2013年度 甲南大学地域連携センター(KOREC)地域連携プロジェクト
Science & Arts への扉―地域とともに、大学とともに 「フィールド写真を撮る」

第2回「フィールド写真」講座 2013年12月1日(日)



 
第2回の撮影実習は古都奈良の長谷寺(桜井市初瀬)からおふさ観音(橿原市小房)を巡りました。今回も絶好の撮影日和、山の紅葉はまだ一部残っています。メンバー7人が集まりました。
10時30分、近鉄大阪線の長谷寺駅に集合、駅から大和川にむかって急な坂道をおりると、川沿いに大和と伊勢を結ぶ東西の街道にぶつかります。寺までの沿道は落ち着いて、かつにぎやかな門前町を形成しています。長谷寺は古くから初瀬詣として知られ、西国巡礼の8番札所として今も昔も多くの参詣者が集う場所です。

紅葉の季節と本尊の大観音特別公開とあって、何十回も来ている私でも見たことがないぐらい大変な人出だった。山門をくぐると長い階段が待っている…しかし緩やかなのと屋根がついているため石段の痛みが少ないので比較的楽な登りだ。冬にはこの石段の横に長谷寺自慢の寒牡丹の花が咲く。

紅葉の盛りは過ぎたが本堂の南西角が紅葉見物のポイントになっている。ぶらさがっているのは独特の形式を持った「長谷寺行灯」である。

風景には長い年月をかけ土地の人々と旅人がつくりあげてきた風格があり、伝建地区にありがちな手の入れ方とは異なる趣が醸し出されています。歩くこと15分、初瀬山の麓から中腹までさらに長い登り階段をあがって長谷寺の本堂の舞台へいたると、眼下には川筋と並行する街道筋のけしきが広がります。「じっくり時間をかけて撮影しましょう。

12時に僧侶の鐘つきがあるので見逃さないよう、鐘楼に集合してください」という出口まさと先生の説明や指示のもと、それぞれ宝物殿を見学したり、境内をじっくり撮影。

毎日修行僧が正午きっかりに梵鐘を突きに来る…これも必ず見てほしい。

法螺貝をかかえた僧侶がやってきて、急な鐘楼の階段をトントンと下駄でかけあがっていきます。参詣者は天上から鳴り響く法螺貝の音に耳を傾け、梵鐘の音は谷間に吸い込まれていきます。初瀬の人々はこうして音けしきを日々聞きながら暮らしているのです。

本堂脇で下から上がる最後の位置に鐘楼はある。特に仏教徒ではない私も、法螺貝を吹き鳴らし鐘をつく若き修行僧には感動すらおぼえる。

撮影を続けること2時間半、午後1時半再び山門集合して、参道にある老舗の食堂にはいって少々遅めの昼食です。暖かいにゅうめんと柿の葉寿司を皆でいただきました。西に連なる三輪山の山麓はそうめん発祥の地とされ、揖保そうめんと並んで知られたそうめんの里です。柿の葉寿司ともに奈良らしい味わいです。「ようお越し、さっきまで満席やったのでどうしよかと思てました」まさと先生をはじめ何人かは通いなれた場所であり、顔なじみの食堂の女将さんとも会話がはずみます。一息ついたあと、再び参道の人々と町並み、山河の自然を再び撮影しながら駅に向かいます。参道沿いの法起院にはハガキの原点といわれるモチノキ科のタラヨウの木があり、文字を書けば茶色く文字が残る性質から願いごとがびっしり。ここは播磨国揖保郡に生まれた上人が開基した長谷寺の塔頭です。
傾斜の強い坂道をのぼって長谷寺駅へ。古都奈良の歴史と文化には奥行があります。そして奈良は都のあった奈良盆地を除けば圧倒的な山国であることを強く印象づけられます。

再び八木西口まで電車に乗り、おふさ観音へ。伝建地区の今井町とは反対方向ですが、一歩入れば古い町並みがそこここにあり、生活感が感じられます。奈良の都意識はいまなお息づいているのでしょう。

夕暮色の「おふさ観音」にて。来るたびにバラが増えていく。本堂裏の庭園も綺麗に手入れされている。

いまや風鈴とバラで有名になったおふさ観音ですが、境内を埋め尽くすバラ園は現住職の取組みではじまったとのことです。
メンバーの一人は、おふさ観音のその住職とは高校時代の同級生だったことを思い出し、思いがけず何10年ぶりかの再会もありました。

最後に〆のお話し=と云っても楽しかった今日を語り、最後に記念写真を撮った。

今回の撮影実習での画像はすべてCDにして出口まさと先生にお送りください。
次回撮影実習は1月12日(日)兵庫県明石市「藤江の的射」です。御崎神社で行われる正月の伝統行事で、明石市の文化財に指定されています。時間の許す限り、江井ヶ島の酒蔵など播磨灘を見渡す場所を訪ねます。どうぞお楽しみに。