就職活動を終えた学生とキャリアセンター職員に聞いた!
デジタル化するZ世代の就職活動

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2023.2.21
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コロナ禍の中で大学生活をおくる学生たちが「どうやって就職活動をしているのかわからない」「問題なく就職活動できているのか?」と疑問を持つ保護者の方も多いはず。そもそもZ世代と保護者世代の就職活動は、その方法も内定までのプロセスも大きく異なります。そこで今回は学生がどのように就職活動しているのか、また、大学のキャリアセンターはどのようにそれをサポートしているのかを聞いてみたいと思います!

 

 


今回お話を伺ったメンバー


 

 

※OBF:Of the students , By the students , For the studentsの略で、甲南大学4年生による3年生の為のキャリアセンター公認の就職活動支援団体

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、今の学生と、その保護者世代の就職活動の違いは何でしょうか?

 

 

 

石野さん

 

大きな違いは、使うサービスと
就職活動のプロセスです。

 

例えば、保護者世代は、大学の就職課で求人票や企業案内パンフレット、就職情報誌等を見て企業にコンタクトを取っていましたが、今の学生は、主に就職情報ナビサイト(以下ナビサイト)で企業情報を収集しています。ナビサイトは3月に一斉にオープンし、学生はナビサイトを通してエントリーすれば、企業説明会に参加できます。説明会を経て受けたい企業が見つかったら、エントリーシートや履歴書を提出し、筆記試験、面接へ進みます。従来、企業理解を深めるためのインターンシップは、早期内定につながるケースがあるため、約8割もの学生が参加しています。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

インターンシップが一般化しているのも
保護者世代との違いだと思いますが、
早期内定を得ることができるという点でメリットがあるんですね。
※2023年4月より、政府方針で「インターンシップ」と呼ぶことができるプログラムの要件が変更となります。

 

 

 

酒井さん

 

そうなんです。表向きのルールでは、説明会などの企業の採用活動は3月から始まり、選考は6月から行うこととなっています。しかし、この数年で早期化が進み、実は4~5月に多く内定が出始めます。もっと早い企業だとインターンシップを経て、2月頃に内定を出す企業もありますね。

 

 

 

 

〈 採用選考時期の変化 〉

引用元:HR NOTE「【就活新ルール決定】これからどうなる?あらためて就活の歴史を振り返る」

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

コロナ禍で大きく変化したことはありますか?

 

 

 

石野さん

 

コロナ禍では、採用活動のオンライン化が一気に加速しました。特に、説明会や筆記テスト、インターンシップのオンライン化が一般化し、面接はオンラインと対面のハイブリッドが大半です。情報収集にSNSを活用する学生も多いようですよ。

 

 

 

〈 Z世代の学生たちの就職活動におけるSNS活用方法 〉

 

マイナビで行った「2022年卒大学生のライフスタイル調査」で、就職活動において実名を伴ったソーシャルメディア・SNSを「活用したい」と答えた学生は64.5%。その活用方法は以下の通り。

 

 

出典:マイナビ2022年卒大学生のライフスタイル調査・2013年卒大学生のライフスタイル調査

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
学生のお二人は、実際にどのように就活に取り組んだのですか?

まず、ナビサイトがオープンしたら、40社ぐらいにプレエントリーしました。私が主に活用したのは、「マイナビ」と「リクナビ」です。エントリー後、選考に進んだのは25社ぐらいでした。
吉村さん
吉村さん

私は、「マイナビ」や「リクナビ」等の大手就職ナビサイトに加え、ベンチャー系企業が多く掲載されている「チアキャリア」も併用して、60社ほどにプレエントリーしました。プレエントリーすると企業説明会の開催日時が閲覧できるので多くの企業の説明会に積極的に参加し、興味を持った企業にエントリーシートや履歴書を提出して30社弱の選考に進みました。
中野さん
中野さん

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
企業を選ぶ際に重視していたことはどんなことでしたか?

私は、生まれ育った関西に貢献したい、また人の役に立つ仕事をしたいと考え企業を見ていました。就職活動の当初から第一志望の業界は決めていましたが、視野を広げるためにその他の業界の企業にもエントリーしました。
吉村さん
吉村さん

私はいろんなことに挑戦でき、長く働くことができる点を重視していました。業界は絞らず幅広くエントリーし、説明会の後、興味を持った企業について、仕事内容に加え、福利厚生面でも比較検討しました。
中野さん
中野さん

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
エントリーシートや履歴書などの書類選考に通過したら、次は何をするのですか?

SPIや玉手箱といった適性検査(筆記テスト)を受けました。ほぼ全てがWebで実施されました。
中野さん
中野さん

筆記テストは、オンラインが大半でしたが、テストセンターでも受検しました。テストが通ったら、一次面接に進みます。ほとんどの企業で、一次面接はオンラインでした。
吉村さん
吉村さん

※テストセンター:指定された会場もしくは自宅で一斉受検する適性検査(筆記テスト)

 

石野さん
石野さん
キャリアセンターでは、採用活動のオンライン化に伴って、オンライン面接専用ブースを設けました。また、相談の受付や面接練習をオンラインでもできるよう準備を整えました。オンライン上で先輩たちの就職活動報告書が閲覧でき、インターンシップや求人情報の検索や企業説明会の予約ができる「JOB KONAN」を本格稼働したことも大きな変化です。学生が学外にいてもキャリアセンターのツールを利用できる体制を整えました。

 

 

 

 

企業面接がオンライン化しているので、キャリアセンターでオンライン面接の練習ができ、とても助かりました!
吉村さん
吉村さん

私は、JOB KONANを通して、学内企業説明会に参加できたことがとても助かりました。
中野さん
中野さん

石野さん
石野さん
就職活動の際、OBOG訪問は活用されましたか?

はい、ビズリーチ・キャンパスでOBOG訪問しました。説明会や面接がオンライン化する中、OBOG訪問は会社の雰囲気を知るよい機会だったと思います。同じサービスを提供する他のアプリも活用していました。
中野さん
中野さん

※ビズリーチ・キャンパス:学生とその学生が所属する大学・大学院の卒業生や企業をつなぐオンラインのプラットフォーム(就活アプリ)

石野さん
石野さん
今年度より本学でも、ビズリーチ・キャンパスを公認化しました。卒業生にも協力いただきながら、仕事理解・企業理解のために役立ててもらいたいと思います。

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
いろいろなツールを使いこなしているのですね!

SNSも多くの就活生が使っています。企業の最新情報の確認はTwitterで、テスト形式や選考フローなどの情報収集はLINEのオープンチャットを使っていました。
吉村さん
吉村さん

Twitterでは同じように頑張っている就活生をフォローすることでモチベーションを高めることができ、とても刺激になりました。
中野さん
中野さん

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
選考方法に変化は見られますか?

石野さん
石野さん
従来からあるナビサイトに加え、就活エージェントが企業を紹介してくれる「エージェント型」と、企業からオファーが届く「スカウト型」が増えています。各企業に向けて、こちらから書類を提出するのではなく自身のプロフィール等を登録してアクションを待つのがこれらの特徴です。

私は体育会に所属していたので、体育会に特化したエージェント型を活用しました。
吉村さん
吉村さん

私はスカウト型に登録して、ベンチャー企業や中小企業からオファーをいただきました。いろいろな企業の方と話す機会を得ることができたので、面接練習という意味でも登録してよかったと思います。
中野さん
中野さん

石野さん
石野さん
動画選考、AI選考を取り入れている企業もありますよね。

私は、動画選考を経験しました。比較的、大企業で取り入れられていたと思います。企業から出されたテーマについての考えや自己PRなどを動画撮影して企業に送りました。
吉村さん
吉村さん

 

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
選考方法も進化しているのですね。他に変化はありますか?

石野さん
石野さん
内定時期の早期化も顕著です。お二人の内定時期はいつごろでしたか?

インターンシップに参加した企業からは3年生の2月には内々定をいただいていました。第一志望の企業は4年生の6月に内々定をいただきました。
吉村さん
吉村さん

第一志望の企業は4年生の4月下旬に内々定をいただきましたが、3年生の段階ですでに何社か内定をいただいていました。
中野さん
中野さん

酒井さん
酒井さん
吉村さんのように、インターンシップへの参加を就職活動のスタートととらえる学生もいれば、3月解禁に向けて2月に準備を始める学生もいます。就職活動のプロセスが多様化し、学生の動きは一律ではなくなってきていると感じます。

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
就職活動の時期もニーズも、それぞれ変わりつつあると…

石野さん
石野さん
はい。キャリアセンターも、ガイダンスや就活活動支援の動画をいつでも見られるようオンデマンド配信するなど、学生がそれぞれのペースで就職活動を進められるよう支援体制を整えています。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

就職活動の振り返りと

後輩へのアドバイスをお願いします。

 

 

 

中野さん

 

コロナ禍でも何かできることはないかと、

大学が募集していた災害ボランティアに参加しました。

面接時に学生時代に頑張ったこととして、

その経験を話せたのはよかったです。

後輩の皆さんもいろんなことに積極的にチャレンジしてください。

 

もう1つは、SNSの活用方法です。

誤った情報も紛れているので、一喜一憂しすぎずに信じられる

情報かどうかを見極める力が重要です。

 

 

 

吉村さん

 

私は、筆記テスト対策が遅かったのを反省しています。

後輩の方々には、一日10分でもいいから

毎日コツコツ取り組んでほしいと思います。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

コロナ禍を経て、学生のニーズ、

企業が求める人材は変わりつつありますか?

 

 

 

石野さん

 

学生は、在宅勤務など柔軟な働き方ができるか、

長く働くことができる体制かを重視する傾向があります。

企業はコロナ禍を受けて、大きな変化に柔軟に

対応できる人材を求めているように思います。

 

 

 

酒井さん

 

企業の方からは「変化に対してポジティブに

チャレンジできる人がいい」とよく聞きますね。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

キャリアセンターとしては、

今後どのような支援をしていきますか?

 

 

 

石野さん

 

学生自らが納得できる進路を選びとっていけるよう、

変化が激しい就職環境に柔軟に対応した支援を実施していくとともに、

学生一人ひとりの状況に合わせた親身なサポートをしていきます。

 

 

 

酒井さん

 

吉村さん、中野さんも所属されているOBFの活動や

OBOG懇談会といったイベント開催など、

在学生や卒業生とのつながりを大事にしながら、

甲南大学ならではの支援をしていきたいと思います。

※OBF:Of the students , By the students , For the studentsの略で、甲南大学4年生による3年生の為のキャリアセンター公認の就職活動支援団体

 

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

デジタル化が加速する中、先輩方と交流しながら体験を聞いたり

アドバイスをもらえる学内イベントは

就活生にとって多くを学べる貴重な機会ですね。

みなさん本日はお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

 

 

「今」の就職活動について、リアルな声をお届けしました。

ご自身の時代とは異なる就職活動の進化に、

驚いた保護者の方も多いのではないでしょうか。

 

 

保護者の皆様に向けた情報を以下にまとめております。

よろしければご覧ください。

 

 

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