を対象にしているため、SO語順選好が個別言語の基本語順を反映したものなのか、あるいは人間のより普遍的な認知特性を反映したものなのかが分かりません。この2つの要因の影響を峻別するためにはOS語順を基本語順に持つOS 型言語で検証を行う必要があります。そこで、私達は昨年からVOS語順を基本語順にもつカクチケル語(中米グアテマラで話されているマヤ諸語のひとつ)の文処理メカニズムを探る研究を始めました。

    9月のKCPでは、この研究プロジェクトの概要を説明したあと、これまでに行ったいくつかの実験の結果を報告します。現時点では様々な解釈が可能な実験結果ですので、出席者の皆さんと一緒にその意味するところについて議論したいと思います。
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    第9回 2011.7.9 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)
    小畑美貴(三重大学)「Featural Analysis and Short-Term Memory Retrieval in On-Line Parsing」

    Abstract: The rapid and incremental processing of linguistic input imposes a functional requirement for a working memory of the partially structured and interpreted input heard or seen thus far. How these working memory functions are realized, and how they are constrained, remain central issues in psycholinguistic theory. We present here new empirical results from an on-line reading task that provide clear evidence for intra-sentential proactive interference that is sensitive to the overlap of syntactic features, but not phonological features.


    2011.6.11 関西言語学会 第36回大会(於 大阪府立大学)10:00-12:00
    ワークショップ「ことばの実験研究の実際 ---関西における心理言語学研究の萌芽に向けて---」

    プログラム

    1. 小野 創  (近畿大学) 35分
      • ことばの実験研究へようこそ! + かき混ぜ文の産出
      • 文完成課題
    2. 中野陽子  (関西学院大学) 30分
      • 何もないのになぜわかる! + かき混ぜ文の処理
      • 交互様相語彙性判断課題
    3. 中谷健太郎 (甲南大学) 30分
      • 読むだけで何かがわかる! + 授与構文
      • 自己ペース読文課題 + 事象関連電位

    2011.5.28 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    KLSワークショップ打ち合せ、意見交換


    第8回 2011.4.9 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)

    片岡元・中谷健太郎(甲南大学)「The Effects of a Pragmatic Factor in the Processing of Japanese Benefactive Constructions」(Practice talk)


    第7回 2011.3.5 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)
    中野陽子(関西学院大学)「中・上級レベルの日本人英語学習者による関係節付加曖昧構文の処理--視線計測データを用いた検討」
    第6回 2011.1.29 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)
    菅原真理子(同志社大学)「Perception of English stress: English native listeners vs. Japanese listeners」
    第5回 2010.10.16 (甲南大学 岡本キャンパス)
    *KLP(関西レキシコンプロジェクト)との合同開催
    1. 小野創(近畿大)・中谷健太郎(甲南大)「日本語の疑問詞の実時間処理について 〜どのような構造的要因が処理負荷につながるのか〜」
    2. 于一楽(神戸大・院生)「動作主目的語と対象主語の具現化について」【KLP】
    第4回 2010.9.14 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)
    中野陽子(関西学院大学)「日本人英語学習者の関係節付加における選択傾向」
    第3回 2010.7.24 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)
    折田奈甫(神戸松蔭女子学院大学・院生)「エヴェ語(ガーナ,ニジェール・コンゴ語族)幼児の欲求・発話・思考を表す動詞の補文の理解について(予備調査)」
    第2回 2010.6.19 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)
    1. 中谷健太郎(甲南大学)「文処理研究における代表的な実験方法の紹介(ごく簡単に)」
    2. 片岡元(甲南大学・学生)「Mazuka and Itoh (1995)に見る日本語処理の諸問題」
    第1回 2010.5.15 (関西学院大学 梅田サテライトキャンパス)
    中谷健太郎(甲南大学)「文処理でこれまで議論されてきた主要テーマの概観」

    この研究会の名前について:「関西心理言語学研究会」というのはすぐに決まったのですが、問題は英語名で、最初は「Kansai Psycholinguistic Circle」にしようと言うことでした。しかし、略称「KPC」が微妙に言いづらい(Velar-Labial-Alveolarだから?)と不評だったので、「KCP」(Velar-Alveolar-Labial)に変えました。「Kansai Circle of Psycholinguistics」ってなんかゴロが悪いな、と思わないでもないんですが、神戸松蔭のKACL(Kobe Area Circle of Linguistics)の例もあるし、「地名 Circle of 分野」でもまあおかしくはないはず、と。もっとも「KCP」は、ぼくも参加させていただいている「KLP」(関西レキシコンプロジェクト)と紛らわしいと、かみさんには文句を言われます。しかもK*Pの並びで「K」の意味は同じなのに、「P」の意味が違うという。他にもKLS(関西言語学会)があったり、関西圏の組織は名前が似ているので覚えるのが大変ですね。え? KCPごときをKLSやKLPと同列に並べるなって? 失礼いたしました。