スポーツなの?ゲームなの?「eスポーツ」の世界

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2023.1.21
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みなさんは、「eスポーツ(e-sports)」って聞いたことありますか?

先日、初のオリンピックeスポーツウイーク(2023年6月)の開催地がシンガポールに決定したというニュースもあり、今注目度の高い分野となっています。

しかしながら、株式会社ロイヤリティマーケティングが実施した「10代から60代に聞いたeスポーツに関する調査」(2022)を見てみると、有効回答数:1,200(※各年代ごとに100サンプル回収)のうち、「聞いたことがある程度」と答えた人が62%、「知らない」と答えた人が29%という結果でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回はそんな「eスポーツ」について、『「eスポーツ」ってなに?』『「eスポーツ」の魅力は?』という疑問にお答えしていきます!

 

まずは経済学部の准教授であり、情報通信経済学がご専門の 林健太(はやしけんた) 先生にお話を伺います。林先生は授業内でも「eスポーツ」の話をされるそうですね。どのような内容をお話されているのでしょうか?

 

 

経済学部3・4年次生向けの科目「ネットワークエコノミクスⅡ」という授業でコンテンツビジネスに関する講義を行い、そのうちの1回で、ゲーム業界の話をしています。日本のゲーム産業の市場規模は2021年に2兆3389億円*¹となり、右肩上がりに成長しています。また、「eスポーツ」の市場規模も、2021年に78億4200万円*²となり、こちらも右肩上がりに成長、2025年には約180億円まで拡大することが予測*²されています。これは、コロナ禍でゲームをする人が増えたことも一因として考えられるでしょう。
*¹)出典『デジタルコンテンツ白書2022』より  *²)出典『日本eスポーツ白書2022』より
林健太先生
林健太先生

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
ゲーム産業や「eスポーツ」の市場規模は成長しているのですね!そもそも、「eスポーツ」ってどのようなものを指すのでしょうか?

 

 

一般社団法人日本eスポーツ連合のHPでは、『「eスポーツ(esports)」とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称。』と定義されています。つまり、ゲーム機やPC、スマートフォンなどを使って対戦するものは、「eスポーツ」と表現することができます。また、「eスポーツ」のジャンルは、野球やサッカーなどの、いわゆる「スポーツ」ゲームのほかにも、パズルや格闘ゲーム、OCG(オンラインカードゲーム)などさまざまで、個人・団体の両方で対戦が行われます。
林健太先生
林健太先生

 

 

 

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
ゲーム機で野球やサッカーなどの「スポーツ」を楽しむものだけかと思っていましたが、ジャンルもかなり幅広いのですね!

 

 

そうなんです。「eスポーツ」の歴史はコンピューターゲームが誕生した1980年代にさかのぼりますが、「eスポーツ」という単語が使われ始めたのは2000年代になってから。2000年10月に「World Cyber Games Challenge(世界中のeスポーツ選手が複数のゲームタイトルにおいて様々な競技をおこなう、国際的なeスポーツ大会)」が初めて開催されて以降、アメリカのラスベガスで定期的に大会が開かれるなど、さまざまな国で賞金の出る大会がおこなわれています。
林健太先生
林健太先生

 

 

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
日本でも「eスポーツ」の大会は開催されているのでしょうか?

 

 

もちろん開催されていますが、日本では様々な規制(景表法、刑法(賭博罪)、風適法等)があり、賞金額が他国と比べると低い現状があります。そのため、プロとして活躍している日本人選手は海外の大会に参加するケースが多く、また、高額賞金が獲得できるゲームジャンルは、コアなゲームファンの人に好まれるものがほとんどなため、「eスポーツ」が一般の人たちに認知されにくい状況になっていると言えます。
林健太先生
林健太先生

 

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
なるほど。日本で「eスポーツ」が根付きにくい背景には、日本の法律なども関係しているのですね。すぐに規制を緩和することは難しいかもしれませんが、今後日本で「eスポーツ」を広めていくためには、どのような取り組みができるのでしょうか?

 

 

現代では、多くの人がスマートフォンを持ち、「eスポーツ」を始められる環境は整っています。「eスポーツ」が性別や年齢等のフレームを超え、ユニバーサルな対応が可能なスポーツだと言われていることも踏まえると、まずは興味を持ってもらう仕組みづくりをおこなうことが大切です。
また、近年、地域振興の一環として「eスポーツ」の大会を地方で実施し、人に来てもらう取り組みをおこなっている自治体もあります。「eスポーツ」の認知度向上 / 「eスポーツ」の地域振興への活用の両面で、大学でも実施できる取り組みはいろいろあると思いますよ!
林健太先生
林健太先生

 

 

 

林先生、貴重なお話をありがとうございました!

 

 

昔友達と対戦していたパズルゲームも「eスポ―ツ」だったとは、知りませんでした。

確かに「eスポーツ」は、性別や年齢に関係なく楽しむことができますね。

海外の試合の白熱ぶりを知って、試合会場に足を運んでみたくなりました!

 

 

 

 

続いては、実際に「eスポーツ」の大会にも出たことがある

甲南高校3年生の中尾亮太さんに、

「eスポーツ」の魅力を聞いていきます!

 

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
中尾さん、今日はよろしくお願いします!
さっそくですが、「eスポーツ」を始めたきっかけを教えてください。

 

 

小学1年生の時にPCを買ってもらい、そこからゲームを始めました。6年生までは遊びでやっていたのですが、どんどん強くなって、気づいたら日本で16位になっていて・・・中学生の時に大会に出ようと誘われたことをきっかけに「eスポーツ」を始めました。
中尾さん
中尾さん

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
日本で16位とはすごいです!大会に出るにあたっては、どれくらい練習していたのですか?

 

 

私が所属していたのは、日本と韓国の融合チームで。練習は週に5日ほど、早朝か夜に約3時間おこなっていました。甲南中学校・高校では運動部に所属していたので、部活が終わって学校から帰ってきたあと、宿題を優先しておこない、練習に参加していました。チームのメンバーは8名だったのですが、その中から4名が選ばれて、大会に出場する形です。メンバーはみんな年上の人(18歳~32歳)でした。
中尾さん
中尾さん

 

 

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
部活に加えて「eスポーツ」の練習まで。とても忙しいですね!

 

 

私は2年間、選手として活動していましたが、その時は学生が本業、「eスポーツ」が副業という気持ちで活動していました!
中尾さん
中尾さん

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
「eスポーツ」をやっていてよかったことを教えてください。

 

 

よかったことはたくさんありますよ!まず、どんどん強くなっていって嬉しかったです。もともと運動は好きですが、「eスポーツ」のフィールドでも活躍できることに気づきました。
また、オンライン上での知り合いが増えて、自分の視野が広がりました。学校生活でも人とのかかわり方を学ぶことができますが、「eスポーツ」を通して出会った人の中には30代の人もいて。チームで活動をするうちに、報告・連絡・相談の習慣が身に付いたり、モラルを学んだり、年上の人から勉強することが多かったです。オンライン上でのやり取りでは英語を使用することもあり、英語を勉強するきっかけにもなりました。両親も応援してくれていたので、全力で取り組むことができました。
中尾さん
中尾さん

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
「eスポーツ」を通して、貴重な経験ができたのですね!聞くところによると、中尾さんは「eスポーツ」に関する論文を書いたと聞きましたが、どのような内容なのでしょうか?

 

 

甲南高校の「グローバルリサーチ」という授業で、高校2年生の4月から約2年間かけて、論文を執筆しました。この授業ではテーマを決めて研究を深めていくのですが、『「eスポーツ」の未来~新しく始める人のために「eスポーツ」に何が求められてるのか~』というタイトルで研究を進めました。
「eスポーツ」ってなんとなく悪印象を持っている人が多いと思うのですが、その原因を分析して、どうすればその悪印象を払拭できるのかを考えました。
中尾さん
中尾さん

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
論文の内容も踏まえて、今後「eスポーツ」がどのようなコンテンツになっていってほしいですか?

 

 

「eスポーツ」は競技として取り組むこともできますが、運動が苦手な人や運動ができない高齢の方など、幅広い層の人たちが楽しめるコンテンツです。今後、オリンピック競技や学校の部活動への採用など、社会に受け入れられていくことは、個人の選択肢が増えることに繋がると思います。
私としては、まず若者の「eスポーツ」人口を増やし、そのあと、年齢層が高い人たちにも広がっていけばと思っています。その結果、社会全体の「eスポーツ」に対する評価が変わると嬉しいです。「eスポーツ」のジャンルは8種類あるため、好きなものを選んで挑戦してみてください!
中尾さん
中尾さん

 

 

 

「eスポーツ」での経験を通して成長している姿が印象的でした!

中尾さん、ありがとうございました!

 

みなさんもぜひ「eスポーツ」に、トライしてみてください♩

 

 

 

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