植物細胞工学研究室
Laboratory of
Plant Cell Technology
研究紹介
生物学科/植物細胞工学研究室
今
井博之 教授
博士(理学)
1963年,北海道出身
総合研究大学院大学生命科学研究科博 士課 程
専攻と研究内容/
植物細胞工学・植物生化学。
植物のスフィンゴ脂質代謝の仕組みの解明。 植
物に存在する謎めいた脂質の代謝デザイン。
私たちの研究室では、“スフィンゴ脂質”とい う脂質に注目して、この脂質が植物の中でどの ように生合成され、分解されるのかという「スフィンゴ脂質の代謝経路」の研究を進めてきました。スフィンゴ脂質という名 前は、ギリシャ神話に出てくる謎かけ怪獣”スフィンクス”に由来するといわれています。
2000年
代に入り、植物 のスフィンゴ脂質代謝に関わる酵素 遺伝子の解析は、主としてモデル実験植物であるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)を用いて行われ
てきました。特にこの10年間で、スフィン
ゴ脂質の生合成に関与するほとんどすべての合成酵素の遺伝子が明らかにされ、この脂質の生理機能の研究が植物の分野で大
きく
進んでいます。私たちの研究室でも、トランスジェニック植物によるスフィンゴ脂質シグナリングの解析や、植物細胞の蛍光イ
メージング、質量分析を基盤とする網羅的なスフィンゴ脂質代謝物の解析(スフィンゴリピドーム解析)など、最新の技術と
手法 で、植物の生きる仕組みにスフィンゴ脂質がどのように関わっているのかの謎に迫っています。
今後は、シロイヌナズナで解明されたスフィンゴ脂質の遺伝子機能解析の成果を基礎として、
スフィンゴ脂質代謝に関わるトランスジェニック植物を利用し、医薬品原料や機能性食品、各種化学品などの有用物質を生産
する技術開発も進めていきたいと思っています。