「誰でも楽しめる読書」を目指して。
甲南大学LLブックプロジェクト!

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2025.11.21
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皆さん、LLブックをご存知でしょうか?障がいを持つ方、海外の方、高齢者など、誰もがわかりやすく読み進められるように工夫された「やさしく読みやすい本」のことです。今、甲南大学 LLブックプロジェクトの学生たちが、このLLブックを通じて読書のユニバーサルデザインの実現を目指し、オリジナルの絵本出版に向けてクラウドファンディングに挑んでいます。

 

このプロジェクトの特色の一つは、学生を中心にしながら、甲南大学のリカレントプログラムを修了した社会人の方々が協力者として参加している点であり、多様な経験や視点が加わることで、より実践的で社会につながる創造が生まれています。今回は、メンバーの学生3名と、ご協力いただいている社会人のお一人である松原さん(リカレントプログラム修了生)に、プロジェクトにかける思いを聞いてきました!

 

 

Contents

・プロジェクト開始のきっかけとLLブックへの思い

・世代を超えた共創:学生の挑戦を支える知恵

・ 優しい日本語と神戸の魅力

・クラウドファンディングに挑戦中!

 

 

 

 

 

 

 

プロジェクト開始のきっかけとLLブックへの思い

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

まず初めに、LLブックプロジェクトに取り組もうと思ったきっかけを教えていただけますか?

 

 

川原さん

 

このプロジェクトは私たちのゼミの2つ上の先輩たちから継続しているものなのですが、私は元々絵本が好きで、また塾講師のアルバイトで障がいを持つ生徒を教えている経験もあったので、ぜひやってみたいと思いました。

 

 

中井さん

 

私は、本を作る段階から広める段階まで自分が一緒に携われるというところに興味があって。普通の大学生生活ではなかなか経験できない体験だと思いました。

 

 

中川さん

 

ゼミが始まった時に4つのテーマから取り組みたいものを選ぶのですが、「LL絵本って何だろう?」というところに興味を持ちました。何も知らないものに取り組むのが面白そうだなと思ったのがきっかけです。あとの2人とはだいぶ切り口が違うきっかけですね(笑)。

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

皆さん、視点が違って面白いですね! 最終的にこのプロジェクトで、どのような社会課題に取り組みたいと考えているのでしょうか?

 

 

川原さん:全ての人々が気軽に本を読める社会を実現し、日常を豊かにして欲しいというのが、大きな目標です。普通に本を読める人がいる一方で、それが難しい方も多くいらっしゃいます。文字を読むのが苦手な方を含め、どんな人でも絵本を読んで楽しいと思える社会が実現すればいいなぁと思っています。

 

 

 

世代を超えた共創:学生の挑戦を支える知恵

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

このプロジェクトには、甲南大学のリカレントプログラムを修了された松原さんも協力されていますね。松原さんは、どういった経緯でこの学生プロジェクトに参加されているのでしょうか?

 

 

松原さん

 

 

私には障がいを持つ妹がいます。また、作業療法士としてリハビリの仕事をしているのですが、そんな私もLLブックの存在は数年前まで知りませんでした。偶然図書館でLLブックの存在を知り、「LLブックのようにやさしく読める本が普及すれば、もっと読書を楽しむ人たちが増えるのではないか。余暇を楽しむ一つとして本があってほしい」と思いました。リカレントプログラムを担当されていた石川先生とお話をする中で、ゼミとのコラボレーションの話が出てきたことから、LLブックの制作、普及に向けて一緒に活動させていただいています。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

学生の皆さんから見て、社会人の方と一緒に取り組むことで、特に気づきや助けになっていることはありますか?

 

川原さん:「全ての人に」を目標にしているわけですが、学生だけではどうしても視点が狭くなります。自分自身も含めて普通に読書もできますし、あくまで学生の経験しかありません。例えばお子さんを持つ母親の視点からの指摘や、神戸市で「やさしい日本語」の普及に取り組まれている専門員の方にもアドバイスをいただくことで、私たちでは気づけない部分をたくさん教えていただけました。

 

 

 

中川さん: 気づきもそうですが、社会人メンバーのおかげでプロジェクトがより大きく、学外に向けた活動にできたと思います。自分たちだけではクラウドファンディングを行うところまで進めるのはもっと大変だったと思います。

 

松原さん: 逆に大人側からしても、例えば学生の皆さんが持つ広報の視点、SNSの使い方やフライヤーの配布場所・タイミングなど、そういった視点は心強いと感じています。また年代は違っても、絵本や読書に対して大切に思う気持ちを共通に持てているのは、一緒に活動していて嬉しく思いますね。

 

 

 

優しい日本語と神戸の魅力

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

制作面で、特に苦労された点や、
こだわった点は何でしょうか?

 

 

中井さん: 最も苦労したのは、「やさしい日本語ってまず何だろう?」と考えることでした。分かりやすくするために、ひらがなでルビを振る、漢字を小学校低学年で学習するようなレベルに限定するなどの工夫を徹底しました。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

物語の内容にもこだわりがあるそうですね。

 

 

中川さん: はい。絵本のコンセプトの一つに、神戸の魅力発信があります。主人公の少年はページが進むにつれ神戸の街の魅力に触れ、最初は下を向いていた顔が徐々に上がっていく という演出も入れています。また、主人公を含めて登場人物にはあえて名前をつけず、読者が「自分」や「誰か」を投影できるように工夫しました。

 

川原さん: 一方で、私たちが制作を進める中では、登場人物に名前や性格などを設定することで、物語の世界観が深まるようにしているんです。

 

 

 

 

 

クラウドファンディングに挑戦中!

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

クラウドファンディングも先日から始まりましたね。

 

 

中井さん: 最初は友人や先生に説明しても「頑張ってね」で終わってしまっていたので、相手に合わせた説明やしっかりと思いを言葉で伝えるということを意識してPRするようにしています。

 

中川さん: チラシは大学内だけでなく、神戸市内の図書館、東灘区役所、近隣の書店やカフェなど、幅広い場所に置かせてもらっています。あとはInstagramでも発信しているのでぜひ見てほしいです。

 

 

 

 

川原さん: どうやったら興味を持ってもらえるか も改めて考えました。活動内容に共感してもらうことはもちろんですが、リターンの設定や金額をどうすれば魅力的に思っていただけるかについては、私たちだけでなく他のゼミメンバーや協力いただいている社会人の皆さんからも意見をいただきながら決めました。

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

リターンの中には、【直筆サイン付】おさんぽセットや、LLブックにクレジット掲載ができるサポーターコースなど、ユニークなものが揃っていますね。

 

 

松原さん: おさんぽセット(LLブック、ロゴトートバッグ、おさんぽマップなど)は、「読むのを楽しむ」からさらに、「本を持って神戸の街を歩くのを楽しむ」ことに繋げたいという思いを込めています。絵本のストーリーは、1年前に実施した街歩きワークショップに参加してくれた親子から集めた感想や気づきを盛り込んで構成しています。本を片手に街に出て、本と実際の風景を見比べて楽しんでくれるといいなと思っています。

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

サポーターコースでは、教育機関や施設へのLLブック寄贈を選べる仕組みもあるんですね。

 

 

川原さん: はい。このコースを通じて、LLブックの巻末ページに支援者さまのお名前や企業名をクレジット掲載(任意)させていただき、皆さまの協力の証が残るLLブックを未来へつないでいきたいという願いを込めています。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

多くの方に活動を知ってもらい、支援が集まることで読書のユニバーサルデザインが実現すればいいですね。

 

 

 

 

石川先生

 

このプロジェクトは、私が経済学部に所属し、ゼミを担当していること、さらに甲南大学リカレントプログラムの一つ「ソーシャルビジネス・アントレプレナー育成プログラム」のワークショップやメンタリングを担当したことをきっかけに始まりました。どちらの授業でも共通しているのは、地域社会を豊かにする方法を実践的に探究するという姿勢です。この学びと挑戦の延長線上で、さまざまな方々のご協力をいただきながら、クラウドファンディングに挑戦することになりました。私自身、初めての試みで手探りの部分も多いのですが、卒業生や地域の方々をはじめ、多くの方々のご支援をいただいているところです。

 

このプロジェクトは、「やさしく読みやすい本」を
作ることにとどまらず、この本を通じて
多様な人々がつながり、思いを共有し合えることに
大きな意義があると考えています。
心を込めて制作した本です。

 

ぜひ手に取っていただき、
この想いを感じていただければ嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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