卒業生が『このミス』大賞・文庫グランプリを受賞!
「小説家として受賞作を超える2作目を書く」

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2025.3.21
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初めて小説を書いたときは、楽しくて寝食を忘れるほどだったという遠藤さん。それほどまでに何かに没頭した経験は初めてで、そのとき小説を書くことを仕事にしたいと強く思ったそうです。以降8年間、毎年新人賞に応募し続け、宝島社が運営する『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞。2024年2月、『推しの殺人』で小説家デビューを果たした遠藤さんに、受賞までの道のりやこれからの活動について伺いました。

 

 

Contents

・小説を書いたきっかけ

・文学賞受賞までの道のり

・小説執筆のアイデアの集め方と学生時代の思い出

・文学賞受賞から今後の目標

 

 

小説を書いたきっかけ

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

小説を書いてみようと思ったきっかけなどを教えてください。 

 

 

 

遠藤 辰良 さん

 

休日のある日、ふと思った

小説を書いてみようと

 

初めて小説を書いたのは、大学を卒業して社会へ出て7年目の春ごろです。だらだらと休日を過ごしていたとき、ふいに頭の隅をよぎったのは、学生時代にサークルの先輩が小説を書いていたことでした。それまではどこか高尚なことだととらえていた小説を書くことが、意外と身近に感じられて、自分にも書けるかなと思ったのがきっかけです。小説を書き上げることなんて到底無理だと思っていましたが、興味本位で書き始めると思いのほか楽しくて。最初の1作はプロットも作らず、頭の中のぼんやりした物語を全部バーッと文字に具現化していく感じでした。初めて書いたのはライトノベル系で、1週間で約10万字ほどの作品を一気に完成させました。書き上げられたことに自分でも驚いて、ひょっとして自分は天才なんじゃないかと思いました(笑)そのときの達成感が忘れられず、小説を書くことを仕事にしたいと強く思い、作家を志すようになりました。

 

 

 

 

文学賞受賞までの道のり

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

大学卒業から作家デビューまでの経緯を教えてください。

 

 

 

 

ただ書き続けているだけでは文学賞には届かない

 

遠藤さん:大学を卒業してから現在まで、ずっと化粧品メーカーで働いています。仕事終わりの平日の夜や休日に小説を書き、文学賞に毎年応募していました。上記の1作目も応募しましたが、あっけなく落選しました。2作目、3作目と、書いては応募しましたが落選が続いて、あぁ自分には才能がないんだなと思いました。だけど、そこからが本当のスタートでしたね。才能がなければどうすればいいのか。自分の持ち札をどう生かすのかを考え、それからは書くものに対して、より自覚的になりました。今の時代に求められていることは何かを考察し、分析しながら書くようになり、小説のジャンルもライトノベル系から、ミステリーへと舵を切りました。

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

なぜ、ミステリーを選ばれたのでしょうか?

 

 

 

 

小説家になるには文学賞受賞が登竜門

 

遠藤さん:ミステリーを選んだのは、書きたい気持ちがあったことはもちろん、文学賞が多いことも理由の一つです。近年、小説家になるには、まずは文学賞の受賞が登竜門となっています。本が売れないと言われる昨今であっても、ミステリーはファンが多く、読者を獲得できるジャンルです。なので、出版業界では、ミステリーが書ける新人作家の発掘に積極的で、各社・団体がさまざまな文学賞を設けています。その中でも『このミステリーがすごい!』大賞に照準を合わせたのは、予選通過作品はWebに講評がアップされることも大きな理由でした。私のように独学で書き進めている者にとって、プロの書評家から作品の良い点、悪い点を具体的に指摘される貴重な機会であり、とても勉強になります。何度も応募するうちに、予選を通過し、上位に残るようになっていきました。

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

デビュー作について、教えてください!

 

 

 

 

 

 

スリリングな展開が唸らせる 受賞作『推しの殺人』

 

遠藤さん:第22回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞した『推しの殺人』は、地下アイドル×殺人隠蔽という物語の核となるアイデアが生まれた時点で、手応えを感じていました。これをしっかり書くことができれば、受賞できる。逆に受賞できなければ、自分の力不足だと思うほどアイデアに自信がありました。応募締切当日のギリギリまで使って書き上げた物語は、推敲する時間もなく応募しました。5か月の審査期間を経て、受賞の知らせを受けたときはうれしさと同時に、身が引き締まる思いでした。『推しの殺人』が出版された2024年2月に、大阪にある紀伊國屋書店梅田本店に行きましたが、レジ前スペースに平積みで並べていただいていました。その光景を目にしたときは、とても感慨深かったです。

 

 

 

 

 

小説執筆のアイデアの集め方と学生時代の思い出

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

小説を執筆するにあたって、アイデアの集め方や学生時代の経験で

生かしていることなどを教えてください。

 

 

 

なんでもない思い出が今の自分を支えている

 

遠藤さん:小説や時事ニュース、映画、ドラマなどからアイデアを集め、それらを掛け合わせて物語を作ります。『推しの殺人』でいうと、アイドルにまつわる社会問題・桐野夏生さんの小説「OUT」・映画「テルマ&ルイーズ」の3つを掛け合わせて物語を考えました。大学生時代で思い浮かぶのは、サークルの友人たちと駅前のマクドナルドで何時間もしゃべり倒したり、大衆居酒屋でたくさん飲み、カラオケで朝を迎えるような、なんでもないようなことばかりですね。今も生きている経験とは言えないかもしれませんが、今の自分を支えているのはそういうなんでもないような思い出です。

 

 

 

 

文学賞受賞から今後の目標

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

作家デビュー後の生活や今後の目標について教えてください。

 

 

 

2作目、3作目と出すことが出版社への恩返し

遠藤さん:小説家デビューしてからも、以前と生活のペースは変わっていません。平日は企業で仕事をして、帰宅後の夜や休日で創作に取り組んでいます。2作目に向けて、通勤などのちょっとした合間も構想を考えていることが多いですね。出版社には本の制作はもちろん、宣伝など、かなりバックアップしていただいているので、無名の新人である自分に投資してもらった恩を作品で返したいと思っています。受賞作だけで消えた人にならないよう、受賞作を超える2作目を出せるように、必死のパッチで頑張りたいです。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

本日はありがとうございました。

次作以降の作品も楽しみにしています! 

 

 

 

本記事は学園広報誌「Konan Today No.67」に掲載中の

\ 「KonanStyle」を加筆編集しています。 /

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