社会に貢献する材料や技術を開発する。 フロンティアサイエンス学部生命化学科 赤松 謙祐(ナノテク/微粒子)

ナノテクノロジーや金属微粒子の専門家で、現在はエネルギー変換材料を研究されている赤松謙祐教授にお話しを伺いました。

About Me ( AKAMATSU Kensuke )

専門分野はナノサイエンス(ナノ材料化学、無機化学、電気化学)で、微粒子やメッキの研究を行っています。現在は、それらの研究成果を用いてエネルギー変換材料の研究をしています。エネルギー変換材料の研究は、まだスタートラインに立った状態ですが、とても楽しく研究に取り組めています。企業との共同研究も積極的に進めており、目標に向かって研究を進めている実感がある毎日を過ごしています。

Research

Next Step in 10 Years

研究テーマは、10年ほど研究を行うとある程度の成果を得ることができます。
その成果を使って、次の研究テーマに取り組み、10年を目安に研究テーマを変えてきました。
本学に着任した最初の10年で取り組んでいたのは、金属微粒子とプラスチックの複合材料(コンポジット)です。
固体であるプラスチックの中に、金属の微粒子が分散した材料は、特定の波長の電磁波を吸収したり、微粒子の大きさによって色が変わるなどの興味深い性質を示しますが、均一に分散させるのは非常に難しく、材料合成の難しさにチャレンジする面白さを知ることができました。
次の10年は、当時の研究室の教授であった縄舟先生のテーマである「メッキ」と、私の専門の「微粒子」を組み合わせて、プラスチック(樹脂)上への新しい金属メッキ技術の開発を行いました。
当時はナノテクや微粒子を活用したメッキ技術への注目度が高く、社会的な需要も大きいテーマでしたので、研究テーマとして採用しました。
この研究では、膜になる金属微粒子をベースにしてメッキを行うという、お互いの専門分野のシナジーが期待できます。
我々の提案した新しい方法に技術的な優位性があったため、研究展開もうまくいき、多くの企業との共同研究も展開することができました。
この先の10年は、これまでに得られた成果を元に、エネルギーの変換、貯蔵、有効利用に役立つ新しい材料研究を行っていきたいと考えています。

Research That Contributes to Society

研究テーマは、その時々の時流に沿って学術的な注目度が高いものを選択してきましたが、今意識していることは「社会に貢献する研究」です。
本来、研究結果は社会に還元されるものではありますが、これまでは新しい学術分野の開拓を念頭に研究を進めていたのに対し、現在では世界のエネルギー問題の解決に寄与したいという思いが高まっています。
環境問題やSDGsの問題を解決するアプローチを考えた結果、これまでの研究成果を活用して、電池を代表とするエネルギーを変換する材料の研究を行うことを決めました。
現在使用されている電池は、廃液・廃材の処理が必要であったり、環境に良くないという問題点があります。
この問題点を、廃液がでない材料合成手法の開発によって解決し、環境に優しく、光や熱エネルギーを電気エネルギーに変換する新しい材料を実現したいと考えています。
研究のための熱電材料の評価装置など、研究開発のための環境の整備を行い、これから本格的に研究がスタートします。
まずは第一歩として、我々が開発した新しい合成方法に関する論文を発表したばかりで、今後は様々な金属材料を使って、高性能なエネルギー変換材料の合成方法を模索しています。

測定装置
顕微鏡観察

KONAN’s Value

研究を数十年続けていると、自分の技術が実用化され、社会に役立っているという実感を得ることができます。
また、目標に向かってトライアンドエラーで研究を進めていることがとても充実していて、楽しいと感じています。
研究のための環境が整っている甲南大学での学びは、社会に出たときの人生観にも大きな影響を与える素晴らしい機会だと思っています。

Private

プライベートの趣味はゴルフです。
これまで友人たちと「年一ゴルフ」を20年やってきました。
20年も続けているのになかなか上達しないのがもどかしいのですが、土日は最高スコアが取れるようにYouTube動画で研究しながら楽しんでいます。
試行錯誤を繰り返して、少しずつ上達していく(ものすごく遅いですが)のが研究と通じるものがあり、だから楽しめているのかもしれません。

ゴルフ

Profile

フロンティアサイエンス学部
生命化学科 教授

赤松 謙祐

AKAMATSU Kensuke

専門領域

ナノテク・材料 / ナノ材料科学

キャリア
神戸大学大学院自然科学研究科・博士後期課程・物質科学専攻 修了

所属学協会

表面技術協会
日本化学会
日本熱電学会
電気化学会