民博新歓遠足

2024年4月13日(土)、コロナ以来5年ぶりの歴史文化学科1回生の国立民族学博物館(吹田市万博公園)の新歓遠足が行われました。前期の基礎演習のままに9つの班に分かれて、展示について気になることをテーマとしてグループ発表(1回生を中心に、2回生以上のLAが発表を支援した)をやりました。歴史好きの皆さんにとって、展示にも、発表にも中々満喫できました。牢晴の天気と春爛漫の候でコロナの陰鬱を一掃して、5年ぶりの新生のような、元気満々の雰囲気に新歓遠足を過ごしました。(3回生・王浩宇)

第4回甲南大学西洋史研究会開催

2024年3月18日(月)14:00~18:00、歴史文化ラボラトリで、第4回甲南大学西洋史研究会が開催されました。今回は、林孝洋先生(「西洋史研究」担当)に、「向こう岸からのリソルジメント―亡命者の脱神話化と社会史への注目―」と題する報告をいただいた後、阿久根晋先生(「文化交流史」担当)にコメントをいただきました。「亡命者」としてくくられてきた人々の固定的なイメージを、社会史的手法を用いて、生活世界の実像から見直す刺激的な報告をめぐって、学生からも多くの質問がだされ、活発な議論が展開されました。続いて、他大学大学院への進学を決めている村田愛誠氏は、卒論をベースとした「「統治する女王」1830年代~1870年代―女性運動におけるヴィクトリア女王の表象―」という報告を行い、これまでの成果と今後の課題を確認しました。また、今回の研究会では、「他大学の大学院でどう学ぶか」についても話し合いました。この面で多様な経験を持つ先生方に質問しながら、大学院進学の方法、進学先での学び方、その楽しさと難しさについて、話し合うことができました。近年、本学科からも国公立の大学院へ進学する人が増えています。学部での学びをさらに深めようとする人が増えていることは、学科の知の活性化という点で喜ばしいことです。(教員・高田 実)

2023年度卒業論文・柳 天乃(鳴海ゼミ):和紙コレクションの整理と評価

甲南大学文学部歴史文化学科に所蔵されてきた「和紙コレクション」の整理及び評価を行った。この「和紙コレクション」は和紙184点333枚及び関連資料群から構成され、既に詳細な経歴が不明となってしまった資料群である。学科では和紙研究者として知られた寿岳文書が本学在籍時に残したものとも伝わっていた。関連資料群を手掛かりに調べた結果、本学文学部教授・和田邦平とそのゼミ生・瀧川吉則の両名が基幹となって収集したことや、その収集時期が昭和45(1970)年頃であったことを推測した。当時は民芸運動に後押しされた伝統工芸の保存運動が盛んな時代であった。こうした背景を踏まえつつ「和紙コレクション」に対して、資料群全体及び和紙資料一点ずつを評価した。そして整理作業の結果、目録を完成させることができた。今回の成果が、これからの保存や参考資料として活用されることを期待している。

和紙コレクションの収蔵状況 筆者撮影(2023/01/04)

2023年度卒業論文・畑匡洋(鳴海ゼミ):兵器を伴う忠魂碑の景観形成

本論では「兵器を伴う忠魂碑の景観」を研究対象として、その景観に関係する史料群から景観作成の社会システムと広がりを明らかにすることを目的とした。はじめに本論で使用した「忠魂碑と兵器」の史料群の史料論的視角からの考察、そしてこの景観に使用される兵器が処分される兵器=「廃兵器」であることを明らかにした。次にこの史料群の考察を基に、廃兵器が忠魂碑に備え付けられていく時の地域社会や海軍機関の働きやその実際のプロセスを明らかにした。この景観が出来上がり広がっていく要因として、社会制度面での忠魂碑と廃兵器の関係性、在郷軍人会の働き、効率的で合理的な仕組みの社会システムの構築、が背景にあったことを指摘した。なお、本論は「兵器を伴う忠魂碑の景観作成」の前提知識・条件として位置づけられる。

忠魂碑:「忠魂碑」意賀美神社・大阪府枚方市 1928(昭和3)年 11 月建立 筆者撮影(2023.11.8)
史料:「廃兵器無償下付の件 40 口径 12 糎1号徹甲弾 10 個」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C04016346800、公文備考 兵器7止 巻 92(防衛省防衛研究所)

2023年度卒業論文・山城文乃(中町ゼミ):イランのアジール—ゴム市におけるバスト慣習について

イランにおける聖域避難の慣習「バスト」を、ハズラテ・マースーメ廟擁する聖地ゴムに限定することで、時代ごとの姿を明らかにし、また都市の発展と関連づけて考察した。慣習は古く13世紀イルハン朝期にその事例が史料上に見られ、その後もカージャール朝の時代までは確実に引き継がれていた。避難を成立させる聖域の不可侵性はイラン地域を支配した歴代の王朝に認知され、またシーア派聖地として聖廟を含め、ゴム市には多大な後援が行われた。これを背景とする都市の発展とバスト慣習の継続及び流行は相互作用していたと論ずる。

シャルダンの見たゴム(シャルダン『ペルシア紀行』岩波書店1993年より)

2023年度卒論発表会

2024年2月29日に、卒論発表会が行われました。今年度は対面での開催が実現し、オンラインも含め20名近くが参加しました。当日は、河内琉嘉さん、山城文乃さん、廣政リヴさん、大西哲平さん、畑匡洋さんの5名が、それぞれの卒業論文の内容を報告しました。とても質の高い発表を聞くことができ、その後に質疑応答や指導教員からのコメントもあり、充実した時間でした。最後に交流会「卒論とは何か、どう取り組んだらよいか」を開き、実際に、卒論執筆に取り組んだ先輩方から、直接アドバイスを頂ける貴重な機会となりました。実際に参加してすごく刺激を受けました。私自身も、勉強を積み重ね、先輩方のように質の高い論文を執筆できるよう頑張りたいと強く思いました。(2回生・網干理子)

第4回「歴史総合・地理総合」研究会開催

2024年2月25日(日)、6‐34教室において、第4回「歴史総合・地理総合」研究会が開催されました。今回は近隣の高校の先生方にも案内をお送りし、計20名ほどの方々にお集まりいただきました。今回は、北村厚先生(神戸学院大学人文学部)のご著書『大学の先生と学ぶ はじめての歴史総合』(KADOKAWA,2023年)を素材として、井上翔太先生(クラーク記念国際高校芦屋校)と教職をめざす2人の学生(木嶋悟詞・河内琉嘉)のコメント、北村先生の応答、参加者相互の討論を通じて、歴史総合の学び方・教え方について考えました。この本には、「問い」を軸とする歴史総合の学び方がわかりやすく書かれており、より具体的な形でこの科目のねらいと今後の課題を理解することができました。また、学外からの参加者が増えたことも大きな成果でした。今後、地歴教育における中高連携の課題も積極的にとりあげて、研究会のさらなる充実をはかってまいります。(教員・高田 実)

ムスリム・フレンドリー班:「地域と繋がる活動助成金」最終報告会

私たちムスリム・フレンドリー班は、甲南大学地域連携センターによる2023年度「地域と繋がる活動助成金」の最終報告会に参加しました。一年を通して行ったハラールレストランマップ制作活動の総まとめとなるような発表を行うことができ、また発表に対する審査員の方々のフィードバックや他グループの発表を受けて、至らなかった部分、改善点を見つけることもでき、私たちにとっても非常に有意義な時間となりました。ムスリム・フレンドリー甲南の活動も一段落しましたが、この会を通じて、細々としたものになっても続けていくということが大事なのではないか、という気づきを得ることができたのは良かったと思います。(2回生・高尾小雪)

新見ゼミ、奈良巡検

私たち新見ゼミは、2024年1月13日に奈良公園周辺でゼミ巡検を行いました。新見ゼミはアジア史を研究対象とする人が多いですが、この巡検では奈良公園・興福寺・奈良国立博物館・春日大社・東大寺など、日本の歴史を眺めることができる建物を多く見学し、普段とは違った分野に触れることができました。特に、奈良国立博物館で見た絵画の中に鹿がたくさん描かれていて、古くから鹿が人々にとって身近で大切な存在であったことを、身に染みて感じることができました。また、観光に訪れている人はほとんどが外国の方で、世界的に見てもこんなに近い距離で鹿と触れ合える場は貴重なのだなと感じました。 今回の巡検は、現在まで残っている日本の歴史的な文化財や建物を直接見学することができ、日本史についての学びを深める機会になりました。(2回生・堀内空弥)