学生のアイデアで冬の水族館に賑わいを! 神戸須磨シーワールドの課題に挑んだ産学連携プロジェクト
甲南大学経済学部石川ゼミの学生たちが、神戸須磨シーワールドが抱える「冬季の若者集客」という課題に対し、産学連携の参加型イベント「テンションシャチあがり!“スマ“イルフォトクエスト」を企画・運営しました。ハード面の改修が難しい中、ソフト面から「恋」をテーマにした企画を立案。企業へのプレゼンでの厳しい指摘や、当日の想定外の反響を乗り越え、実践的な学びを得た本プロジェクト。今回は、中心となって進めた学生メンバー3名(吉見さん、田中さん、浅藤さん)に、プロジェクトの裏側や成長の軌跡をたっぷりとお聞きしました!
Contents
・プロジェクト開始のきっかけと企画への思い
・ターゲットの想定と実際の反響、現場での工夫
・ 企業との協働で得た気づきと成長
・今後の展望とメッセージ

プロジェクト開始のきっかけと企画への思い

KONAN-PLANET 記者
まず初めに、神戸須磨シーワールドでのイベント企画に取り組もうと思った経緯と、企画内容について教えてください。

吉見 颯真さん
石川ゼミの活動の中で、神戸須磨シーワールド様から「冬季の若年層(18〜22歳)の来園者が減少している」という課題をいただいたのが始まりです。私たちは、生き物を増やすなどのハード面の変更やコストをかけることが難しいことから、ソフト面からアプローチしようと考えました。

田中 真幸さん
若年層の集客に向けて、2月のバレンタインの時期に合わせた「恋」に注目しました。今の若いカップルは、手をつないだり一緒に写真を撮ったりすることに少し照れがあると思うんです。そこで、イベントのミッションを「手をつなぐ口実」「写真を撮る口実」にして、水族館での素敵な思い出を作ってもらおうと考えました。


浅藤 大輝さん
具体的には、2月7日〜15日の9日間、「テンションシャチあがり!“スマ”イルフォトクエスト」と題し、館内を回遊して「バレンタインフォトブース」や「ミラーシート」での撮影、そして「手つなぎフォト」などのミッションに挑戦してもらうイベントを実施しました。ミッションを2つクリアした初級者にはオリジナルグッズを、5つ全てクリアした上級者には神戸須磨シーワールドで人気の「オルカくじ」の無料チケットをプレゼントする仕組みにし、参加意欲を高める工夫をしました。


ターゲットの想定と実際の反響、現場での工夫

KONAN-PLANET 記者
実際にイベントを開催してみて、来場者の反応はいかがでしたか?
吉見さん:当初の想定では若いカップル層が中心になると考えていましたが、実際にはご家族連れや、年間パスポートをお持ちの熱心なファンの方の参加が非常に多かったです。私たちがメインターゲットとして想定していた若年層の参加は3割程度でしたが、バレンタインデー当日には1日で180名もの方にご参加いただくなど、予想を大きく上回る大盛況でした。

田中さん:想定以上に参加してくださる方が多く、用意していた上級クリアの景品(オルカくじチケット)がイベント開始1時間ほどでなくなりそうになるハプニングもありましたが、そこは神戸須磨シーワールドの担当者様のご厚意で急遽景品を追加していただき、なんとか乗り切ることができました。また、当日はお客様の動きを見て「ここが分かりにくいな」と感じた部分に急遽案内用の張り紙を作るなど、臨機応変な対応をすることでより多くの方々にご参加いただけたと思います。

浅藤さん:イベントを企画するにあたって、冬の時期は寒さのために屋外で行われるオルカやイルカのパフォーマンスの観覧者が少なくなるという現状分析があったのですが、ミッションの中に「シャチやイルカの撮影」を組み込んだことで、イベント期間中に大雪に見舞われた日でも、神戸須磨シーワールドの担当者様から「イベントのおかげで、雪と寒さで閑散としていたショーに明らかにお客様が増えた」と褒めていただき、施設の課題解決に直接貢献できた実感を持てました。年配のご夫婦が「このイベントのおかげで久しぶりに写真を撮ったよ」と喜んでくださったのも嬉しかったですね。
企業との協働で得た気づきと成長

KONAN-PLANET 記者
実際に企業(神戸須磨シーワールド)の方々と協働する中で、
どのような苦労や学びがありましたか?
吉見さん:一番苦労したのはスケジュール管理と企業との調整です。学生間であればすぐに決まることでも、企業や関係各所を通すと確認・承認のプロセスがあり、自分たちの想定通りのスケジュールで進まないことが多く、社会の厳しさを学びました。
田中さん:企業の方へのプレゼンテーションでは、「水族館=寒い」というイメージを「恋」というテーマで温かいイメージに変えるというアイデアなどは評価していただきました。しかし一方で、「参加者が本当に楽しんでくれる仕組みになっているか」「イベントのクオリティや施設の利益が本当に担保できているのか」など、学生目線では気づきにくいリアリティのある厳しい指摘も受けました。何度も企画を持ち帰り、ブラッシュアップを重ねたのは大変勉強になりました。

浅藤さん:一方で、私たちが学内で集めた「若者のリアルなSNS利用実態」についてお話ししたところ、シーワールドの担当者に非常に興味を持っていただけたんです。若者は写真をSNSに投稿してもすぐ消してしまう傾向があるといったリアルな感覚を伝えたところ、「今の若者はそういう感覚なのか!」と今後の施設広報の参考になるような情報を提供できたようで、私たちなりの貢献ができたと感じています。
プロジェクトで得た気づきや成長

KONAN-PLANET 記者
最後に、このプロジェクトを通じて得た気づきや成長、
今後につなげたいことなどを教えてください。
吉見さん:今回、若者の誘客を目的としていたので、私たち自らが制作したプロモーション動画を一定期間学内で流していただいていたのですが、この公開が想定より遅れ、春休み直前になってしまったことが反省点です。もし次に企画をするなら、もっと早い段階からスケジュールを逆算し、最適なタイミングでプロモーションを展開したいです。
田中さん:イベントの設計についても改善点が見えました。今回は年間パスポート(年パス)をお持ちの熱心なファンの方に多く参加いただきましたが、もし次やるなら、「年パス保有者(ヘビーユーザー)向け」と「一般チケット入場者向け」を分けるなど、よりターゲットのニーズに合わせた工夫をしたいです。
浅藤さん:現地でのフィールドワークを含めた現状分析からイベントを企画し、厳しいプレゼンを経て現場で実際に運営するまでを一貫して経験できたのは、本当に貴重な財産です。チームで協力し、企業の方と本気で向き合って一つのものを創り上げる中で得た、実践的な課題解決力や粘り強さを、今後の学生生活や社会に出た後にも活かしていきたいです。



石川 路子先生
このたび、神戸須磨シーワールド様とのご縁からこのような貴重な機会をいただけたことに心より感謝申し上げます。学生がフィールドワークやヒアリングを通じて施設の抱える課題に真摯に向き合い、その解決に向けた企画を考え、実際にイベントとして実施できたことは、学生にとって大変貴重な経験でした。イベント期間中には、現地で本学OBOGの皆様からも温かいお声がけを含め、さまざまな方々の支えをいただくことで、最後までやり遂げることができました。今後も、学生が地域課題について考えるだけでなく、さまざまな形で自ら一歩踏み出し、実践に挑戦していく機会を提供していければと考えています。
