甲南大学 人間科学研究所

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報告

2024/9/4
報告

【報告】第6回九鬼周造記念シンポジウム 「時間と実存」

甲南大学・人間科学研究所では、これまで九鬼周造にかかわるシンポジウムを開催してきました。6回目となる今回は、哲学の最前線で活躍する研究者を招いて「時間と実存」について議論しました。提題者の古田徹也氏は、ウィトゲンシュタインの研究者であり、行為、言語、運、人生などを主題とする著作も発表しています。コメンテーターの池田喬氏は、ハイデガーの研究者であり、現象学の立場から行為や倫理などに関連する著作も発表しています。古田氏は発表「九鬼周造における時間と実存――水平的時間と垂直的時間をめぐって」において、九鬼の「水平的時間」と「垂直的時間」の交差において立ち現れる人間の「実存」の次元を「日課」などの具体例との関連において明らかにしました。池田氏からは、そうした事柄が「仮想的な条件下における私の選択」の問題と結びついていることや九鬼のテキストには明示されていないハイデガーの影響についての指摘がなされました。質疑応答では、日本哲学や現象学の研究者から積極的な発言がなされ、九鬼周造をめぐる貴重な学術交流の場になりました。

(報告:吉川孝)

 

実施日2024727日(土)

参加者:24名(甲南大学学生1名,一般23名)