高中そろって全国1位!!
暑い夏を制した高中ブラスアンサンブル部

NEWS!『甲南人』の活躍 > カルチャー
2025.9.22
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8月15日(金)~17日(日)に神戸文化ホールにて『第40回Japan Student Jazz Festival』が開催され、甲南高校と中学校のブラスアンサンブル部がともに「神戸市長賞」(=全国第1位)に輝きました!!
そこで今回は高中ブラスアンサンブル部の顧問 今田孝一先生と、高校ブラバン部の部長 中山さんに大会のこと、日々の部活動のことなどいろいろなお話しを伺いました。

 

 

 

Contents

・ Japan Student Jazz Festivalについて

・ 日々の練習について

・伝統ある甲南高中のブラバンについて

・甲南高中ブラバン部の強さの秘訣とは!?

・地域貢献活動にも積極的

・ 全国大会優勝の先に目指すもの

・ Jazzの楽しみ方

・ おわりに

 

Japan Student Jazz Festivalについて

―このたびは高校、中学のW全国一位、おめでとうございます!
まずはJapan Student Jazz Festivalについて教えていただけますか?

 

今田先生:この大会は「神戸の夏の風物詩」ともいえる中高生ビッグバンドによるジャズの祭典で、ジャズを通して中学・高校生の健全な心を育むとともに、全国の中学・高校生たちの交流と彼らの新たなミュージックシーンが「ジャズの街神戸」から始まることを期待して開催されているものです。今大会は全国の高校、中学校から計37団体が参加し、3日間にわたって熱い演奏が披露されました。

 

―高校、中学ともに神戸市長賞(=全国一位)を獲得しましたね!受賞が決まったときの心境を教えてください。

 

今田先生:高校生、中学生ともに夏休みの練習の成果が出て本当に良かったです。常日頃の彼らの頑張り、演奏を見ていれば、必ずやってくれると信じていました。

 

中山さん:夏休みの期間中は、この大会に向けてひたすら練習に励んできました。これまでの実績からも、このチームは優勝できる力があると信じていたので、もちろん嬉しさもありましたが、ほっとした気持ちもありました。私は壇上にいましたが、客席にいた部員たちは喜びを爆発させていましたね。

 

―この大会で演奏するにあたって苦労したことなどありましたか?

 

今田先生:この大会で演奏する曲を部員たちに提案するために凄まじい数の楽曲を聴いて研究しました。実は昨年2024年度の大会後からすでに選曲を始めていたのですが、各部員たち一人ひとりの持ち味や特徴、個性などあらゆる情報を吟味して、彼らに一番合う曲を選ぶのは本当に大変でしたね。

 

中山さん:個人的な部分で言うと、僕は日ごろドラム担当ですが、今年からパーカッションで新しい打楽器を取り入れたのでそれの練習が大変でした。

 

―神戸市長賞は目標とされていたのでしょうか。

 

今田先生:部員達には、この夏誰よりも曲を突き詰めることができたバンドに神戸市長賞が与えられるんだよ、と伝えていました。演奏を聴いていても、「あそこをもっと練習しておけばよかったな。」とか「ちょっとミスったな。」ということもなく、しっかりとこの夏の練習成果を発揮してくれました。

 

中山さん:はい、目標にしていました。ただ練習としては、日ごろから意識高く取り組むことをしているので、この大会のために何か特別なことをやるということはなかったですね。あくまでもいつも通り真剣に練習するだけでした。

 

 

 

日々の練習について

―中山さんから日々の練習のお話しが出たので、甲南高校、中学校のブラスアンサンブル部について教えていただけますか。

 

中山さん:現在活動している部員数は63人で、平日は授業終了後から18時まで、土曜日はお昼ごろから18時まで活動をしています。日曜日はお休みです。夏休み期間は合宿などを通じてしっかり練習しています。
部員はほとんどが中学入学時から音楽を始めた生徒ばかりで、今田先生のご指導を中心に、互いに教えあって演奏力を高めています。

 

―先日練習を拝見させていただきましたが、演奏しているときはピリッと真剣に、それ以外の時間は和気あいあいとしていて、切り替えがとてもしっかりしていると感じました。

 

今田先生:そこは日ごろから徹底的に部員達に指導している点です。練習するときに全力でというのは当たり前ですが、反対にリラックスするときも全力で、ONとOFFの切り替えをしっかりするよう伝えています。中学生はまだまだな部分もありますが、高校にもなるとしっかりと意識してくれて部をまとめてくれています。

 

―中山さんは部長として日ごろ意識していることはありますか?

 

中山さん:ビシバシと厳しくやるタイプではないので、練習に取り組む姿勢でチームをまとめているつもりです。プライベートでもスタジオを借りて練習をしていますし、練習量は誰にも負けないつもりです。

 

―中山さんのその姿勢があって、クオリティの高い練習や朗らかなチーム作りができているんですね。

 

今田先生:そうですね。中山君含めて高校3年生は練習に対する姿勢がしっかりしているのでその点は信頼しています。私が不在のときでも安心して練習を任せられていますね。

 

 

 

伝統ある甲南高中のブラバンについて

――改めて、ブラスアンサンブル部の歴史を教えてください。

 

今田先生:甲南高等学校・中学校ブラスアンサンブル部(KONAN BRASS ENSEMBLE 略称:KBE)は、1982年にJazz Bandとして活動を始めました。クラブとして活動する前には少人数の木管アンサンブルでしたが、その後金管楽器などの楽器が加わりBig Bandとなり現在のような大きなクラブとなりました。クラブのモットーは”Be Happy Together”で、お客様と共に楽しめる演奏ができるよう心がけています。

 

―今田先生はいつからKBEをご指導されているのでしょうか。

 

今田先生:前に顧問をされていた石川先生から引き継いで、現在で11年目になりますね。
私自身は中学生のときに公立の学校で吹奏楽部に入部して、そこでトロンボーンという楽器を始めたことがきっかけで音楽の世界に入りました。本当はトランペットがやりたかったんですけど、当時の先生に「君は背が高いからトロンボーンをやりなさい。」と言われて笑 それからはひたすらにトロンボーン専門で音楽大学まで進みました。

 

―KBEを引き継いだときはどのような心境でしたか?

 

今田先生:ジャズ界では甲南高中のブラバンは非常に有名ですから、「絶やしてはならない」という心境でした。でも預かったからには上にあげていくことしか考えていなかったですね。

 

―今田先生の目から見て、今のチームの特徴はありますか?

 

今田先生:中山君含めて今年の高校3年生はやわらかい子が多いですね。トゲトゲしてる子もいないですし、偉そうに振舞ったりする子もいなくて、和気あいあいとした本当に仲の良いチームになっていますね。

 

―中山さんはそのあたり意識している?

 

中山さん:そうですね。ただ僕自身の性格上、きつく言ったりはしない性格なので自然とそういった雰囲気になっているんだと思います。高校生と中学生の繋がりの良さもKBEの伝統的な強みだと感じています。

 

―KBEからはプロの演奏者も出ていますよね。

 

中山さん:はい、そうなんです。トランペッターの広瀬未来さんや黒田卓也さんはKBEのご卒業生です。広瀬さんとはこのあいだも演奏共演させていただいたり、黒田さんも僕が中学生のころに練習に来てくださって指導をしてくださいました!プロの世界で活躍されておられる方の演奏を間近で体感できるのはとっても良い刺激になりますね!もちろんお二人以外にも機会があるごとにKBEのOBさんたちと演奏させてもらっています。

 

―卒業生との強い絆も甲南ならではの強み、伝統になっているんですね!

 

中山さん:そうなんです!僕は一つ上のドラムの先輩に憧れて自らもドラムを選んだのですが、その先輩とは今でも交流していて、アドバイスをもらったりもしています。先日山梨県で大会があったのですが、その先輩はわざわざ会場まで応援に駆けつけてくれました!

 

 

 

甲南高中ブラバン部の強さの秘訣とは!?

―甲南高中のブラバンは伝統的に良い演奏をすると評判だと思うのですが、長年にわたってそれだけ演奏力を維持し続けられている要因は何だと思いますか?

 

中山さん:まずは高校生と中学生の繋がりですね。毎日同じ場所で練習しているのですが、中学生の時から高校生の演奏を体感できていることは大きなアドバンテージだと思います。

 

今田先生:普通の学校ですと、中学で始めたら身近な目標は中学3年生の子たちになるわけですよね。でも甲南の場合は5つも年上の高校3年生のレベルが目標になります。しかも気軽に分からないことを聞いたり、アドバイスをもらったりできる環境にあります。そのほかにも、高校生から練習に取り組む姿勢を学んだり、音楽に対する情熱を感じることもできます。この環境があってこその伝統的な強さだと思います。

 

―これぞ中高一貫教育の良さですね。練習を拝見していて、演奏が終わったあと、先生からの指導だけでなく部員同士も「ここってこうじゃないの?」「ちょっと早くなかった?」と遠慮なく意見しあっていましたね。

 

中山さん:ずっとそういう環境でやってきているので遠慮とかはないですね。もちろん強く言いすぎるのは良くないと思いますが、バンドなので全員で意見を言い合うようにしています。それからすべてを先生任せにしてしまうと自分で考えなくなってしまうので積極的に自分たちで意見交換するようにしています。

 

―伝統的な強さの裏には一朝一夕では作れない部の雰囲気や部員一人ひとりの意識の高さがあるのですね。

 

 

 

地域貢献活動にも積極的

―KBEは地域貢献活動にも積極的だと聞きました。詳しく教えてください。

 

今田先生:児童館や老人ホームなどで演奏会を実施させていただいています。音楽を聴いて元気になってくれたらいいなと思っています。ありがとうのお手紙を送ってくれたり、逆に元気をもらえますね。児童館に行くと、演奏を気に入ってくれると子どもたちが踊りだしたりして。あまり気に入らなかったら逆の反応もありますけどね笑 そのリアルな反応が、部員たちにとって良い刺激になったりしています。

 

―学校の部活動ということで教育の面から生徒の成長を期待する部分はありますか?

 

今田先生:もちろんありますね。中山君はどう思ってるかな?笑

 

中山さん:まずは礼儀です。僕らがやっていることは聞いてもらう方々がいないと成り立たないので、そういった方たちや、ほかにも演奏会場の裏方さん、機材を設営してくれている方々、あらゆる方面の方々に対して日々感謝の気持ちを忘れないようにしています。

 

今田先生:社会に出て恥ずかしくない礼儀や言葉使い、自分を支えてくださっている方へ感謝することを部活動で学んでほしいと思っています。挨拶をする、時間を守る、当たり前のことですがとっても大事なところです。挨拶はされる前にこちらから挨拶するように指導しています。楽器をうまくなることはクラブの目標で、同時に人間的な面を高めていくことを目的として定めています。

 

中山さん:それにKBEを卒業すると、これから先の人生において少々のことがあってもへこたれない打たれ強さが身につく感じています。

 

Jazzの楽しみ方

―Jazzは敷居が高そうなイメージがあるのですが、お二人が思うJazzの魅力や楽しみ方を教えてください。

 

今田先生:Jazzは聞いていて心地よければ体を動かしてもらって構わないですし、良いフレーズ、ソロがあったら演奏途中で拍手しても大丈夫です。お客さんとの距離がとっても近いのが魅力です。ぜひリラックスして聞いてもらえたらと思います。

 

中山さん:僕も最初Jazzは「おしゃれ」というイメージだったのですが、やっていくうちに「熱い」音楽なんだと気が付きました。今田先生が仰ったように演奏途中でも拍手が巻き起こったりして、お客さんと一緒に盛り上げていくというのがJazzの魅力の一つだと思います。
それに初めて会った人とセッションできるのも魅力ですね。それこそお互い言葉が違う場合でも音楽は世界共通です。音楽を通してコミュニケーションが取れる、Jazzは一つの言語だと感じています。

 

-さいごに、読者の皆さんへのメッセージをお願いします!

中山さん:いつも応援していただきありがとうございます!これからも皆さんを元気づけられるような音楽を披露できるよう頑張っていきます!近いところでは9月28日に開催する文化祭で演奏を行います。地域の方々、ご卒業生の方々、保護者の方々、そしてこれから甲南中学校を受験しようとしている小学生の皆さん、ぜひ演奏を聴いていただき、一緒にJazzを楽しみましょう!!

 

今田先生:いつもご支援ご声援いただきまして本当にありがとうございます。KBEは中学生のときから高校生レベルの演奏を学べる中高一貫の良さがとてもよく出た部活動です。ほかの部活と比べると歴史が浅い部分はありますが、これから先50年100年と続いていくクラブにしていくために精一杯頑張っていきます。ぜひ一度、彼らの頑張りを聴きにきていただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。

 

―これからのさらなるご活躍を楽しみにしております!本日はありがとうございました!

 

 

【甲南高等学校・中学校ブラスアンサンブル部(KBE)】
1982年にJazz Bandとして活動を開始。クラブとして活動する前に少人数の木管アンサンブルだったが、その後金管楽器などの楽器が加わりBig Bandとなり、現在は大きなクラブとなっている。クラブのモットーは”Be Happy Together”。お客さんと共に楽しめる演奏ができるよう心がけている。6月の定期演奏会、8月に開催されるJapan Student Jazz Festival、秋の文化祭を目標に活動。その他にも毎年多くの演奏活動を実施。ハワイのLe Jardin Academy、IOLANI SCHOOLと音楽を通じ、国際親善・国際理解を深めるため音楽交歓会を行っている。
中学1年生から高校3年生までの63名が共に活動を行い、高校生が中学生を丁寧に指導している。年間30回以上の演奏会に出演し、介護施設や児童館での演奏など地域貢献活動も積極的に行なっている。

 

【KBEの情報はこちらから!】

 

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