甲南大学 人間科学研究所

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2022/9/15
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【報告】第13回親子孫子で楽しむアート『アルコールインク・アートに挑戦!』

 2022年8月20日(土)、3年ぶりに18号館講演室にて対面でのワークショップの開催となった。主催者として、準備段階から会場や画材・道具のメンテナンス状況を確認したり、感染予防対策を講じたりと、気を遣うことが多かった。その一方で、直に参加者とコミュニケーションを取りながら、アートを制作できることへの期待が膨らんだ。当日は4組10名の方にお越しいただき、講師の椋田三佳先生のご指導をいただきながら、約2時間、活気あるクリエイティブな時間を過ごすことができた。

 『親子孫子で楽しむアート』では毎回、家庭ではなかなか使う機会の少ない画材・素材を提供し、いろいろな表現方法を紹介している。今回メインで使用した画材はイラスト用サインペンの補充用インクで、アルコールベースで速乾性の高さが特徴の一つである。一つ一つの色が鮮やかでクリアな発色をすることも魅力である。ワークショップでは、椋田先生に基本的な制作手順をまず披露していただいた。アルコールを専用紙の上にスプレイし、スポイト状のインクホルダーから滴を落とし、何色かの滴を重ねると、インクが自然に広がったり混ざったりして、様々な模様ができる。偶然の産物である色や形を味わいながら、少し乾かした後にさらにアルコールを吹き付けて混色を進めたり、模様を付けたりして、さらにイメージを発展させることができる。模様を眺めて具体的な形を発見したら、サインペンや筆で手を入れて、形を際立たせてもよい。また、別の方法として、最初から用紙に直接インクを落とし、その上からアルコールを吹き付けて模様を広げていく方法もあるという説明を受けた。

 どの参加グループも制作を開始すると、思い思いに色を紙に落とし、模様をつくっていった。大人が比較的慎重に作業をし、偶然できた色かたちから派生したイメージを主題にして作品化していくのに比して、子どもたち(未就学児と小学生)は、実験精神に富み、自分が楽しめる作業ポイント―インクの混色や配置、筆や刷毛のタッチ、グリッター遣い、ドライヤー掛け等々―を見つけ、どんどん作品数を増やしていったのが印象的だった。事後のアンケートで、保護者の方が子どものサポートだけでなく、自身も作品作りの時間が取れたことがよかったというコメントを頂いたが、実際、親子がそれぞれ自分の作品をつくりながら、あれこれと話をし、気持ちを出していく姿が、どのグループにおいても見られた。本ワークショップをとおして、ふだんの生活では接しにくいアルコールインクをつかったアート体験をすることによって、参加者が経験の幅を広げ、表現することの面白さを感じていただいたと思うが、それと同時に、家族が日常とは異なるかかわり方でアートを介したふれあいを楽しんでいただけたように思う。

 ワークショップの最後には、すべての作品を一堂に集め、皆で鑑賞しながら一言ずつ感想をいただいた。幼い子どもでも、自分の作品がどんな風に出来上がったか、気に入っているところや今の気持ちなど、いろいろとコメントできるもので、感心しながら聞かせていただいた。こうした小さな発表会を含め、対面でワークショップを行えたことの意義を十分に味わえる機会となった。

文責:内藤あかね(甲南大学人間科学研究所客員特別研究員)

【実施日】2022年8月20日(土)

【参加者】10名