EXPO’70 「せんい館」のイメージイラスト:三ツ星レストランの残飯
1970 年の大阪万博(EXPO'70)は前衛アートの祭典でもありました。特に当時の最先端テクノロジー、コンピュータ制御で多数の映写機を一斉稼働させる「マルチスクリーン」が注目を集めました。「せんい館」(横尾忠則設計)の巨大ドームでは、 故 松本俊夫監督による映像作品『スペース・プロジェクション・アコ』が上映されました。「アコ」とは、その主人公の女性の名前でした。
本作『EXPO'70 前衛の記憶 ~ アコを探して』は、松本俊夫を師と仰ぐ寺嶋真里監督の新作です。甲南大学の全学共通科目「芸術史」(2023 年度)の受講学生たちが、EXPO'70とそのアート、そしてその時代について自分たちで調査研究し学んでいくドキュメントであり、現代の“アコ”がEXPO'70の「アコ」を探す物語です。学生たちは各自のスマホを映画撮影用カメラとして使います。「マルチカメラ」です。誰もが端末をもち、誰もが情報発信者となり、そのネットワークが増殖していく、そんな現代の最新テクノロジーの在り方の象徴です。また、学生たちがこの機に知りえた、EXPO'70で活躍した芸術家や関係者の貴重な証言や資料の数々も収録されています。
①70年大阪万博参加芸術家のテレビ出演/提供:今井祝雄(美術家・もと具体美術協会会員) ②踊るミエ(アーティスト) ③踊るミエ+クリーマーズ!+斉藤ネヲンサイン+ダイヤ・ピアノ・サンタ ④70年大阪万博出品作品『3トン石』by今井祝雄 ⑤せんい館内イメージイラストby三ツ星レストランの残飯(アニメ作家) ⑥⑭太陽の塔と岡本太郎イラストby三ツ星レストランの残飯 ⑦⑪70年大阪万博出品作品『ルネ・マグリットの男』by四谷シモン(人形作家)/所管:大阪大学総合学術博物館 ⑧70年大阪万博せんい館パンフレット ⑨⑳70年大阪万博ひつじ園での様子/提供:舍川和子(元せんい館職員) ⑩せんい館スタンプ ⑫⑬白井達郎(70年大阪万博の語り部)と甲南大学の学生たち ⑮㉖70年大阪万博せんい館ホステス/提供:吉川晶子(元せんい館ホステス) ⑯「万博お祭り広場」/提供:【発行】小学館クリエイティブ【発売】小学館 ⑰横尾忠則(現代芸美術家) ⑱『週刊アンポ』No.2表紙by横尾忠則/提供:株式会社 ヨコオズ・サーカス ⑲70年大阪万博アメリカ館内部/提供:居田伊佐雄(実験映像作家) ㉑西田博至(三宮図書館館長)と甲南大学の学生たち@神戸KIITO「1970大阪万博展覧会」大阪府・アートアンドサイエンス事務局 ㉒70年大阪万博『スペース・プロジェクション・アコ』by 松本俊夫/写真:遠藤正 ㉓㉔㉘㉛甲南大学の学生たち ㉕せんい館イラストby小川隆章(漫画家) ㉗松本俊夫(映画監督) ㉙㉚甲南大学「芸術史」授業風景 《敬称略》

学生の衣装は、サイケデリックな色柄やミニスカート、チューリップハット、ベルボトムのパンツ、ロンドンブーツ、ヒッピースタイル等々、すべて1970年ごろに流行していたファッションです。往年の「ナウなヤング」に扮した学生が、当時流行した「ゴーゴーダンス」に挑戦しました。楽曲提供、衣装提供は“踊るミエ”。その仲間たちもダンスで競演。彼らの「モーレッツ!」な熱風をぜひご堪能下さい。
CAST
学生◉紀井美夕
学生◉杉本夏穂子
学生◉脇岡李江
学生◉井上泰地
学生◉西條佑真
学生◉肥前諒
学生◉成田亮平
現代美術家◉横尾忠則
万博グッズコレクター
◉白井達郎甲南大OB
◉財田和典貝谷バレエアカデミー
バレエ教師◉山本教子美術作家
◉マンタム美術批評家・キュレーター
◉室井絵里実験映像作家
◉中島崇ヴィジュアリスト
◉手塚眞実験映像作家
◉居田伊佐雄美術家・もと具体美術
協会会員◉今井祝雄漫画家
◉小川隆章映像作家・身体表現
◉万城目純映像作家・演出家
エッセイスト◉萩原朔美アーティスト
◉踊るミエゴーゴーダンサー
◉クリーマーズ!(ライム、エマ)アーティスト
◉ダイヤ・ピアノ・サンタアーティスト
◉斉藤ネヲンサイン
STAFF
◉寺嶋真里photo:Kyo Nakamura
◉松本俊夫photo:Yoshitaro Inami
EXPO’70 「せんい館」の総合プロデュースは、日本の前衛映画を牽引した松本俊夫(1932-2017)でした。松本の映像作品「スペース・プロジェクション・アコ」は、「せんい館」ドーム内の壁面全体に投影されました。10台の大型映写機、10台のスライド、8トラックのシネコーダー、ドーム内の周囲の壁、天井、床面などに埋め込まれた50個以上のスピーカー、全てがコンピューターで制御され観客を圧倒したそうです。主演の「アコ」はオーディションで約300人から選ばれた、当時20歳の女性でした。
本作の監督を務めるのは、松本俊夫の弟子として活躍中の映像作家、寺嶋真里(1965- )です。数々の国際映画祭にも招待上映されてきた、アヴァンギャルド&アンダーグランド映像の実力派アーティストのひとりです。寺嶋の「アコ」が、松本の「アコ」を探すのです。
◉踊るミエとザ・ジャック・ポッツ
楽曲提供◉踊るミエとザ・ジャック・ポッツ
(左から山ゴン、アオヤマタロウ、踊るミエ、こむ、ヒロミ)
この映画に提供された音楽『夜の花』『悪な2人』、作詞・作曲はNAIL、編曲・演奏はバンド“ザ・ジャック・ポッツ”、歌うは“踊るミエ”。ゴーゴーダンスの『トリップ・マン』は、バンドメンバーのアオヤマタロウが本作のために書き下ろした。
◉岩切等
◉大川晃弘
ゲスト・カメラマン◉岩切等・大川晃弘
ゲスト・カメラマンとして写真家・岩切等と映像クリエイターの大川晃弘が撮影に参加。
◉三ツ星レストランの残飯
アニメーション◉三ツ星レストランの残飯
超絶個性派・珍妙アニメ作家
“三ツ星レストランの残飯”が
オリジナルアニメを製作。
◉西澤利貴衣
◉真田ともこ
◉千葉草太
◉嘉山圭一
◉妹背光代
◉稲川道子
編集◉
松本俊夫門下生である映像作家RIKieによって編成された優秀な編集チーム。
編集コーディネーター◉西澤利貴衣 編集◉チーム RIKie(真田ともこ、千葉草太、嘉山圭一、妹背光代、稲川道子)
COMMENT
12月7日・8日の #プレミア上映会、盛況でした!ご来場くださった皆様、本当に有難うございました。#アコを探して 映画がやっと完成しお披露目が出来ました。寺嶋監督と主演の記井美夕さんも東京から参加。とても思い出深い1日となりました。こちら、編集スタッフの方が撮影して下さった記録映像です♪ pic.twitter.com/4M3kCGcXzF
— 甲南大学人間科学研究所_ART (@rnjinkxuyn25170) December 15, 2024
二神敦さん(50代・万博マニア)「非常に良い」(2024.9.15)
私も大阪万博を体験していない世代… 「万博はちょっと古い昔のコト」という印象を抱いていましたが 今日、映画に出ていらっしゃった方々も 大阪万博には間に合わなかったアフターEXPO'70世代 でも一周回って、新しくカッコイイ映画だと感じました!
中安航太さん (40代・甲南大OB)「非常に良い」(2024.9.15)
断片的にしか知らない万博を学生の目線で見れたのが面白かったです。 79年生まれで、恐らくまだ万博の残り香がある中で育ったせいか 漠然と憧れもあり、誠に興味深いです。
大石真理子さん(60代以上・甲南大 リカレント学生)「良い」(2024.9.15)
貴重なものを観せて頂きお礼申し上げます。 大阪万博の時は高校2年生、70年代は高校・大学・就職と自分が一番キラキラしていた時代。 ファションもアイビールック、アンノン族、ニュートラと、その時代のファッションをまとった写真は多数あったが、阪神大震災で家が全壊してアルバムを焼失、あの頃の私に出会いたくなった。 万博は全国民の関心事だったと思う。遠くの身内が皆、うちの家に宿泊して万博に行った。母は大変だったと思う。 70年代は良くも悪くも、国が精一杯頑張った時代だったのではないか。 リカレント生として甲南大にお世話になっている。学生さん達に70年代の事をお話しできるチャンスがあればと願っている。
山田章さん(60代以上)「非常に良い」(2024.9.15)
チラシをみてドラマ仕立て風の作品を予想していたのですが、いい意味で裏切られ・・・いいものになっていると感じました。 甲南大の芸術史の講義・発表のドキュメンタリーとして成立しています。 しかも、EXPO'70の時代を生きた人たちと、現代の学生たちの複眼の視線を比較しつつ、ぶあつい文化映画になっていると思います。大学の現場でしか作れないものだと思います。 私はこの川田先生の講義を受けたかったです。学生さんがうらやましい。
杉本夏穂子さん(20代・甲南大 学生/出演者)「非常に良い」(2024.9.15)
撮影期間の楽しい記憶がよみがえってきました。 私の青春です。 大体寝ている井上君、最高ですね。
西條佑眞さん(20代・甲南大 学生/出演者)(2024.9.15)
「楽しそうだから」という軽率な理由で参加させていただきました。 拙いところもあり申し訳なさや少々の恥ずかしさもありますが、貴重な体験をありがとうございました。
脇岡梨李江さん(20代・甲南大 学生/出演者)(2024.9.15)
コレクターの白井(達郎)さんや当時を知る芸術家の方々へのインタビューがやはり熱量が伝わってきて良かったです。