
甲南大学初!アフリカからの留学生
母国を飛び出し日本で学ぶベナン人留学生
ミガン・アントニーさんにインタビュー!
母国を飛び出し日本で学ぶベナン人留学生
ミガン・アントニーさんにインタビュー!
「Konan University Year-in-Japan Program」を通じて、40年以上前から欧米圏の留学生を受け入れてきた甲南大学。近年はアジア圏の交換留学生や、甲南の大学生として学ぶ正規留学生の受け入れも進み、多くの留学生が岡本キャンパスで勉強し学生たちと交流しています。2024年秋から甲南大学で学ぶミガン・アントニーさんは、大学開学以来初となるアフリカ・ベナン出身の正規留学生!片道約20時間の道のりを経て、何を求めて日本にやってきたのか・・・あの有名芸能人との意外なつながりも!?
Contents
・ 何を求めてニッポンへ?
・ 甲南大学でチャンスを広げたい
・ 日本でやりたかったこと
・ めざすは社会起業家
何を求めてニッポンへ?
KONAN-PLANET 記者
日本から遠く離れたベナン出身のミガンさんが、
日本に興味を持ったきっかけは何だったのでしょう。
ミガンさん
ロボットについて学ぶなら日本しかない!
ミガンさん:高校生の頃、医者になりたいと考えたのですが、お金もかかるし時間もかかる。他に自分で何かできないか考えたときに、これからの社会はAIやロボットについて勉強したら人の役に立つものを作れるのではないかと思い立ちました。ベナンの大学・大学院に進学し電気電子工学を学びましたが、ベナンではロボット工学を専門に学ぶ場所がなかった。では、どこで勉強できるか調べたら、世界で製造される産業用ロボットの約6割が日本で作られていることを知り、日本に留学したいと考えたんです。
なんと、通学圏内にあった「日本語学校」
ミガンさん:日本に留学するためには、日本語を勉強しなければならない。どうしたらいいか大使館に電話をしてたずねたら、ベナンに「たけし日本語学校※」があり、しかも無料で勉強できると教えてくれたんです。これはチャンスだ!と思い、すぐに入学を決め、大学に通いながら5年間、たけし日本語学校で日本語を勉強しました。
※ビートたけし軍団のゾマホンさんが母国のベナンに設立した日本語学校
-「たけし日本語学校」は、どんな雰囲気でしたか
ミガンさん:学校は、まさに日本にいるような雰囲気で、習字や色紙など日本のものがたくさんあり、普段の生活ではなかなかふれられないものに、ふれることができました。教室の奥には北野たけしさんの写真が飾ってありましたよ。先生は日本人で、生徒は100人くらい。日本の文化や日本語でのコミュニケーションをしっかり学ぶことができました。
日本企業を経て、神戸へ留学を果たす
ミガンさん:大学院卒業後は、ベナンにある日本企業の仕事に就くことができました。そこで、JICA(国際協力機構)の奨学金プログラムがあることを知り、応募したいと社長に申し出ました。この奨学金は、企業に所属していないと応募ができなかったのです。それから選考に合格し、2022年10月に念願の日本に渡ることができました。JICAの紹介で神戸情報大学院大学情報工学専攻に入学、2年間勉強し、昨年の9月に卒業しました。
甲南大学でチャンスを広げたい
KONAN-PLANET 記者
甲南大学との出会いについて教えてください。
ミガンさん:神戸情報大学院大学に在学中に、甲南大学の谷守先生の日本語授業を受講したことがきっかけです。また、昨年の春から「大学日本語入門」に聴講生として参加。神戸情報大学院大学を卒業後、研究生として甲南大学に入学することができました。今年の4月には自然科学研究科知能情報学専攻(博士後期課程)に入学し、引き続き研究を進めていきます。
-大学院ではどのような研究をしていくのでしょう。
ベナンの農家の生産性向上に貢献する収穫ロボットを
ミガンさん:私が研究開発したいのは、トウモロコシを収穫する農業用のロボットです。ベナンの主食はトウモロコシですが、その生産現場では機械化がほとんど進んでいません。トラクターなどの農機はありますが、作物に傷がつきロスが出てしまいます。ベナンの農家の生産性を向上させるために、熟したトウモロコシをAIが自動的に認識して収穫できるロボットを開発し、実用化を目指したい。それが実現すれば、農家の人たちの助けになるのではないかと思っています。
甲南生や地域の子どもたちとの交流も
ミガンさん:甲南大学では、さまざまなイベントにも参加しています。キッズフェスティバルでは子どもたちとふれあったり、アフリカについて研究するマネジメント創造学部の学生たちの研究発表ではコメンテーターを務めました。岡本キャンパスでは留学生たちとの交流も楽しんでいます。あと、神戸の街もとても気に入っています。海も山も近くにあって、人もそれほど多くなくて、なにもかもが「ちょうどいい」ですね。
当日の様子はこちらから
日本でやりたかったこと
KONAN-PLANET 記者
日本にきて、驚いたことなどありましたか?
ミガンさん:まず、お年寄りが元気なことに驚きました。そして、日本の生活はとても便利ですね。電車も慣れると、とても便利です。あと炊飯器!これさえあれば、いつでも美味しいご飯が炊けます。日本食もサイコーです(笑)。とくに、つけ麺はすごく美味しいです。ワサビは辛いと知らずに一度にたくさん食べてしまい、口の中が爆発したようになりました。
憧れの長渕剛のライブにも参戦!
楽しかったのは、長渕剛さんのライブに行ったことです。二回も行きました(笑)。日本語学校の先生に「乾杯」を教えてもらって、日本に来る前からずっと憧れていて、日本で長渕剛のライブに行きたいと思っていたんです。歌もいいですが歌詞が共感出来ます。自分の生活や人生を描いて語っているような感じがして深いです。そして、やっぱり、かっこいい。彼に憧れて、最近ギターを始めました。
合気道も、日本でやってみたかったことの一つです。日本語学校の先生からいろいろ話を聞いて、いつかやってみたいと思っていたので、甲南大学の合気道部に入部できたのは嬉しかったです。先生もていねいに教えてくださり、おもしろい。できるだけ長く続けたいと思っています。
目指すは社会起業家
KONAN-PLANET 記者
これからの目標を教えてください。
収穫用ロボットの技術を世界各国へ
ミガンさん:ボットの開発を通じてベナンの農家の役立つことはもちろんですが、ベナンだけでなく、他の国にも技術を提供していきたいです。昨年、神戸市主催のアフリカビジネスコンテストで、トウモロコシの収穫用ロボットによってアフリカの経済を加速するビジネスプランを企画し、学生賞を受賞しました。
また、ベナンで勤めていた企業の社長の紹介で社会起業家として知られるボーダレスジャパンの田口社長と出会い、甲南大学でのイベントで実際に話をさせてもらったことも刺激になっています。
ベナンと比べると、日本は圧倒的にチャンスが多いと感じています。学生の間にいろいろなことを経験して、できることの可能性をもっと広げていきたい。研究を進めながら土台をしっかり作って、ソーシャルビジネスとして起業する準備をしていきたい。また、博士課程を取得すればベナンの大学で教えることもできます。最終的にはベナンに戻り、日本で学んだ技術を伝えるなど、国や若者のために何かしたいと思っています。
KONAN-PLANET 記者
最後に、みなさんにメッセージをお願いします
慣れた環境から一歩踏み出す勇気を
ミガンさん:ベナンから日本に向かう飛行機の中で、恐怖を感じて「家に戻りたい」という気持ちになりました。けれども、「日本に行ける、日本を知ることができる」ワクワクする気持ちの方が強かった。あのとき、家に戻っていたら何も変わらなかったと思うんです。慣れている生活や環境から一歩飛び出せば、もっと優秀な人たちと出会うことができます。そして、自分も成長することができる。成長や学ぶことに限界はありません。みなさんも、慣れた環境から一歩、踏み出してみてほしいと思います。