パリ、メルボルンでの修行を経て
本場の美味しいクロワッサンを人々へ
本場の美味しいクロワッサンを人々へ

パン屋に生まれ、子供の頃からパンが身近にあった松山さんが、初めてパンを作ることに興味を持ったのは、大学時代のフランス留学だったそうです。パリで食べたクロワッサンにすっかり魅了され、パンの道へ。東京、宝塚、メルボルン、パリと、自ら有名店の門を叩いて修行を重ね、2023年「DAIKILY’S CROISSANT」として活動を開始。松山さんが歩んできたこれまでの道のりや、クロワッサンへの思いについて伺いました。
Contents
・パン職人を目指すようになったきっかけ
・「DAIKILY’S CROISSANT」を立ち上げるまでの道のり
・本田選手との交流が励みに
・ 今後の目標はパン屋という概念を変える空間作り


KONAN-PLANET 記者
最初に「DAIKILY’S CROISSANT」について教えてください!
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松山 大樹さん
本質を求めた、本当に美味しいクロワッサンで人々の日常を幸せに
松山さん:「DAIKILY’S CROISSANT(ダイキリーズクロワッサン)」は、Daily+私の名前のDAIKIで、「私が作り上げたクロワッサンで皆様の日常を少しでも幸せにしたい」という意味を込めています。クロワッサンは、素材と製法にこだわり、仕込みから3日間かけて、すべて一人で作っています。実店舗はなく、実家のベーカリーのほか、神戸市中央区でポップアップストアとして、様々な場所で不定期で販売しています。

ー どうして、パン職人を目指すようになったのですか?
パリで食べたクロワッサンの美味しさに衝撃
松山さん:甲南大学在学中のフランス留学がきっかけです。パリでは治安の悪さに驚いて閉じこもりがちになり、そのときに手に取ったのがクロワッサンでした。ひと口食べた瞬間、「なんでこんなに美味しいんやろう」と、その香りと味わいに衝撃を受けました。大きくて、食べた瞬間、バターの香りと小麦のうまさが口の中いっぱいに広がって、店ごとに個性があって、それぞれおいしくて・・・毎日のように食べ歩くうちに、「自分もこんなクロワッサンを作りたい」と強く思うようになりました。



KONAN-PLANET 記者
パンの勉強はどのようにされたのですか?
神戸、東京、宝塚、そしてパリで重ねた修行
松山さん:専門学校には通わず、実践で学ぼうと神戸のパン屋でアルバイトを始めました。生地に触れながら製造の基礎を身につけ、その後は東京のフランス発祥ベーカリーの製造部門に就職。さらに宝塚のパン屋でも働き、2つの現場で職人としての基本を一から教わりました。いずれはパリで働きたいと思っていたのですが、コロナ禍で海外渡航が困難に。最初に国境が開いたオーストラリア・メルボルンに25歳で渡り、頼れる人もいない中、SNSやネットでパン屋を探して、実際に店へ出向き、パンを食べて美味しければ履歴書を渡してを繰り返して、働く場所を見つけました。
実は大学4年のとき、一度メルボルンを訪れたことがあるんです。サッカー選手の本田圭佑さんが大好きで、当時メルボルンのチームに所属していたので彼に会いたい一心で現地まで行きました。サインをもらったり、話をする機会があり、好きなパンを尋ねると、「クロワッサンですかね」と答えてくださって、「いつか自分が作ったクロワッサンを本田さんに食べてもらいたい」という目標ができました。それで意志が固まりましたし、その後のモチベーションにもなりましたね。
オーストラリアでは2年間働き、途中一度帰国して、自作のクロワッサンを焼きお客さんに食べてもらいました。自分が美味しいと思うものを、目の前で喜んでくれる人がいる。その実感が何よりうれしかったですね。その後は夢だったパリに渡り、現地で履歴書を配り歩き、2018年のクロワッサンコンクールでグランプリを取った名店で働くことに。パリでも一番美味しいと評判の店で、毎日2000個のクロワッサンを焼く日々を過ごしました。



KONAN-PLANET 記者
今、どんな思いでクロワッサンを作っていますか?
パリで味わった感動を、たくさんの人に届けたい
松山さん:「圧倒的においしいものを作る」ことを第一に、海外で学んだ経験を情熱を込めて自分なりに表現しています。初めてフランスでクロワッサンを食べて感動したあの衝撃を、今度は自分の手で多くの人に届けたいんです。私が作るクロワッサンはとにかく大きくて、初めて見た方は驚かれると思います。ただ、大きいだけでは意味がないと思っていて、美味しさで感動させたいと思いますし、メニューも日本らしさを加え、抹茶や全粒粉を使った独自のアレンジで、他にはない商品を生み出したいと思っています。
フランスに渡る前に、本田圭佑さんにクロワッサンを食べてもらう機会がありました。「全粒粉のクロワッサン今まで食べたことないようなインパクトがある」と言っていただき、それが大きな励みになりました。現在も、「DAIKILY’S CROISSANT」の全粒粉を気に入って毎回10個以上買ってくださるお客様もいらっしゃいます。そういう商品を生み出すことができたのはうれしいなと思ってます。



KONAN-PLANET 記者
甲南大学での経験で、現在のお仕事に生きていることはありますか?
甲南大学出身の「つながり」が、大きな力に
松山さん:フランス留学という選択肢があったとことはもちろんですが、神戸で活動していると、多くの甲南大学出身の方に出会います。「あ、君も甲南出身なのね」と、すぐに距離が近くなるのがうれしいですね。さらに、友人の存在も大きいです。コンパクトな大学なので、人とつながりやすく、いろんな方と知り合えました。今後も甲南を通じて、いろんな方と繋がりが増えていくんだろうなという期待があります。
ー 最後に、これからの目標について教えてください!
五感でクロワッサンが楽しめる「場所」をつくりたい
松山さん:オーストラリアは世界有数のカフェ文化が根付いており、心地のいいカフェがたくさんありました。今の目標は、そんな素敵な空間で、美味しいコーヒーと一緒に、五感でクロワッサンを楽しめる「場所」を作ること。フランス語で「クロワッサンテリエ」と呼ぶのですが、そういう、これまでの日本にはない、新しいジャンルのものを作りたい。新しい目標に向かって、すでに少しずつ動き出しています。
ー 本日はありがとうございました。どんな「場所」が生まれるか楽しみです!

Instagram : @daikily_croissant