企業の研究職からアカデミアへ
身近な社会に貢献する研究者でありたい

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2026.3.23
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企業で研究職として経験を積んだのち、2024年秋にフロンティアサイエンス学部の助教へと転身した石川さん。かつて自らが学生として研究に没頭した学び舎で、今度は指導者として学生に向き合うことになった、その経緯や現在の思いについて伺いました。

 

 

Contents

・企業の立ち上げに参加

・研究者に転身したきっかけ

・幹細胞と老化をテーマに

・研究者・指導者として今後の目標

 

 

 

企業の立ち上げに参加

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

企業の立ち上げに参加したきっかけを教えていただけますか?

 

 

石川 真実 さん

 

大学院時代から企業の立ち上げに参加

助教として甲南大学に来る前は、再生医療関連の会社の研究者でした。きっかけは大学院生だったころ、指導教員に「新しく立ち上げられる再生医療関係の会社があるんだけど興味ある?」と声をかけられたことです。10人ちょっとの立ち上げメンバーのうち、研究チームは4人。主軸の研究者1人、元は異分野だった研究者2人、そこへ大学院生だった私が加わりました。

 

大学院では免疫細胞について研究していましたが、再生医療はずっと興味があった分野でした。立ち上げに向けた会議への参加や購入する機器の選定なども、学生のうちから経験しました。卒業後はそのまま入社し、歯髄再生治療に関する研究開発に携わりました。一人ひとり違う患者に安全で安定した品質の細胞を作ることができるようにすること。また、いかに早く培養できるか、いかにコストを抑えられるかといった実用面も研究にかかっています。チームでいくつもの条件を積み重ねるように研究し、2020年に歯髄再生治療は世界で初めて実用化されました。私が行った研究の成果も、実用化された治療の一部となりました。大学生のころから研究を通して社会貢献がしたかったので、その想いがかなえられて嬉しかったです。

 

歯の神経を蘇らせるこの治療法は今、都市部の歯科医院を中心にすこしずつ浸透してきています。

 

大学院時代、「免疫細胞・マクロファージ」について、イタリアの学会で発表。写真は研究ポスターの前で

 

 

 

研究者に転身したきっかけ

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

研究者として転身されたのはどうしてでしょうか?

 

アカデミアに心が動いたのは甲南大学だったから

石川さん:一方で、もう少し深く研究したい気持ちにもなりました。研究中に何か可能性がありそうな現象を見つけたとしても、企業としてはある程度の利益が想定できないと研究テーマに取り上げることはむずかしいです。気になった研究のタネを、どこかの大学で基礎研究として取り組んでいないか調べてみましたが、当てはまるものはあまりありませんでした。「企業も大学も手つかずになっているタネはたくさんある」と感じ、研究への気持ちがより強くなったころ、甲南大学が教員を公募していることを知りました。

 

 

研究者として、身近な社会に貢献したいんです。アカデミアの世界はすごく大変で厳しいとわかっていても、甲南大学でやるなら面白そうだなと思いました。もしも公募が別の大学だったなら、アカデミアへの転身は考えなかったと思います。やっぱり甲南大学が好きだから。勉強も、研究も、楽しい!と思わせてくれた初めての場所です。

 

以前から自分の経験を教育に役立てることにも興味がありました。あのころ母校で感じた学びの楽しさを、今度は自分が学生たちに与える側になれたら。振り返れば学生時代は、授業も研究も受け身ではなく、自分で考えさせられることが多かった。そして教授陣は学生のどんな考えも「その考えは面白いな」と受け入れることから始めてくれました。手厚い指導だったからこそ、興味をまっすぐ追求できたのだと思います。

 

 

 

幹細胞と老化をテーマに

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

現在の研究テーマについて教えていただけますか?

 

「幹細胞と老化」をテーマに研究と学生の教育に携わる日々

石川さん:現在は助教として、FIRSTに研究室を構えています。午後は学生の指導やミーティングがあるので、研究は午前中に行います。学生の指導は一番に優先していますが、実際に教える側に立ってみると学生時代にあんなにワクワクさせてくれた先生方って、本当にすごかったんだと思います。

 

研究は「幹細胞と老化」をテーマに進めています。老化の一因である糖化と幹細胞との関係を調べ、さらに、幹細胞が分泌する有用な因子を加齢性疾患の治療に応用できないかとも考えています。再生医療分野では、一部の治療で科学的根拠がないまま幹細胞を用いた治療が行われているという問題があります。幹細胞の投与がなぜ効くのか、メカニズムの研究をきちんと行い、効果・安全性の高い治療法を開発したいと考えています。

 

細胞や微量の液体の注入に使用するマイクロピペット

 

 

 

研究者・指導者として今後の目標

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

今後の目標を教えてください。

 

研究の面白さを学生たちにも受け継いでいきたい

石川さん:かつて携わっていた歯科分野の研究も進めたいと考えていますが、それには今以上の研究費を獲得しなければなりません。研究費の獲得には研究業績が必要となりますが、企業で働いていたときは、研究業績としてアカデミアの世界で重要視される論文投稿や学会発表から遠ざかっていました。研究費を獲得し、研究を前に進めるためにも、まずは業績を作っていくことを課題としています。

 

見つけた現象に対して、世界中で自分しか知らない現象なんだ!と思う瞬間はワクワクします。そんな面白さを学生たちにも受け継いでいってもらえたらと思います。

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

本日はありがとうございました。
今後のご活躍を楽しみにしています!

 

 

本記事は学園広報誌「Konan Today No.69」に掲載中の

\ 「It’s Konan Style」を加筆編集しています。 /

 

 

 

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