走った軌跡がアートに
“競わないスポーツ” 注目のGPSランに迫る!

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2021.10.12
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みなさん、「GPSラン」ってご存知ですか?

衛星利用測位システム(GPS)を使った「GPSラン」とは、ランニングアプリのGPSトラッキング機能(走った軌跡が記録される機能)を用い、文字や絵を地図上に描いていくこと。その作品は「ランニングアート」や「GPSアート」などと呼ばれ注目を集めています。

 

さて、今回は人気の「GPSラン」を職業にされた、プロGPSランナーの志水直樹さん(H21文卒)に活動のきっかけやこれまでの歩みなどについてお話を伺いました。
そして志水さんの活動を理解するには、体験するのが一番!ということで、KONAN-PLANET記者が実際にGPSランを体験してきました!いったいどんな作品ができあがるのでしょうか・・・!?

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
GPSランを始められたきっかけを教えてください!

 

志水さん

 

「福男」への最短ルートを
探していたら、
ひらめいたんです。

 

 

西宮神社「福男」の日、
アイデアは、舞い降りた!

実は小学校の教諭からプロGPSランナーへと転身しました。特別支援学級で脳性まひの子どもを担当したことが契機になり、その子の好きなタブレットを使って一緒にスポーツを楽しむことはできないか。インクルーシブスポーツ(障がいの有無に関係なく多様な人々が参加できるスポーツ)の可能性を真剣に考えるようになったのです。
アイデアがひらめいたのは、2016年に西宮神社の開門神事・福男の列に並んでいたときのことです。マップアプリで最短ルートをイメージしていたら、神社の周りの形が『西』の文字になることに気づきました。そこでバレンタインデーにランニングアプリを使って『西宮LOVE 』と走って描き、SNSに投稿してみたら予想を超える反響が。これだ!と思いました。
GPSランなら、障がいがある子どももスマホやタブレットで参加できる。教育や福祉の現場にスポーツの楽しさを持ち込めると直感した瞬間でした。

 

 

 

志水さんが描いた「西宮LOVE」(志水さん提供)

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
小学校の先生をしながら、何か活動は続けられたのですか?

 

想いは国境を越える

東日本大震災の翌年から南三陸町でボランティア活動を続ける傍ら、走った軌跡を応援メッセージにしてSNSを通じて、被災地や全国・世界へ東北の現状を発信していました。2018年2月に台湾花蓮市で大地震が発生したことを知り、居ても立ってもいれず現地へ向かいました。かつてリアス式海岸沿いを200km 走った際、東北の人たちが口々に語っていた台湾の人々への感謝を伝えるために、「『日本♡台湾』『花蓮加油(がんばれ!)』と描きながら走りました。

 

 

 

 

その年末にも再訪し、GPSメッセージを描いた旗を自転車にくくりつけて台湾1周約1000キロを走破したんですが、この様子が複数のメディアに取り上げられ、被災地花蓮市長との台日友好会見が実現するまでになりました。多くの方が『こんな形で思いがつながるなんて感動した』と言ってくださり、GPSランには、国境を超える力があると確信しました。

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
その後なにか転機はありましたか?

志水さん

 

世界で22人しかいない
ワールドアンバサダーに
選ばれました!

 

 

本格的に活動を行うために、2019年3月に小学校を退職しました。その直後にadidas Rutasticから日本人初、公式アプリ『adidas RUNNING(旧Rutastic)』ワールドアンバサダーに世界22人のうちの一人として任命されました。(国内の活動に主軸を置くため、2021年に契約更新辞退)

 

 

 

忍びよるコロナの影・・・

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
2020年初めから新型コロナウイルスが流行しましたが、活動に影響はありましたか?

 

 

コロナ禍でも生まれる、新たなつながり

予定されていたイベントの中止が続きました。マスクをつけて走る危険性も指摘されるなど、ランニングを楽しむことが難しい状況になってしまったんです。そこでGPSウォーキングやGPSプロギング(ゴミ拾い)など走らなくてもスポーツとアート、さらにはSDGsにも取り組める仕組みを考えました。活動の発信を続けるうちに、多くのメディアに注目いただき、情報番組への出演や、番組のコンテンツ監修を務めるなど活動の幅が広がりました。

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
最後にGPSランの醍醐味を教えてください!

 

志水さん

 

走らなくてもいい。
一人でも楽しめる。
そして競わない。
それが「GPSラン」。

 

 

GPSランは走らなくてもいいんです。ランニングが苦手な方でも歩いて楽しむことができますし、休憩も自由に取ることができます。『競わないランニング』『競わないスポーツ』だからこそ可能な出会いや交流の喜びを多くの方に伝えていきたいと思っています。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

安定した職業からの転身は
大きな決断だったようにも感じますが、

「決断は間違っていない。
人生はジェットコースター」

と笑顔で語る志水さん。

 

「みんなが健康であればいい」と願う飾らない人柄と

行動力にこれからも目が離せません!

 

 

志水さんに「甲南」の文字を作ってください!とお願いしたところ、取材の帰り道に作っていただきました。「甲南」を描くためにかかった時間は1時間17分、距離は約12kmだったそうです。

 

 

志水さんが描いた「甲南」(志水さん提供)

 

 

この文字がどのように描かれているのか、
動画でもデータをご提供いただきましたので、
ぜひご覧ください。

 

 

 

 

 

さて、ここからはKONAN-PLANET記者による体験記事をお届けします!

KONAN-PLANET記者が7月に大阪・京橋で行われた志水さん主催(後援:京橋中央商店街)のGPSランイベント「GPSアート選手線in京橋」に参加してきました。当日は近畿地方の梅雨が明けた次の日という、晴天かつ猛暑の中でしたが、感染対策を講じたうえで行われました。KONAN-PLANET記者、GPSラン未経験、ランニングは苦手、おまけに方向感覚弱め、、、果たして、ちゃんとできたのでしょうか・・・!?

 

 

 

ぜひ動画でも、GPSアートの作り方をご覧ください。

 

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

 

描こうと決めていた「甲南」の文字に挑戦しましたが、
その下書きが難しい。(笑)
何度も書き直しつつ、初心者なので欲張らずに、
「甲」のみを下書きしました。

 

 

 

赤ペンでなぞると、「甲」がはっきり見えてきました。

 

 

事前にダウンロードしておいたアプリを起動し、いざスタート!
アプリがあっても、土地勘がない場所では、
勝手がわからず右往左往しながらも
なんとか骨格だけは描くことができました。

いざやってみると、カタチになっていく感覚に
ワクワクが止まりませんっ!!

 

 

 

 

一筆書きということで、同じルートを
行ったり来たりしてしまいましたが、

中心部を描いていくところでハプニング。
道を一本間違えていることに途中で気が付きました・・・。

 

 

 

 

暑い、、、引き返すなんてできっこない・・・。
どうしたものかと悩んでいたところ、
奇跡的に志水さんに遭遇し、
道を間違えたことを伝えると、

「思い通りにいかないときもあるけど、それもそれで楽しんで、
臨機応変に別の道を探してみたり、
カタチを変えてみるのもいいですよ!」とのこと。

中央部分をくっつけてしまえば、
ルート短縮にもなるとアドバイスをいただき、

改めて歩みを進めました。

 

 

そして、ついに・・・!!

 

 

 

 

道があると思っていたけれど、実はなかった、、、
行き止まりや工事中でやむなく迂回、、、
ハプニングさえもその場でルートを変えて描いていく。

「とにかく楽しく」
GPSランなのだと体験して初めて知りました。

志水さんいわく、数をこなすとうまくなっていくそうです。

 

 

後日、リベンジに燃えて、町へ繰り出しましたが、
あっけなく甲南の「南」は断念、、、

その代わり、なんぼーくんを描いてみようと思い立ち、
やってみました。

 

 

 

 

コロナ禍の自粛モードで家にこもりきり、

運動不足でお肉が付いてきた・・・という

そこのあなた!

「GPSラン」はランニングアプリを

ダウンロードすれば、

一人でも気軽に始めることができ、

楽しく身体を動かすことができます!

ぜひ、みなさんも一度

体験してみてはいかがでしょうか!

 

 

学園広報誌『KONAN TODAY No.60』でも
志水直樹さんのインタビューを掲載しています。
こちらも合わせてご覧ください。

 

 

 

 

今回お話しを聞いた人
プロGPSランナー 志水 直樹 さん

2009年文学部歴史文化学科卒業。在学中にリーズ大学(イギリス)への留学経験あり。小学校教諭を経てプロGPSランナーへ。メッセージや絵などを走って描く「RUN FOR SMILE!」の活動が評価され、自治体・企業などとのコラボイベント多数。2021年、アジア競技大会(Asian Games Aichi-Nagoya 2026)公式イベントのコーディネーターに就任するなど活躍の場を広げている。 ホームページ:http://gps-run.com/

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