広島東洋カープ岡本駿投手 母校甲南大に凱旋 勝負の2年目に誓う飛躍
2024年のプロ野球ドラフト会議で広島東洋カープから3位指名を受け、1年目から一軍の舞台で勇姿を見せた岡本駿投手。2025年12月、オフシーズンの合間を縫って母校である甲南大学への凱旋が実現しました。
今回の訪問では、投手転向のきっかけを作った恩師・谷口純司監督との対談が実現。激動のデビューイヤーを振り返るとともに、次なるシーズンへの決意を語ってくださいました。
Contents
・プロ入りの原点となった大学時代
・プロ1年目の挑戦と衝撃
・プロとしての変化と日常生活
・評価と今後の展望

プロ入りの原点となった大学時代
KONAN-PLANET 記者
谷口監督から見て、大学時代の岡本選手はどんな部員でしたか。
谷口監督:普段はのんびりとした性格で、後輩に厳しく当たることもなく、周囲と和気あいあいと過ごすタイプでした。でも、いざ試合でマウンドに上がると本当に頼りになる、先発でも抑えでも「岡本がいれば大丈夫」という安心感がチーム全体にありましたし、まさにピッチャー陣の軸でした。 野球に対してはとにかく真面目。先輩のアドバイスをよく聞いて一生懸命勉強する姿勢は本当に立派なものでした。そんな姿を見ていたので、私としても、なんとか社会人やプロといった上のレベルで野球を続けさせてやりたいと強く思わされる、そんな子でしたね。
-大学から投手転向をされましたが、プロ1年目での投手としての気づきはありますか。
岡本投手:一番は、メンタル面での気づきです。打者一人ひとりを全力で打ち取る、その「アウトを獲りに行く姿勢」が大学時代とは全然違いました。 マウンドへの入りの部分から、いかに全力で気持ちを作っていくかを、島内さんや栗林さん、中崎さんといった先輩方からアドバイスをいただきました。
-プロに行くという相談はいつぐらいからでしたか。
谷口監督:これには一つのエピソードがあって(笑)。4年生の春リーグ前に勝手に、(社会人野球で)企業に行くと言い出して。その時「野球で就職すると簡単に言うな」と初めて怒りました。春のリーグ戦の結果を見て、プロ志望をするか決めようと。良かったら僕はプロだと思っていましたから。
岡本投手:その時はプロになれると思っていなかったので、社会人チームの方が安定しているかなと…(笑)。
谷口監督:社会人野球の監督さんも会社に入れようとその気になってくれますよね。最近その方に会いましたが、「プロにいって活躍してくれてよかったです」と言ってくれました。
-監督に怒られた時はどう思いましたか。
岡本投手:いや、その時はまだ…。
谷口監督:プロの実感がなかったと思います。
岡本投手:はい、全然実感がなかったので。「人の人生やから言っているのかな」くらいに思っていました(笑)。
谷口監督:そう思うのも仕方ない(笑)。その時点でプロになるという意識はなかったと思いますよ。
岡本投手:はい。全然なれると思っていなかったです。
-監督に言われてプロの道もあると意識したということですか。
岡本投手:はい。プロのスカウトの方が見に来てくれていたりもしたので。そのあたりから、少し可能性はあるのかなと。
-大学時代に監督から言われて心に残っていることはありますか。
岡本投手:手を投げやすい位置に持ってくる。
谷口監督:技術的なことか(笑)。1年生から投げさせていましたけど、良いピッチャーになると思っていました。

プロ1年目の挑戦と衝撃
KONAN-PLANET 記者
1年目はどのような活躍ができましたか。
岡本投手:1年目は一軍で投げさせていただくことができ、すごく良い経験をさせもらったシーズンでした。(二軍落ちは)最初は打たれたというのもありますが、疲れも考慮してもらって、ですが落ちた後すぐまた一軍に上がりました。
谷口監督:ほぼ一軍でしたね。
-最初に一軍のマウンドに立たれた時の気持ちは?
岡本投手:それはもう「緊張」の一言です。開幕戦ということもあって、満席のスタンドに圧倒されました。何万人もの観客の前で投げる経験はこれまでになかったので、正直マウンドに上がる前は、球場の歓声にプレッシャーを感じていました。ですが同時にプロのマウンドに立てているという充実感もすごくあり、いざマウンドに立ってみると、その勢いのまま楽しく投げることができました。
開幕戦は家族と監督と大学の友達も見に来てくれていました。
-1年目の活躍はどうみていましたか。
谷口監督:緊張していたと本人は言っていますが、プロ野球の高いレベルで投げられるという実感と、自分がそこでどれくらい通用するかという中で、非常に楽しそうに野球をしているように見えていました。
マツダスタジアムへは開幕戦の1回だけ観戦に行ったのですが、その1回が偶然にも岡本が登板したので…(笑)。 彼はもちろんですが、自分ももっているなと感じました。
岡本投手:点差的にまだ僕の出番ではないだろうと思っていたんですけど…。
谷口監督:開幕戦でまさか投げるとは。びっくりしました。8回に4点差になって、そしたら9回表にパッと出てきて。ルーキーで一軍の開幕戦に登板なんてことはあまりないでしょうから。
彼がマウンドに出てきたときは、まず体が大きくなったなと感じました。本人からも体重が9kg増えたと聞いていたので。
岡本投手:球の勢いはすごくついたなと思います。
-谷口監督から見て岡本投手の第一印象は?
谷口監督:初めて彼を見たとき感じたのが、地肩の強さ。キャッチボールの球が人とは違うボールの質だったので。その時(高校時代)は野手でショートを守っていましたけど、この球質がピッチャーで出るようになったら、すごい選手になるかなと思いました。
-大学野球とプロ野球の違いは大きくどんなところですか。
岡本投手:一人ひとりの野球に対しての意識が違うなと思いました。健康面や体づくり、練習一つでも準備段階から、全然違いました。試合の二時間前くらいから準備するのがほとんどで、特にベテラン選手は入念にストレッチをしていて。大学だとぶっつけ本番みたいな感じだったので、全然意識が違うなと感じました。
-プロのバッターで誰がすごいと思いましたか。
岡本投手:阪神タイガースの近本光司さんが一番すごいなと思いました。コンタクト率の高さですね、どこを投げても打たれるような感じでした。5回対戦して、1回しか抑えられなかったです。

プロとしての変化と日常生活
KONAN-PLANET 記者
大学時代の経験が今に活きていることは?
岡本投手:大学から本格的にピッチングを始めて、ほとんどが活きていると思います。打者に対してどう投げるかや、投げ方、体の使い方も大学野球で学びました。
-プロで成長したと思う部分と変わらない部分は?
岡本投手:球速も速くなりましたし、コントロールも良くなりました。体の土台ができて、安定したのかなと思います。コントロールを大事にしている所は変わらないです。
谷口監督:プロに行くときに一番に言ったのが、スピードを追い求めるな、あくまでもコントロールで勝負せなあかんという話をしました。今見ていても、ほとんど四球を出さない投手になっていて、彼の強みはコントロールだと思っています。僕は野球ではそこが一番だと思っているので。スピードだけだと、プロでも負けてしまう選手もたくさんいると思うので、コントロールというのは彼が他の選手に勝てる要素だと思います。
-谷口監督から見て岡本投手の変わらないところは?
谷口監督:非常にマイペースなところですね。プロにいっても、その部分を崩さないでできているというのがすごいと思います。淡々とマウンドに出て、淡々とボールを投げているというイメージです。物事にあまり動じない性格で、宇宙人とも言われていますけど(笑)。「良い鈍感さ」は彼が持っているピッチャーとしての資質だと思っています。
岡本投手:自分ではあまり分からないんですけど(笑)。大学時代もみんなからマイペースで天然と言われていたので、そうなんだなと思っています。
谷口監督:それが今、人気出ているんじゃないですか(笑)。SNSやネットでも彼について結構書かれていますよね。僕は広島で愛される選手になってほしいなと思っています。
-体づくりのために具体的に何をしていますか。
岡本投手:僕は全身の筋肥大をメインにやっています。専門的なトレーナーがいてくださるので、大学時代よりも細かく鍛えることができています。ウエイトトレーニングや、食事も毎日栄養士さんに見ていただいています。寮の食事では、決まったメニューと自分で取るビュッフェ形式なんですけど、その食事を写真に撮って、管理栄養士さんに送って、アドバイスをもらっています。
谷口監督:彼は食べろと言われたら食べられないんですよ(笑)。ただ放っておいたら、2時間でも食べられる、そういうタイプなんです。
岡本投手:「食べろ」と言われたらプレッシャーで食べられなくなっちゃいます(笑)。外食だと残してはいけないという気持ちになってしまって、あまり食べられないです。
-プロだと先輩に食事につれていってもらう機会もありますが…
岡本投手:その時は結構頑張って食べています。
谷口監督:宇宙人でしょう(笑)。
-筋力トレーニングは具体的にどういうメニューですか。
岡本投手:トレーナーから課されているメニューがあって、脚を鍛える日は脚だけで10種類以上、3セットずつとか。日によって部位ごとに細かく鍛える感じです。週に4回はそういうトレーニングをしています。
谷口監督:筋トレはパワー重視かスピード重視かどっち?
岡本投手:今はパワー重視です。12月半ばに測定の日があって、そこでパワーがある程度ついてきたら、スピード重視のメニューに切り替える感じです。
-大学では一人暮らしでしたが、プロでの寮生活はどうですか。
岡本投手:今は慣れてすごく楽しいです。夜もみんないるので。みんなでゲームしたり。最初は周りの人の生活音で寝られない時もあったんですけど。僕の部屋が洗濯機置き場の目の前で、みんなが夜中に洗濯物を回すので…(笑)。最近はもう全然寝られるようになりました。
シーズン中は朝の11~12時くらいに起きています。試合の5時間前に球場に入って、準備をして。試合が終わってから僕は23時くらいまでウエイトをして、帰って3時くらいに寝るという感じです。
-ファンとの交流はどのような感じですか。
岡本投手:練習終わりや、球場から室内に向かう道などでサインを書いたりしています。サインを書くことにやっと慣れてきました。
谷口監督:1年前のサインと今のサインは全然違いますよ(笑)。

2024年ドラフト会議当日に書いたサイン
-オフ期間でのファンとのふれあいで感じたことは?
岡本投手:広島県内のイベントで、市内などの中心地ではないところでも、たくさん足を運んでもらっているので、すごいなと感じています。このオフにファンを増やすことを意識し始めて、Instagramのストーリーを載せるようにしています。
谷口監督:非常に良いことやね。
岡本投手:Instagramを更新しなさ過ぎて、これではダメだと先輩方から言われました。フォロワーが6,500人くらいで(25年12月7日時点)他の選手と比べると少ないんです…。多い人は20万人くらい、栗林さんとか、レギュラー陣は10万人以上います。
イベントでここに行きましたとか、日記みたいに更新するだけでも全然違うとアドバイスをもらい、更新頻度を上げています。
評価と今後の展望
KONAN-PLANET 記者
年俸もあがりましたが、ご自身ではどういう部分が評価されたと思いますか。
岡本投手:今年1年しっかり投げてくれたと言ってもらえました。今後も期待しているという話だったので、その期待値も入っているのかなと思います。
谷口監督:学生の時からそうですけど、彼はお金のためには野球やってないと思います。バイトでも時給とかあまり考えずにやっていたみたいなので(笑)。やること一生懸命やったらいいなという感じ。頑張ったら後からついてくるわ、くらいの感じやね。
岡本投手:はい、欲しい物とかも今あんまりないので…。
-谷口監督はプロでの評価が高くなっていることに対して、予想されていましたか。
谷口監督:実は去年(2024年)、ドラフト直前に二人で「ちょっと難しいかもな」という話はしていました。4年生の春は好調で、「これなら1、2位で呼ばれるかも」と思っていたんですけど、秋は故障明けというのもあり、成績もあまり良くなくて。それだけに、ドラフト3位で指名をかけていただけて、本当にありがたかったです。
正直、開幕一軍はまだ先だろうと思っていましたが、2~3月のオープン戦ではすごく良いピッチングしていたので、「プロは結果が全て」と言いますが、それを見てひょっとしたらと思っていたら、開幕一軍ということで、すごく嬉しかったです。
-関西や地元に対して感じることは?
岡本投手:岡本キャンパスに来て、久しぶりに会う方もいて、懐かしさを感じました。応援してくれている人に自分を身近に感じてもらいたいですし、そのためにも本当に野球を頑張りたいと思いました。
-先発に挑戦する中で何か変えていくことは?
岡本投手:まだ本格的には試合でやっていないのでこれからなんですけど、大瀬良さん、床田さんが、わからないことがあったらすぐ聞いてと言ってくださったので、わからないことがあればアドバイスを聞かせてもらおうと思っています。先輩はすごく優しいです。
-プロとしての課題や今後の展望はありますか。
岡本投手:来シーズンから先発を務めることになったので、一年間投げることができるように、今まで以上に体づくりに力を入れています。今行っているトレーニングを継続しつつ、さらに一段上の体づくりができたらいいなと思います。
2月のキャンプインでは100%力が出せるように準備をして、チームの勝利に貢献できる投手になれるよう頑張ります!
KONAN-PLANET 記者
岡本投手、谷口監督、お忙しい中本当にありがとうございました。
2年目の活躍もますます楽しみになりました!
これからも応援していますので、頑張ってください!

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