「2. 学生おすすめ (学生による書評など)」カテゴリーアーカイブ

鈴木宏彦著 ; 羽生善治 [ほか述] 『イメージと読みの将棋観 』

理工学部  1年生 石山 遥希さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : イメージと読みの将棋観
著者 : 鈴木宏彦著 ; 羽生善治 [ほか述]
出版社:日本将棋連盟
出版年:2008年 10月

ある一つの局面を棋界のトップを走り続ける6人の棋士が先手番か後手番のどちらが有利なのか徹底的に読みあうプロ棋士の大局観を学ぶことができる本です。

全3部構成になっており、第1部はいろいろな駆け引きが繰り広げられる序盤戦における大局観、第2部では、戦いが勃発する中盤戦における大局観、第3部では、将棋において一番難しいといわれる終盤戦における大局観を学ぶことができます。将棋が強くなりたいと思っている方などはぜひ一読してほしい本です。


藤井猛 著 『最強藤井システム 』

理工学部  1年生 石山 遥希さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 最強藤井システム
著者 : 藤井猛 著
出版社:日本将棋連盟
出版年:1999年 7月

1995年12月22日。一つの革命が起こった。第54期B級2組順位戦の7回戦。藤井猛六段vs井上慶太六段(段位は当時のもの)の対決だった。先手番だった藤井六段が独自で研究した振り飛車戦法を採用。対して井上六段が居飛車穴熊戦法を採用した。誰もが居飛車穴熊戦法が勝つと思っていた。しかし、結果はなんと、47手という短手数で藤井六段が勝ったのである。その後藤井猛は独自で編み出した戦法で居飛車穴熊戦法を次々に倒していった。その後、藤井猛が編み出した振り飛車戦法は「藤井システム」と名付けられ、優れた新戦法を編み出した人に送られる升田幸三賞を受賞したのであった。

本書はその藤井猛が編み出した藤井システムを徹底的に説明した定跡書である。2部構成になっており、第1部は定跡編で先手番藤井システムと後手番藤井システムを余すことなく紹介している。あまりの詳しさぶりに鳥肌が立ったのを覚えている。第2部では自戦記編で合計20の棋譜が載ってある。是非盤に並べて鑑賞してほしい。藤井システムの迫力がよく伝わってくると思う。

本書は、初級、中級者の方はかなり難しい内容になっている。初級、中級者の方はまず普通の振り飛車戦法を徹底的に勉強してから本書に取り組んでみてほしい。有段者の方で振り飛車戦法が好きな方や藤井システムという戦法は知っているが、いざ指して見ると難しくてよく分からないと思っている方は是非本書を読んでほしい。藤井システムの全貌がよくわかるはずだ。


山中伸弥, 羽生善治著 『人間の未来AIの未来』

理工学部  1年生 石山 遥希さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 人間の未来AIの未来
著者 : 山中伸弥 , 羽生善治 著
出版社:講談社
出版年:2018年 2月

1996年に、将棋界初の七冠王に輝き、2017年に前人未到の「永世七冠」の称号を得た天才棋士羽生善治先生と、2012年に「成熟細胞が初期化され多能性をもつことの発見」によって、ノーベル生理学・医学賞を受賞したiPS細胞研究所所長の山中伸弥先生による対談をまとめた本です。

iPS細胞とはいったい何なのか、なぜプロ棋士は人工知能に敗北してしまったのか、この先世界はどうなっていくのか、など二人がそれぞれ疑問に思っていたことを、二人それぞれの意見を出しあい、考えていく本になっています。偉大なる2人の考えがよくわかり、とても勉強になる本でした。人工知能などに興味がある人だけでなく、理工学部の方、文系学部の方もぜひとも読んでみてほしい本です。

 


将棋世界 編『羽生善治全局集 七冠達成まで』

理工学部  1年生 石山 遥希さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 :  羽生善治全局集 七冠達成まで
著者 :  将棋世界 編
出版社:マイナビ出版
出版年:2015年

将棋界で有一、七つのタイトルを取り、七冠王になった羽生善治の名人獲得から七冠王達成までの合計111局の棋譜が載っている将棋棋譜解説本です。一局一局に解説もついていて、わかりやすかったです。将棋中級者以上の方や羽生善治ファンの人は是非とも一読してほしい一冊です。

 


福沢諭吉著 齋藤孝訳 『現代語訳 文明論之概略』

経済学部  3年生 Tさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 :  現代語訳 文明論之概略
著者 :  福沢諭吉著 , 齋藤孝訳
出版社:筑摩書房
出版年:2013年

 筆者の福沢諭吉は、大坂の蔵屋敷で下級武士の長男として生まれた。幼少期は塾で勉強に励み、慶應義塾の基礎となる蘭学塾を開いた。以降、アメリカ、イギリス、ロシアを訪問した。彼の啓蒙思想、教育の考え方は、近代日本の発展に大いに貢献した。学問の重要性を説いた「学問のすすめ」は彼の代表作として現在も広く世間に知られている。

 本書は、「学問のすすめ」と同時期に刊行された諭吉による文明論である「文明論之概略」を現代に生きる我々でも読めるように、教育学を専門とする大学教授の齋藤孝氏が現代語訳した。タイトル通り本書は文明論であり、文明を発展させるにあたり何が大切であるかが述べられているが、それは、革新的な技術や時代に合った法律ではない。文明を発展させるにあたり最も大切なことについて、物事の本質を捉えてながらも、抽象的になりすぎず、欧米、アジアなどの歴史的な出来事や身近な物事を例に挙げて説明している。そのため、難しい本を読んでいる感覚は無かった。福沢諭吉という天才の考えを普通の大学生である自分が理解できたことに感動を覚えた。

 執筆当時と現在では、日本は大きく発展し、世界の中での日本の位置づけが変わっている。しかし、時代は変わったとしても、日本の文明の発展に必要なものは当時と変わらないように感じる。諭吉のメッセージは、現代に生きる我々にも通用するだろう。

 


アイザック・アシモフ著 , 伊藤哲訳 『わたしはロボット 』

フロンティアサイエンス学部 4年生 岩田 和也さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 :  わたしはロボット
著者 :  アイザック・アシモフ著 , 伊藤哲訳
出版社:東京創元社
出版年:1976年

本学で所蔵している本はこちら ⇨ アイザック・アシモフ著 ,  小尾芙佐訳 『われはロボット 』早川書房 , 2004年

 本作の人間とロボット(人工知能)の関係は「ロボット工学の三原則」に基づいている(一部抜粋)。

  1. ロボットは人間に危害を加えてはならない。
  2. ロボットは人間の命令に従わなくてはならない。
  3. ロボットは自らの存在を護らなくてはならない。

 これらの法則はロボットが人間に従属することを示している。現在、就職活動では「将来はロボットに仕事をとられるかもしれない、人工知能が発達すると働き方も大きく変わる」と必ず1回は耳にする。現在の日本におけるロボットへの接し方は共存ではなく競争のようだ。ロボットは休む必要がなく、専門性に特化した構造を持っていれば人工頭脳を駆使して人間以上に効率的に行動し、高い生産性をもたらす。それゆえにロボットは人間に従属する存在であることを再定義すること三原則は、将来的に人間の優位性を保つうえでも必要であるといえる。

 さて本作では執筆者アシモフ自身が考案した「ロボット工学三原則」の欠点やイレギュラーな条件から見えるロボットの不完全性や、人工頭脳がもたらす危険性が記されている。この書評で私は注目すべき章として「逃避!」を紹介したい。この章では、科学者が極めて優秀な人工知能に、星間エンジンを積んだ宇宙船を設計するように依頼した。その宇宙船は理論上、搭乗者が星間を移動中に必ず死亡するため、他の人工頭脳では「人間を死なせない(第一)」と「設計する(第二)」というジレンマによって思考回路が破綻、故障した。しかしこの人工頭脳ではある一つの解が提示した。移動中に一度死んで、目的地に着いたら蘇生すればよいのだ。作中でその宇宙船の搭乗者が実際に一度死亡し、魂が天国の門の手前まで行ってから現世に帰ってきた。人工知能にとってこの解は非常に合理的なものである。しかし同時に人工頭脳が目的のために人間的な解釈を超えた三原則の下で結果を導き出す危険性も秘めていることわかる。

 本作が発表された1950年前後は人工知能そのものが開発されて間もない頃である。アシモフは人工知能が人類にもたらす恩恵とその背後に潜むリスクを本作で例示するかのように記している。ロボットと人工知能が一般的に普及しつつある今こそ、人工知能が生まれた頃に執筆されたこの一冊を読み直し、人間とロボット(人工頭脳)とのあり方を考えるべきではないだろうか。