法改正で16歳以上は免許不要に!
電動キックボードに乗ってみた!

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2024.2.21
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渋滞の心配が少なく、スムーズな移動が可能で都市部を中心に利用が広がっている電動キックボード。法改正によって2023年7月から新たなルールが適用され、これまでは原動機付自転車のルールに沿う必要があったところ、自転車と近いルールで利用できるようになりました。今回は、法改正の内容と電動キックボードに実際に乗車した体験記をお伝えします。

 

 

 

 

これまで電動キックボードは、原付バイクや自動車と同じく運転免許が必要でした。改正道路交通法の施行(2023年7月)に伴い、最高速度や車体の大きさなど一定の基準を満たすものは「特定小型原動機付自転車」という新たな区分に位置付けられ、16歳以上であれば運転免許がなくても運転でき、ヘルメットの着用は自転車と同じく努力義務に。また、最高速度を時速6キロ以下に制御できるなどの条件を満たすと、自転車の通行が認められている歩道を走行することもできます。

 

特定小型原動機付自転車の基準


 

車体の大きさ
・長さ:190センチメートル以下
・幅:60センチメートル以下

車体の構造
・原動機として、定格出力が0.60キロワット以下の電動機を用いること。
・時速20キロメートルを超えて加速することができない構造であること。
・走行中に最高速度の設定を変更することができないこと。
・オートマチック・トランスミッション(AT)であること。
・最高速度表示灯(灯火が緑色で、点灯又は点滅するもの)が備えられていること。

 


 

ただし、条件を満たさなければ、見た目が電動キックボードであっても従来の一般原動機付自転車などに該当し、運転免許などが必要になります。また、道路運送車両法に定められた保安基準の遵守や、自動車損害賠償責任保険(共済)契約、特定小型原動機付自転車用の標識(ナンバープレート)の設置なども義務付けられています。

 

 

 

経済産業省ホームページより
「ルールを守って電動キックボードに乗ろう」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001622340.pdf

「特定小型原動機付自転車ってなに?」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001622341.pdf

 

 

 

 

電動キックボードの普及の背景

 

電動キックボードの普及は、環境配慮、都市部の交通渋滞解消、ラストワンマイル*の問題解決といった現代社会の課題に対応する手段として注目されています。バッテリー技術の進歩により長距離走行が可能になり、GPSによる効率的な管理が実現し、シェアリングエコノミーの拡大とともに利便性が高まっています。また、新型コロナウイルス感染症の流行は、公共交通機関への依存を減らし、個別の移動手段として電動キックボードへの関心を高めました。
*駅やバス停などから目的地までの移動を指す。

 

 

 

海外の電動キックボード事情


電動キックボードは欧米を中心に手軽な交通手段として日本よりも早い時期から普及しています。経済産業省の調査によると、2021年9月時点で電動キックボードのシェアリングサービスが導入されている都市が一番多い国はアメリカで、129都市に普及しています。そして2位がドイツの87都市、3位がポーランドの44都市、4位がイギリスの35都市、5位がイタリアの28都市と続く状況です。

 

アメリカではシェアリングサービスが都市部で広く利用され、通勤や観光の新たな手段として定着しています。ドイツでは法的枠組みの整備により公道走行が許可され、環境に優しい移動手段としての位置付けを強化しています。一方、韓国ではソウルを中心にシェアリングサービスが普及し、ラストワンマイルの解決策として若年層を中心に人気を博していますが、安全性への懸念も指摘されています。電動キックボードの普及は、法規制の整備、安全対策の強化、そして都市インフラとの整合性がキーとなることがわかります。

 

 

 

電動キックボードの市場規模は?


電動キックボードの市場規模は急速に拡大しており、2025年には世界の電動キックボード市場がシェアリング市場だけでも約4兆円から5兆円に達する見込みと言われ、日本国内でもシェアリング市場だけで約1兆円規模になると予想されています。電動キックボードは高齢者の交通手段の増加やラストワンマイルの移動範囲の拡大、環境問題への貢献など、多くの社会的意義を持っています 。

 

 

ここからは、KONAN-PLANET記者が実際に電動キックボードに乗車した体験記をお伝えしていきます。

電動キックボードには、個人での購入とシェアサービスの二つの選択肢があります。個人購入では、自分のニーズに合ったモデルを選べますし、長期的な利用に適しています。一方、シェアサービスは初期投資が不要で、さまざまなモデルを試すことが可能です。利用目的や頻度に応じて最適な方法を選びましょう。今回はシェアサービスを全国に展開している株式会社Luupの電動キックボードを、神戸市内で利用してみることに!

 

 

まずは、Luupのサイトから、神戸でシェアリングサービスを利用できる場所を検索。「ポート」と呼ばれる利用可能な場所がマークで表示されます。電動アシスト自転車も含まれますが、こんなにたくさんの場所で利用できることが分かります。東京や大阪などの都市部ではさらに多くのマークが表示されます。

 

 

 

この中から、駅から近く、利用しやすい「JR神戸駅ビエラ神戸ハーバーランド側」のポートから利用することにしました。

 

 

初めにアプリをダウンロードしてから、アカウント登録、年齢確認書類の登録、交通ルールテストの受験を行ない、次の流れで利用開始!

 

 

 

JR神戸駅を降りてすぐにポートを見つけました。キックボードのQRコードを読み込んで、さっそく乗ってみることに。安全を重視してヘルメットも持参しました。

 

 

 

神戸駅からスタートして、2km離れた「みなとやま水族館」を目指します。安全に乗車を開始できそうな、地方裁判所横までキックボードを押して移動し、いざ出発!勢いをつけてキックボードに乗りアクセルをゆっくり押すと、前に進みました。

 

 

 

思っていたよりも安定感があり、快適に乗車できる印象。路上駐車の車を避けるのが少し怖いですが・・・。一方通行等のルールを守りつつ、神戸の坂も問題なく走行できました。

 

 

 

10分後・・・無事に「みなとやま水族館」に到着しました!駐輪場で一時停車する際は、鍵をかけることもできました。

 

 

 

乗ってみた感想としては、非常に簡単に、そして楽に2kmという距離を移動することができました。道中には坂が多かったですが、疲れることなく目的地にたどりつくことができました。一方で、車道を走るため、慣れるまでは少しこわいと思う人もいるかもしれません。筆者も最初は大きな車道を走る勇気がなく、慣れるまでは走りやすい道まで歩道を押して歩きました。

とはいえ、キックボードの操作は簡単でスムーズに進み、風を感じながら走行することができ、気持ちがよかったです。乗車・返却の手続きも簡単だったので、またぜひ利用したいと思っています。

 

 

 

乗車時の注意点


石井 昇 教授
(全学共通教育センター【専門:行政法】)

 

電動キックボードは、街中を軽快に移動できるアイテムですが、自分が怪我をしたり、第三者を傷つけたりする危険も少なくありません。自分を守るためにヘルメットは必ず着用し(法律上は努力義務)、自賠責保険に必ず加入して(違反すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金。できれば,任意保険にも加入して)、安全に楽しく利用してください。なお、電動キックボードをレンタルで利用する場合の自賠責保険は、通常、利用料に含まれています。
キックボードを安全に楽しむためには、適切な保護具の着用、法規制の遵守、安全な運転技術の習得が重要です。また、交通量が多い場所や夜間の利用は避け、定期的なメンテナンスを行うことも大切です。電動キックボードを運転するときに注意すべき交通ルールを確認のうえ、安全に運転しましょう。

 

 

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