甲南大学 人間科学研究所

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2022/12/10
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【報告】「山室眞二のじゃがいもデ版画ワークショップin 甲南アトリエ」

2022年11月5日(土)、甲南アトリエとしては初めてのオンライン(Zoom)によるリアルタイム・ワークショップを開催した。講師は、いも版画の作品制作や装幀・造本の世界で活躍されている山室眞二先生にお願いした。このワークショップの特徴としては、芋と爪楊枝やカッター、そして水彩絵具といった一般家庭で容易に準備できる素材だけを用いること、制作過程の講師の手元をクローズアップ画面で常時見られること、またWebカメラを通して参加者が講師に質問したり相談したりできることであり、また、この形態であれば、感染症の拡大状況とは無関係に開催可能であること、どんな遠方からでも参加者できることなどが挙げられるだろう。それゆえ今回の試みは、これからのワークショップの新形態のひとつのモデルになったと言えるかと思う。
 講師をお願いした山室眞二先生のいも版画は、サツマイモではなくジャガイモを用いる。その優しくしっとりとした質感と、淡く美しい色彩、繊細な線の表現、そして親しみやすいモチーフといった、その独特の作風に魅せられた根強いファンも多い。
 このたびは、Webから予約登録した参加者に、まずワークショップ前日までに12ページにわたる山室先生手づくりの「テキストブック」と、「下絵(図案)」がeメールで送られた。「テキストブック」は、プリントアウトすれば中綴じ冊子にできるもので、詳細な制作手順や技法なども紹介されていた。
 11月5日のワークショップ当日は、山室先生の丁寧で分かりやすい指導のもと、参加者も皆が爽快なテンポで制作を進めることができた。全員がまずは上述の「下絵」によって、爪楊枝だけでできる「うさぎ」と、カッターによる「いちご」で基本的なテクニックを体験し、その後、山室先生が用意してきてくださった「応用編」の作品の数々を皆で鑑賞しつつ、その制作方法を教わった。総合司会は谷口あや(KIHS博士研究員)、ワークショップ中の「聞き手」兼「進行役」は、本プロジェクト全体の企画者でもある長田絵美(人文科学研究科修士課程2年生)が務めた。ワークショップ実施後のアンケート結果は、「大変満足」か「満足」との回答ばかりだった。
 参加者にはワークショップ終了後、できあがった作品(はがきサイズ)を1点ずつ郵送してもらい、11月15日から27日までの会期で、甲南大学ギャルリー・パンセにおいて「じゃがいもデ版画ワークショップ 成果発表展」が開催された。各々の彫り方、刷り方、色づかいなどの違いも面白く、それぞれに味わい深い作品の展観となった。また、山室先生から送っていただいた、いも版画の名作の数々も同時に展示され、全体として充実した展覧会となった。
 後日、山室先生が、ここに展示された参加者の作品画像を集成して『じゃがいもデ版画 ワークショップ 作品集』と題された可愛らしいリーフレットを作ってくださった。そこには、参加者の作品ひとつひとつについて、山室先生からの暖かいコメントが講評として書かれていた。この「作品集」は、展示作品が参加者に返送される際に同封され、参加者にとっては素晴らしい記念になったことと思われる。

【実施日】
ワークショップ:2022年11月5日(土)
参加者:15名(Zoom参加人数。うちKIHS側スタッフ6名。)

成果展覧会:2022年11月15日(火)~11月24日(金)
参加者:26名(芳名帳の記名人数)

【展覧会Webサイト】
ギャルリー・パンセ(公式HP): http://www.konan-u.ac.jp/faculty/letters/pensee/
ギャルリー・パンセ(インスタグラム): https://www.instagram.com/p/Ck_F8HXy3pl/

文責:川田都樹子(兼任研究員)

ワークショップ開催中のWeb画像(Zoom)より山室眞二先生と先生の手元の映像。(11月5日)

 

成果発表展。ギャルリー・パンセ(5号館1 階)。

山室眞二先生から参加者全員に後日に送られた「作品集」。