甲南大学 人間科学研究所

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2022/3/30
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【報告】子どもの哲学研究会「コロナ禍下でのp4c実践の実際と課題」

日時:2022年3月3日(木) 16時~17時20分


場所:Zoomによるオンライン開催


講師:川﨑惣一(宮城教育大学教授)


司会:川口茂雄


 秋には一時コロナウイルスをめぐる状況が改善を見せ、甲南大学での久しぶりの〈子どもの哲学〉実施の可能性が模索されたが、その後の状況の再度の悪化から、残念ながら2021年度も小学生を大学キャンパスに招いてのp4c実施は断念されることになった。これに代えて、今年度はオンラインのクローズドの形態で、研究会「コロナ禍下でのp4c実践の実際と課題」を実施した。


 仙台市内の小学校での実践においては、コミュニティボールを消毒しつつp4cを限定的に実施した場合もあった(足でサッカーボールを蹴るかたちでの代用事例もあったという)一方で、輪になったりボールに触ったりということ自体を避けるべきとして、p4cが全面的に実施できない時期も長くあったという。また、オンラインでのp4c実践は、国内外でこの間試みられてきたことの一つであり、独自なメリットもないわけではないが、川﨑先生の見方としては、やはりオンライン形態ではp4cの根幹のひとつである「セーフティ」が十分には確保しがたい、という限界があるようにとらえられたとのことであった。家庭環境や、デジタル機器の有無および習熟度といった諸要素もそこに複雑に絡む。発言をする・しないといったことよりももっと手前にある、複数の人間が空間的にひとつの場を共有し、ひとつの時間をともに過ごすことの他に替えがたい意義について、このコロナ禍下で図らずも私たちが得た気づきを、今後状況が改善してきた際にいかに再起動し、いかにしてより多くの人々に伝えていくかが、いわば前向きな課題として見いだされた。