
海外で活躍する卒業生インタビューリレー③
シンガポール編
シンガポール編
大学同窓会の「海外甲南会」は、ロスアンゼルス、テキサス、シンガポール、バンコク、シドニー、インドネシア、フィリピンの7カ国・都市にあります。
このシリーズでは、各国で活躍する卒業生たちに、海外へ渡った経緯や海外ライフ、おすすめの現地グルメ・観光スポットをインタビューし、リレー形式でつないでいきます。
第3弾となる今回は、「シドニー甲南会」の山口さんにご紹介いただいた、奥田泰之さん(シンガポール甲南会会長)にインタビュー!
平成6年に法学部を卒業された後シンガポールに移り住み22年、現在は「シンガポール甲南会」の会長もされています。
KONAN-PLANET 記者
奥田さん、本日はよろしくお願いします!
シンガポールとは、どんな国ですか?
奥田泰之さん
多国籍文化の国ですね。ちょうど淡路島くらいの面積で人口はおよそ56万人。
7割が中国系、2割がマレー系、1割がインド系で構成され、
いろいろな国の人たちがうまくバランスを取りながら国づくりをしている印象があります。
日本人をはじめ欧米人も多く、約3万人の日本人が住んでいるんですよ。
KONAN-PLANET 記者
3万人もいるんですね!
奥田さんがシンガポールに移り住むことになった
きっかけは何だったのでしょうか。
奥田泰之さん
その話は長くなりますが大丈夫ですか?(笑)
きっかけは、シンガポールでのレストラン開業です。
夢は、自分でレストランを開業すること。
学生時代からレストランが好きで、いつか自分のお店を出したいなと思っていました。そのためにサービス業を学ぼうと、大学卒業後は大和ハウス傘下のリゾートホテル会社に就職。和歌山のホテルでベッドメイキングから皿洗い、宴会場のサービスまで、ホテルのあらゆる業務を経験しました。
就職して6年が経ち、そろそろ地元の神戸で店を出そうと思い、自分の考えやプランを周囲の人たちに言って回ったんです。すると、一緒にやりたいという仲間が4、5人集まりました。その中の一人、貿易の仕事をしていたシンガポーリアンの友人が「僕が出資するから、シンガポールで店を出さないか」と言ってきたんです・・・
KONAN-PLANET 記者
その彼の一言で、
いきなりシンガポールに移住したのですか!?
奥田泰之さん
そうなんです。驚きますよね。2000年当時のシンガポールには、高級寿司店と若者向けのカジュアルな和食店はありましたが、ちゃんとした日本食を手頃な価格で提供するお店がなかったんです。ということは、その中間を狙えば商売として成り立つのではないか、じゃあやろう、と(笑)。この話が立ち上がって1ヶ月後には物件が見つかって、私がシンガポールに常駐することにして、仲間との共同経営というカタチで店をスタートさせました。
KONAN-PLANET 記者
奥田さんの行動力に驚きです。。。
奥田泰之さん
留学経験で海外に行く準備はできていた。
じつは、甲南高校2年の時に1年間休学してアメリカに留学したんです。英語は苦手でしたが、1年間でアメリカ人とケンカできるくらいは英語を習得できた(笑)。それで、英語が話せたこともあり、シンガポール出店の話も躊躇せず飛び込んでいけたのだと思います。
KONAN-PLANET 記者
なるほど、準備はすでにできていたんですね。
日本食のお店は成功されたのでしょうか・・・
奥田泰之さん
日本から料理人を一人呼んで、ちゃんとした日本食を提供していましたから、シンガポールに駐在している日本人を中心に流行ったのですが、12年でお店をたたみました。時代の変化を感じたことと、食材の物流に興味を持つようになり、シンガポール資本の食品輸入業の会社で仕事をするようになったんです。新卒で入った和歌山のホテルで購買部も担当して、食材をはじめ、ベッドのリネン類や備品、土産物など、さまざまな物資を調達していたんです。その経験もあり、転職することにしました。
KONAN-PLANET 記者
飲食店から食品輸入業へ・・・
鮮やかな転身ですね。
奥田泰之さん
ところがその後、就職した会社が神戸市に本社を構える株式会社トーホーに買収されて、結果的に神戸の企業で働くことに・・・人生、どうなるかわかりませんね。
日本よりも安全!でも、ルールには厳しい。
KONAN-PLANET 記者
では、シンガポールについて詳しく聞かせてください。
日本よりも安全な国、と聞きました。
奥田泰之さん
日本よりも治安がいいというのは本当です。街の至る所に監視カメラがあり、何かあるとすぐに警察が飛んできますから。でもそのぶん、規律に厳しく、ルールを守ることが100%、という面があります。ルールさえ守れば、とても暮らしやすい国だと思いますよ。ちなみに時間にはルーズで、5分10分の遅刻ならまだいい方です。まあ、イライラしているのは日本人くらいですけどね(笑)
KONAN-PLANET 記者
シンガポールならコレ!というような
名物料理など、ありますか?
奥田泰之さん
代表的な料理にバクテー(骨肉茶)という料理があります。ボークリブを薬草や胡椒、にんにくで煮込み、クリアなスープとお肉を一緒にいただきます。日本人は「お酒の後はラーメン」ですが、シンガポーリアンは「お酒の後はバクテー」です。あとは蒸し鶏の脂で味付けしたスープで炊く海南チキンライスや、甘辛いソースをからめたチリクラブ(蟹)も有名ですね。中国系が多いのでチャイニーズはもちろん、マレーシアやタイなど、アジアの料理もとてもおいしいですよ。
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KONAN-PLANET 記者
どれも、おいしそうです・・・今すぐ飛んで行きたくなりました。
ここは見るべき!という観光名所があれば教えて欲しいのですが。
奥田泰之さん
シンガポールはマレーシアから独立して57年という若い国なので、歴史的な名所はほとんどありません。けれども、国を挙げて観光化を促進していて、高級ホテルのマリーナベイサンズや、リゾートアイランドのセントーサ島など、新しい名所を作ろうと頑張っています。その点、日本は山も海もあって、四季折々の風景があり、歴史的な建造物もたくさん残っていますよね。「日本がうらやましい」とシンガポールの人たちからよく言われます。海外に出て改めて、日本の観光資源は素晴らしいなと思います。
KONAN-PLANET 記者
シンガポール甲南会では、
どのような活動をされているのですか?
奥田泰之さん
現在、20名の会員がいます。最近はすっかり活動も減ってしまいましたが、コロナ禍の前は年に一回、シンガポールに住む日本の28大学のOBが集まる「大学対抗ゴルフ大会」に参加したり、家族で集まってバーベキューをしたりしていました。コロナも落ち着いてきたので、そろそろ集まろうかと考えているところです。
KONAN-PLANET 記者
コロナ前は、甲南高校のスタディツアーを
受け入れていらっしゃったそうですね。
奥田泰之さん
はい、定期的に高校生たちが来てくれて、私たちの海外生活や仕事の経験をお話する機会もありました。将来、海外で暮らすことに興味を持っている生徒さんたちですので、とても興味をもって聞いてくれましたね。甲南大学からもフロンティアサイエンス学部のゼミ生たちが研修としてシンガポールに来てくれたこともありました。
KONAN-PLANET 記者
今日は楽しいお話をいろいろありがとうございました。
最後に、読者の方々へメッセージをお願いします。
奥田泰之さん
高校生たちには、いつも二つのことをお伝えしています。
一つ目は、できる・できないに関わらず、まずは飛び込んでみる。
高校時代に留学して英語が話せたおかげで英語面でのハードルが低く、シンガポールの話をすんなり受け入れることができました。
チャンスが訪れた時にすぐに動けるよう、準備をしておくことがとても大切です。
そして、人とのつながりを大切にすること。
私は今まで、いろんな人たちとご縁があり、その人たちによって人生が動かされてきたような気がしています。
みなさんも、自分が思っていること、やりたいことや目指す方向性があれば、それをぜひ口に出して言ってください。
自分の中だけで思いを燃やしていては何も伝わらない。
今は思いが強ければ、クラウドファンディングで資金が集まる時代です。
いろんな人に発信し、意見を交わし、自分の夢を実現させていってほしいと思います。
そうして、
自分が楽しいと思える道を、進んでいきましょう!
海外で活躍されている甲南出身者をどなたかご紹介いただけますか?