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2025.06.17

授業・イベント

株式会社E-konzal 榎原友樹氏をお迎えし、STAGE生に講義いただきました!

株式会社E-konzal 榎原友樹氏をお迎えし、STAGE生に講義いただきました!

 2025年5月22日(木)に実施された「SDGs概論」(担当教員:久保はるか教授)では、環境・エネルギー分野に特化したコンサルティング会社である株式会社E-konzalの代表取締役、榎原友樹氏をゲストスピーカーにお迎えしました。榎原氏は、気候変動と再生可能エネルギーを大学院で学ばれた後、社会実装をめざして会社を設立し、3つの事業(株式会社E-konzal、株式会社能勢・豊能まちづくり、江坂ひとときプロジェクト)を展開されています。講義では、気候変動対策として重要視される再生可能エネルギーの普及と、それを地域づくりに活かすための取り組みなどについて、専門的かつ実務的な視点からお話いただきました。

 能勢町・豊能町では、自治体の「脱炭素」方針が十分に実行されていない現状を受けて、榎原氏は再生可能エネルギーの発電と小売りを担う実働組織として「株式会社能勢・豊能まちづくり」を立ち上げ、さまざまな取り組みを進めてこられました。その一例として、省エネ診断を実施することで公共施設の電力使用量を大幅に削減させることに成功されています。また、同社が販売する電力はすべてゼロカーボン電力であり、これは温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにすることを目指すものです。これにより、能勢・豊能の公共施設などからのCO₂排出量を60%以上減らすなど、国内でも数少ない先進的な事例も実現されています。これらの取組みは、地域外に支払って流出させてきたエネルギー料金を、地域内で創ることにつながります。

 また、地域の公共交通に関する課題にも取り組まれており、高校生の通学支援として、リサイクルされた太陽光パネルを活用した電動自転車(E-bike)の導入を進められています。榎原氏によれば、それでもなお多くの課題が残されており、法律の制約や地域住民の多様な要望との調整が行政の障壁となっており、解決には依然として高いハードルがあると説明されました。行政の壁を乗り越えるために、例えば、自治体の公用車を電動自動車(EV)に切り替える提案においては、中古EVのコストや性能面での利点をデータに基づいて提示し、試行錯誤を重ねながらも着実に前進させておられます。こうした地道な活動によって、能勢町・豊能町における地域内経済循環を年間1600万円規模にまで拡大させるなど、地域の発展にも貢献されています。

 一方で、里山地域のみで対応できる範囲には限界があり、都市と里山がそれぞれ抱える課題(孤独化・孤立、子どもが自由に遊べる場の不足など)を相互に補完し合う新たな取り組みとして、「江坂ひとときプロジェクト」を始動されました。このプロジェクトでは、地域の交流拠点を住民自らの手で創り上げていくプロセスを重視しており、住民の力を合わせて「江坂ひとときテラス」を創立されました。ここでは、子ども会や不登校支援、大学生による作品発表、小学生によるビオトープづくりなど、多様な人々による活動が展開されています。こうした場づくりを通して、地域に自然と人が集まり、誰かの声をきっかけに新たな活動が生まれるという連鎖が生まれており、榎原氏はその過程を通して「まちづくりとはこういうことか」と実感されたそうです。

 最後に、榎原氏は「プロジェクトは未完成でいい。『余白』こそがプロジェクトを面白くする。まちなかと里山の交流拠点の可能性は無限大」と述べ、講義を締めくくりました。

                     

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