人が主役の街、歩いて楽しい「三宮」へ!
変わりはじめた神戸の未来を探る。

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2025.8.21
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神戸・三宮。甲南大学で、いままさにキャンパスライフを楽しんでいる人も、かつて青春時代を過ごした人も。この地名を聞くとさまざまな記憶、サークルやゼミの友人たちと過ごした時間と景色が想い出されるはず。そんな三宮が、いま大きく変貌しつつあることに気づいていますか?2015年に神戸の都心の未来の姿【将来ビジョン】、三宮周辺地区の『再整備基本構想』が策定された三宮周辺地区の再整備が本格的に動き出し、だれも見たことのない三宮の未来がすでに始まっているのです。その現在地と将来像をもっと知りたいと、この度計画を推進している神戸市のご担当者に直接お話を伺いました。都心企画係長の高倉透さんが語ってくれた、このプロジェクトの全貌とは?これを知れば、あなたもきっと、これからの三宮に大きな夢や期待が生まれるはずです!

 

 

 

 

Contents

・三宮再整備の先駆けとなった「サンキタ」のリニューアル。

・街の顔として大胆に構想された「三宮クロススクエア」とは。

・魅力のスポットをネットワークして回遊できる街・神戸へ。

 

 

 

 

 

 

 

三宮再整備の先駆けとなった「サンキタ」のリニューアル。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

いま、三宮という神戸の中心が大きく変わりつつあるということですが、
どのような計画なのでしょうか。

 

 

高倉さん:神戸市では2015年9月に、神戸の都心の未来の姿「将来ビジョン」と、三宮周辺地区の「再整備基本構想」というものを策定しました。これは市役所だけではなく、周辺のまちづくり協議会など地元の方、鉄道事業者、バス事業者、経済界、学識経験者といった多くの方々と議論をしながら策定したものです。この計画の基本になっているのは、人が中心、人が主役となる居心地の良い街を創っていこうという視点です。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

人が主役というと具体的にどういったことでしょうか。

 

 

高倉さん:神戸は、海と山、そして街が非常にコンパクトにまとまっており、地上レベルに魅力的なスポットが数多く点在しているという特徴があります。旧居留地、元町、ウォーターフロントといった都心エリアを楽しく回遊でき、心地よく滞留できるような街づくり。その回遊の拠点となるのが再整備された三宮というイメージです。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

多くのプロジェクトがスタートしているそうですが、
阪急三宮駅北側はすでに「サンキタ」として整備されていますね。

 

 

高倉さん:阪急ビルが建て替えられるタイミングにあわせて「サンキタ広場」と「サンキタ通り」のリニューアルを行い、ここが最初にコンセプトを実現したエリアとなりました。広場から通りへの舗装デザインを統一して連続性をもたせ、全体の回遊性を高めています。さらに通りは、日中も貨物車のみ、夕方以降は完全な歩行者天国になります。オープンテラスの飲食店なども営業可能になったので、昔とはまったく違う表情になっています。店舗と道路が融合してにぎわいを創出するような、街として新しいスタイルがいまのサンキタ通りの特徴ですね。

 

 

一般車両は、車両通行止めとなり、オープンテラスの飲食店なども増えた「サンキタ通り」。再整備前とはまさに見違える景色で、人が中心のにぎわいがあふれたストリートへ。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

かつての風景しか知らない人は驚くでしょうね。
広場の方も大きく変わりました。

 

 

高倉さん:広場は設計コンペをおこなったのですが、一般の方も含めて220点ほどの応募がありました。最優秀賞となったアイデアを実現するべく、さまざまな努力や工夫をおこなっています。バス停や交差点の移動などで見晴らしが良く、駅からの移動もスムーズな広場スペースを確保。さらに交差点のコンパクト化でクルマの進入速度を抑え、歩行者の安全性も高めています。おかげでサンキタエリア全体を、人を中心にした回遊性の高い環境にリニューアルすることができました。広場は、申し込めば、イベントや発表の場など様々な形で利用できるようになっているので、待ち合わせ場所としてだけではなく、新たなにぎわいがうまれています。

 

 

写真で比べるとよくわかる新旧の阪急神戸三宮駅周辺。広々として見晴らしが良く、舗装の連続性でエリアの一体感も感じられる。

 

 

かつては「パイ山」などと呼ばれ、待ち合わせ場所として有名だった「サンキタ広場」。より快適に過ごせる空間となり、音楽やダンス、アートなどのイベントも開催されている。

 

 

 

街の顔として大胆に構想された「三宮クロススクエア」とは。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

今後予定されているプロジェクトについても教えて下さい。

 

 

高倉さん:まず現在の三宮の課題として、東西に走る中央幹線と南北に走る税関線、いわゆるフラワーロードによってえきとまちが分断されているということがあります。また6つもの鉄道が集中しているため、駅の改札口にしても地上、地下、デッキと階層がバラバラになっている。これらを、人が集まったり休憩したりできる滞留空間の確保や、駅間の乗り換えの動線の改善、駅とまちのつながりを強化することで解消していきたいと考えています。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

また、三宮って利用するバスによって
乗り降りする場所がバラバラで複雑な印象がありますが
その点については何か計画はあるのでしょうか。

 

 

高倉さん:ミント神戸の東側に新たな中・長距離バスターミナルの整備が進められています。これは三宮駅周辺に分散している1日約1,700便の中・長距離のバス停を新バスターミナルに段階的に集約しようというもので、Ⅰ期は、2027年12月完成予定です。また、同じビル内には宿泊施設や商業施設といった賑わい機能を、図書館やホール、山々を望める屋上庭園なども併設されます。さらに、その西側では複合商業施設となる(仮称)JR三ノ宮新駅ビルが建設中で、こちらは2029年開業予定です。

 

 

新バスターミナル(Ⅰ期)が入る再開発ビルの完成イメージ

 

 

 

 

 

「(仮称)JR三ノ宮新駅ビル」は高さ約155m、地下2階、地上30階建てというスケールを持つ複合商業ビル。完成すれば三宮に新たなランドマークが誕生する。(2029年度開業予定)

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

これは三宮駅周辺のイメージが大きく変わりそうですね。

 

 

高倉さん:こうした変化と一体となったにぎわいを創出することを計画したのが「三宮クロススクエア」で、第一段階として、東西に走る中央幹線を10車線から6車線に減らし、ゆったりとした広場空間に転換。快適な滞留空間を創りだすことを進めています。

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

中央幹線はかなり車の往来が激しいですけど、
そんなに車線を減らして大丈夫なんですか?

 

 

高倉さん:じつは三宮駅周辺に乗り入れている車というのは、その約半数が通過するだけなんです。これらを自動車交通マネジメントにより山手幹線や浜手幹線といった外周道路に誘導すれば、三宮駅周辺の交通量が大きく減らせます。ちなみに、じつは(仮称)JR三ノ宮新駅ビルの建設工事の影響で、中央幹線は現在すでに6車線規制されているんですよ。今後の交通量を見ながらですが、将来的にはさらに3車線まで減らしたいと考えています。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

すでに6車線でうまくいっているなら、
たしかに大丈夫そうですね。

 

 

高倉さん:そして新たなバスターミナルと(仮称)JR三ノ宮新駅ビルを接続するような形で東西に全長3~400mの歩行者デッキを構築する予定です。フラワーロードを跨ぐデッキとも連結して、阪急、阪神、JR、ポートライナーへの乗り降りがデッキでつながります。

 

 

三宮に乗り入れる多くの鉄道路線の改札や新たなバスターミナルをわかりやすく連結する歩行者デッキ。ウッドとガラスを組みあわせた屋根をもちいて開放的な散策路を実現。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

地上には車線減少でゆとりある広場空間が生まれ、
空中は直線的でわかりやすい歩行者ウッドデッキが結ぶわけですね。

 

 

高倉さん:これにより、歩行者の駅周辺の快適性と利便性が大きく向上すると思います。また、神戸市では「三宮クロススクエア」を含む都心エリアに景観デザインコードというものを策定しました。これにより、公共空間と周辺の建築空間が一体となった景観を実現しようとしています。これからの三宮が、神戸の顔としてふさわしい「えき≈まち空間」になるよう計画を進めています。

 

 

 

魅力のスポットをネットワークして回遊できる街・神戸へ。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

そもそも三宮だけではなく、
都心エリア全体を考えた計画だというお話もありました。

 

 

高倉さん:ええ。いま三宮駅周辺だけでなく、さまざまなエリアで新しい魅力やスポットが誕生しています。いつも多くの人が訪れる「さんちか」のリニューアルや、市民スポーツの中心となる「磯上体育館」の開設、都心の癒し空間である「磯上公園」の再整備などはすでに完了しています。ウォーターフロントも着実に再開発がおこなわれ「ジーライオンアリーナ」といった新たなランドマークとなる施設が次々と誕生しています。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

メリケンパークをはじめ神戸ウォーターフロントはもともと
人気がありましたが、さらに魅力が増しているのですね。

 

 

高倉さん:そんなウォーターフロントに三宮から向かうフラワーロードについても、これから並木や歩道照明の設置など、回遊性を高めるための再整備をおこなっていきます。沿道にあった「神戸市役所本庁舎2号館」は建築から60年以上が経過し、老朽化が進んでいることや阪神・淡路大震災の被害を受けていることなどから建て替えに向けて検討を進めてきましたが、市庁舎だけでなくオフィスやホテル、商業施設、市民利用空間を備えた複合施設として2029年に再建されます。隣接する「東遊園地」北側園地は豊かな自然と賑わいのある都市公園としてすでに生まれ変わっており、そのままウォーターフロントに連続する税関前歩道橋も2029年に完成予定。これらが実現すれば散策ルートとして、フラワーロードがさらに活性化すると思います。

 

 

 

 

 

 

フラワーロードの南端をウォーターフロントへと接続する税関前歩道橋もリニューアル。緑のなかを散策しながら海へと向かう、なだらかなスロープが併設される。(2029年度供用予定)

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

こうしてみると、どこまでも人、歩行者優先なんですね。

 

 

高倉さん:もちろん徒歩以外のアクセスにも配慮しています。新幹線の新神戸駅から三宮を経由してメリケンパークやハーバーランドまで周回する「Port Loop」というバスを2021年から運行しています。これは車両2台を連節したゆったりと乗れるバスで、20分間隔、一日30便が運行しています。このほかシェアサイクル「Kobe Linkle」を整備。ユニークなのは自動運転モビリティ「iino」ですね。立って乗ればオートで目的地まで、時速5kmでゆったり移動できる次世代の乗り物で、現在は実証実験をおこなっているところです。

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

大阪や京都など各地でターミナル駅周辺の再開発が活発ですが、
神戸もようやく阪神・淡路大震災を乗り越えて
進みはじめた感じでしょうか。

 

 

高倉さん:いまも震災の傷跡がまだ完全に癒えたとは言えません。それでも震災から20年経った2015年、未来につながる街づくりをしていこうと決断され、このビジョンや構想が策定されました。さらに10年を経て、ようやくさまざまなプロジェクトが形になりはじめた段階です。2030年頃には神戸空港が国際線の定期便が就航しインバウンドがますます増加するでしょうし、神戸への人の流れはさらに活発になると思います。そうしたなか、市民の方々も、観光の人々も、だれもが魅力的に感じられる神戸を実現し、すべてを身近に回遊するための拠点としてふさわしい三宮をめざしていきます。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

今日は、どうもありがとうございました。
これからの三宮、そして神戸にますます期待できます!

 

 

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