甲南大学 人間科学研究所

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2024/2/5
研究者・学生の方

【シンポジウム】「子育ての社会化」と「家庭的」養護の狭間で

児童福祉施設では、近年「家庭的」という言葉がキーワードとなって、施設の小規模化、ユニット化、ユニットごとの食事など、その構造や生活の改善が図られてきた。そして実際、少人数化によって従来視野に入らなかった子どもの状態が見えるなどの変化が見られる。しかし、養育者が家庭的であろうと努力する中で、子どもとの距離感がわからなくなり疲弊しているという話も聞こえてくる。一般の「家庭的」という概念を支配してきた核家族モデルが限界に直面し、「子どもの社会化」、「子育ての社会化」の必要が唱えられてきたことを視野に入れると、変わり続ける家庭のあり方自体を問い直しながら「社会的」養護の意味を考えていくことが必要である。

「家庭的」のように、そのあり方や内容が多様であり、共通理解が困難な言葉には、意味の検討と具体的な取り組みへの接続がなければ、現場に、混乱、戸惑い、時には不適切な方向への極端化などが発生する恐れがある。何より、実践者と子どもの関わりのなかで、子ども理解と自己理解を伴いながら、実践者自身が知恵を生み出す動きがなければ、養育の力は衰えていくであろう。

本シンポジウムでは、社会学、心理学というそれぞれの専門の立場から児童養護実践に関わりながら、「家庭化」と「社会化」の概念について、ソーシャルペダゴジー(社会的な養育・教育)の意味について、考えてこられた二人の実践・研究家をシンポジストとしてお招きし、社会的養護において、「家庭的」であるとはどういうことかを問い直しながら、よい実践を生み出していくための知恵を探索する機会とする。

 

【日時】:2024年2月21日 14:00〜16:00
【開催場所】:Zoomによるオンライン開催

※申込みをいただいた方に,Zoomの設定をお送りいたします。

 

【企画】
森茂起(甲南大学名誉教授・人間科学研究所客員研究員)

【話題提供者】
藤間公太 (京都大学大学院, 教育学研究科, 准教授.博士(社会学))

著書:『代替養育の社会学 施設養護から〈脱家族化〉を問う』他
主要論文:子どもをめぐる政策における家族主義―「家族」「家庭」の定義をめぐる困難と解としての「脱家族化」

益田啓裕(追手門学院大学大学院,心理学研究科,准教授)

著書:『今から学ぼう!ライフストーリーワーク』他
翻訳:『ソーシャルペダゴジーから考える施設養育の新たな挑戦』
論文:子どもの傷つきとケア―児童福祉施設の治療的支援を家庭・地域で活かす

 

【お申込み方法】

参加希望の方は,kihs@konan-u.ac.jpまでご連絡ください。折り返し,Zoomの設定をお送りいたします。

 

お問い合わせ先:甲南大学人間科学研究所 kihs@konan-u.ac.jp

078‐569‐0217