人文科学研究科人間科学専攻

 大学院・人文科学研究科・人間科学専攻は、環境・芸術・思想分野と心理臨床分野に分かれながら、二つの協力の下に総合的な専攻を形成しています。環境・芸術・思想分野では、学科とおなじく思想を基礎にして、芸術学、環境学、神話学、文学など、多彩な研究教育を提供しています。
 各種の分野において、高度な専門知識が必要となった現在、大学院での学修経験が望まれる場合も多くなっています。 将来の実りある人生のために、充実した研究活動の経験を持つこともよいでしょう。自ら問題を見い出し、その答えを探索し、その知見を社会に広く提供していくことは、自分のためだけの研究活動ではなく、自分の経験や能力を社会に貢献していく作業でもあります。これまでに社会人の経験がある方は、そのような経験の上に立って、再び深い学問内容に触れ、あるいは知らなかった最新の知識を用いて自らの経験をさまざまな人に活用できるようになものにしていくことが出来るかもしれません。
 本専攻では、多数の図書や情報処理などの機器、専攻ごとの大学院生室をはじめ、研究のための設備も整っており、各種研究会や紀要など研究機関・発表機関誌もあって、充実した研究環境のもと、社会人や外国人留学生をまじえた活発な研究活動が行われており、すでに多くの修了者が研究職や教育職その他の職業に就いて、活躍中です。 心理臨床分野の修士課程は、臨床心理士資格認定協会から早い時期に第1種指定を受けており、資格取得のために必要なカリキュラムを備えていて、専門知識の習得はもとより、カウンセリング研修も行ない、専門家養成課程になっています。既に本専攻からは、数多くの臨床心理士が排出され、社会に貢献しています。
 本専攻では、修士課程は年2回(9月と2月)、博士後期課程は年一回(2月)入試が行われています。入学定員は、修士課程については人間科学専攻10名、博士後期課程については人間科学専攻が各3名となっています。 入試日程は以下の通りです。

2015年度大学院人文科学研究科入試日程

  出願期間 入試
修士課程T次入試 8月1日(木)〜8月7日(木)(8日消印有効) 9月6日(土)
修士課程U次入試 1月20日(火)〜1月29日(木)(29日消印有効) 2月21日(土)
博士後期課程入試 1月20日〜1月29日(29日消印有効) 2月21日(土)〜22日(日)

学際的な環境で「自分の意見」を探求

大阪高校教諭 寺本知加
人間科学専攻(環境・芸術・思想分野)修士課程 2007年終了

 私は大学院で、いわゆる「悪口」・「悪態」に隠された親しみ表現、「あまのじゃく」的発言について研究し、文化学・言語学・心理学など様々な分野において共通した箇所を探し出すということをしました。学問領域というレッテルや区分にとらわれず、学際的に疑問を探求することができ、本当に充実した二年間となりました。
 また、大学院では一つのテーマについて意見を話し合う授業も多く、何かと「自分の意見」というものが求められました。間違ってもいいから、自分の考えをしっかり捉え、吟味し、精製して実際に言葉にして相手に投げかけてみるという経験は、社会人として働き始めてからも、とても役立っていると感じています。

すべてが仕事につながる

古橋会 揖保川病院 土居紀子(臨床心理士)
人間科学専攻(心理臨床分野) 修士課程 2006年終了

 甲南大学・大学院を卒業後、現在は、精神科の病院で心理士として働いています。私の勤める病院には、子どもからお年寄りまで様々な年代の方が来られ、抱える問題も多様です。知識も経験もまだまだ少ない私が、心理検査や心理療法に携わるにあたって、病理の深さに圧倒されたり、自分自身の死生観が問われるように感じたりすることもありますが、本学で学んだ心理学の専門的な知識や臨床トレーニングはもちろんのこと、多様な視点から人間を見つめ・深めてみるといった体験に支えられていると思います。また、何かを表現する・伝える体験は、患者さんと関わる際にも、他職種間で意見を交換したり、検査の報告書を作成したりする際にも、生きているように思います。在学中は、講義やゼミをはじめ、児童養護施設や病院の臨床実習、不登校の子どもの訪問ボランティアなど、目の前のことで精一杯の毎日でしたが、今になってみれば、すべてが今の仕事につながっていると思います。