甲南大学 人間科学研究所

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2022/2/25
研究者・学生の方

【公開研究会】「アートによる地域再生再考、障害者アート、地域アートの未来」<3/21>

日時:2022年3月21日(月・祝) 13:00~17:00


場所:オンライン(Zoom)




ゲスト講師:沢山遼(美術評論家/沖縄県立芸術大学非常勤講師)


企画:三脇康生(仁愛大学人間学部/甲南大学人間科学研究所客員特別研究員)


報告者:石川亮(成安造形大学地域実践領域)


    馬場晋作(成安造形大学美術領域)


    服部正(甲南大学文学部/甲南大学人間科学研究所兼任研究員)




申込み:kihs@konan-u.ac.jp(人間科学研究所)にメールで申し込みください。


    *お申込みいただいた方に、ZoomIDとパスワードをお伝えします。


    *3月19日(土)お昼12時締切




主催:甲南大学人間科学研究所

   日本学術振興会科学研究費助成事業「アートによる地域再生の実践的検証―障害者アート
   と地域アートの未来像を探る試み」(20K00240)




趣旨:
 フランス、リール市の精神科医ジャンリュックローラン氏は、アートを精神医療に持ち込みつつもアール・ブリュットの考え方を激しく批判している。これは、アール・ブリュットをキーワードに文化振興を行うナント市とリール市の差異を明確に示す事例である。障害者の芸術振興をアール・ブリュットの名称のもとに行う日本は、果たしてナントとリールのどちらにつくべきか?まずは、そこを考えたい。
 釧路にある精神科病院、つるい養生邑は、中央のスペースで大野一雄が踊ったことで有名だが、真価は内装に細かく細工されたアートであり、屋根裏部屋を使った保護室であった。松井健の『民藝の機微』に従えば、柳宗悦は、概念でなく個物重視、彼岸、浄土さらに、西田幾多郎の指摘した純粋経験への感受性、ウィリアム・ブレイクの宗教性に着目したらしく、それらとこの病院の雰囲気は、一致する可能性がある。院長の宮田國男は、東京の内科画廊の持ち主で、美術家の中西夏之にその運営を任せていた。つまり、1960年代の前衛芸術と宮田流の民藝が精神科病院に集結しようとしていた可能性があり、それらは1人では担い切れない仕事になった可能性はある。ここからは、ナントではなく、リールへなら接続できたはずだ。
 滋賀県では、同じ近江八幡に現代美術を展示するBIWAKOビエンナーレとアール・ブリュットを展示するボーダレス・アートミュージアムNO-MAがあるが、お互いに明確な交通がないようにも見える。2021年にリニューアル開館した滋賀県立美術館は、地域、障害者、近代、現代アートを交流させんと意識していることが感じられる。しかるに、第二次世界大戦被害についての語りが開封され、震災も議論の俎上に上る現代の日本の美術は、椹木野衣によれば「トラウマサバイバー・アート」になってきており、そこでは全員が当事者であるという。とすると、当事者間の差異が見えにくい。逆に、当事者の被害感に閉じこもりやすい。だからこそ、交流を謳い上げるナントではなく、公園のベンチにたまたま横に座るような辛うじての交流が生まれるリールが信用できる。
 この現状を踏まえて、アートの機能を再考する。(三脇康生:本研究会企画者)



プログラム:

13:00~13:30  はじめに  三脇康生

13:30~14:20  滋賀県、堅田地域でのアートプロジェクト  石川亮、馬場晋作

14:20~15:10  民藝と現代美術  沢山遼

   休 憩

15:20~16:00  山下清と民藝とアール・ブリュット  服部正

16:00~17:00  総合討議  司会:三脇康生

 *各報告時間には質疑応答時間を含む