伝えたい「ローヤーの責務」—社会の正義を守る—

甲南大学法科大学院のカリキュラムの重点は、「ビジネス・ロー」に置かれています。
これからの日本社会は、ビジネスの健全な発展が求められます。「正義観」をビジネスの世界に浸透させるには、「ビジネス・ロー」で社会をリードできるローヤーが不可欠です。

困難な時代にあって
やはり法曹は意義のある存在

民事系 山本 貴揚
民事系
山本 貴揚

司法制度改革の一環として司法試験制度も改められましたが、法科大学院による法曹養成が、合格者数、質、また、大学院経営を含め、完全には順調にいっていないことを示す報道が多くなされています。国民の司法参加をはじめとして、法曹の存在が国民の目に触れる機会が増えている今、法曹養成への信頼感をしっかり築き上げる必要があると感じています。

法曹が扱う仕事は、紛争当事者の権利保護の側面とともに、法による社会秩序維持という国家政策の意味合いも有します。したがって、その一翼を担うプロとしての強い責任感と高い倫理観が必要です。能力の面では、多様化した問題に対応できる柔軟性や専門性がクローズアップされますが、だからこそ、本質を見抜く洞察力や論理的思考力といった基礎的な能力が、それらを支える土台として、より重要性を増すことでしょう。

漫然と受験勉強をするのではなく、目的意識とプロ意識を持って学んでほしいと思いますし、本大学院では、そのように指導しています。法曹人口の増加により、何もせずに仕事が舞い込んでくる時代ではありませんが、一方で法曹は常に社会から求められる存在であり、その仕事はやはり高い意義を持っていることも揺るぎのない事実です。

法曹を志した初心を忘れず
社会に目を向けながら学ぶ

公法系 小舟 賢
公法系
小舟 賢

法曹人口の急増により、無事試験にパスしても、もはやすんなりと就職が決まる情勢ではなくなっていることは、報道されているとおりです。しかし、厳しいのは法曹界だけではありません。また、厳しい状況に立ち向かう強い心がなければそもそも法曹の仕事は務まりませんし、法曹を志した初心を忘れず勉強を続 けた人にこそ栄冠が輝くのではないでしょうか。

法曹に対する社会からの要請は多様化しており、むしろ自分から「このようなサービスが提供できる」ということを社会に提示できなければならない時代です。法科大学院生は、法律学の専門的な訓練を受けているわけですが、それに加えて、社会人としての常識を擁しているか、社会情勢の変化に対して鋭敏なアンテナを張っているか否かが、法曹界に入ってからの仕事に影響を与えると思われます。

本大学院は、専任教員の充実、実務家教員と研究者教員との協働、自主ゼミ等の課外教育支援といった教育上の特色を多数持っているほか、甲南学園の伝統であるビジネス界との深いつながりなどもあります。社会との関係性を強く意識しながら新司法試験合格に向けた学習を積み重ね、ロースクールにいる間にさまざまなものを吸収してほしいと思います。