2016年度卒業論文・井上美咲(佐藤公ゼミ):「中世ヨーロッパの結婚と恋愛」

私は「中世ヨーロッパの結婚と恋愛」という題で卒業論文を書きました。研究の出発点は、政略結婚等ではなく、現在主流である恋愛結婚がいつから存在しているのかという疑問を抱いたことです。そこから、中世当時の結婚と恋愛の関係を比較検討し、二者間の融合の可能性を考察しました。身近に存在するものの根源にアプローチする作業は想像以上に大変でしたが、同時に楽しく、やりがいのあるものでした。また結婚や恋愛を介して今と異なる時代を見ることで、改めて歴史というものの奥深さを実感できたように思います。

アキテーヌ公アリエノール(生没1122-1204年)※卒業論文に用いた離婚例に登場する人物

出典:ブログ「pourquoi pourquoi」より(http://niki310.blog.so-net.ne.jp/2011-07-04-1)

 

2016年度卒業論文・小花海月(髙田ゼミ):神戸居留地の歴史的変遷ー貿易の拡大とオリエンタルホテルの機能変化を中心にー

私の卒業論文は、神戸居留地の歴史に関するものです。本稿での課題は2つあり、第1に神戸居留地がその周辺の人々に対してどのような役割を持っていたか。第2に長期間、居留地内にあり続けたオリエンタルホテルの機能、なぜ存続したかです。第1の課題に対しては、神戸港で行われた貿易などを参考にして考察し、第2の課題に対しては、ホテル経営者の経営理念などを参考にしました。結論として言えることは、文化面で受動、浸透、発信の流れがあると言うことです。つまり神戸に西洋文化が根付いたのは、居留地が存在したからこそ、またそれが神戸独自の文化となり、発信されていきました。

J.W.ハート「神戸外国人居留地計画図写」(出典:田井玲子(2013)『外国人居留地と神戸―神戸開港150周年によせて』神戸新聞総合出版センター、36頁)

2016年度卒業論文・中作莉乃(出口ゼミ):地域社会の講集団に関する一考案-兵庫県加古郡播磨町古田の大歳講を事例に-

「講」とは、平安初期に起こった「法華八講」に始まるとされている。僧衆が仏典を講読・研究する集団であったが中期以降、追悼供養の信仰の広まりや神仏習合の流行などから多種多様な講集団が誕生した。現在でもお伊勢参りや富士講等、全国的に様々な講集団の活動が確認できるが、戦後その数の減少は著しい。

本稿では、私の住む播磨町古田に今なお現存する複数の講集団を調査し、文書をひもとき、聞き書きをしながら、その歴史や活動実態から現存する理由を探った。また、地域社会における講集団の役割と価値の変化、今後の在り方について大歳講を中心に考察した。

大歳天保古文書

写真:大歳講文書「葵天保十四年 大歳神頭人順番帳 卯正月吉良日」

2016年度卒業論文・ 保倉弘徳(出口ゼミ):多死・人口減少社会に直面する寺院ー新潟県上越市稱名寺を例に挙げてー

「住職兼務・不在1万2000寺 過疎後継者不足で10年間で434寺消滅」
朝日新聞に掲載されたこの記事を目にし、将来、実家の寺院を継ぐ立場にある私は大きな不安に駆られた。卒業論文のテーマが決まった瞬間である。フィールドワークを重ね、そこで得られた生きた情報をもとに、近世文書をも読み解きながら人口減少の進む地域で寺はいかに住民とともに生きるのかを考えた。民俗学、地理学、 歴史学を横断する内容の濃い卒業論文に仕上がった。

写真:出口ゼミで共に学び、互いに高め合った仲間との一枚

髙田ゼミ企画:沢山美果子先生と読書会『江戸の乳とこども いのちをつなぐ』

2017年3月18日(土)、『江戸の乳とこども いのちをつなぐ』の著者である沢山美果子先生をお招きしての読書会を、高田先生とそのゼミの1〜3年生で開催しました。この読書会を開くにあたり準備会を設け、そこで疑問に思ったことや意見を述べ、読書会で沢山先生にお聞きしたいことをまとめました。読書会本番では、沢山先生に質問にお答えいただき興味深いお話をお伺いしたり、江戸の乳やコミュニティー、捨て子、男女の関係等について意見を交わし合い、とても実りある会になりました。(2回生・村橋奈月)