
熱中症から身を守るには!?
夏の暑さが厳しくなると共に、熱中症のリスクも高まります。意外と知られていないのは、屋外だけでなく室内でも熱中症が発生することがある点です。この見えない脅威から身を守るためには何が必要でしょうか?この記事では、熱中症の基本知識から予防策、万が一の際の対処法までを解説します。ご自身やご家族の健康を守り、今年の夏を安全に過ごすための情報をしっかりと学びましょう。熱中症対策のポイントを押さえて、暑い季節を元気に乗り切りましょう。
今回、熱中症について教えてもらうのは、六甲アイランドトレーニングルーム・アスレティックトレーナーの水野さんです。水野さんは六甲アイランド・トレーニングルームにて、専属のトレーナーとして、スポーツ傷害に対するケアやリハビリ、日常生活における身体機能改善等の目的に、学生たちにアドバイスしてくれています。
Contents
・熱中症とは
・日本における気温上昇と熱中症の現状
・熱中症のサインに気づく
・ 熱中症を予防する方法
・ 熱中症に関する誤解と正しい知識
熱中症とは
熱中症の症状
熱中症は暑熱環境において体温調整がうまく機能しなくなる事で、身体に現れる症状の総称です。症状には、怠さや頭痛といった熱中症とは気づきにくいものから、嘔吐や痙攣、意識障害といった他者から見ても異常な事がわかる症状まで様々です。
熱中症が引き起こす健康リスク
熱中症が重症化し、深部体温が40℃を超えると熱射病という深刻な状態に陥ります。この深部体温が40℃を超えた状態が続いてしまうと、中枢神経に後遺症が出てしまうことや、最悪の場合は命を落としてしまいます。(令和5年10月総務省消防庁報道資料より)
日本における気温上昇と熱中症の現状
2023年夏の平均気温が125年間で最高に。今年は?
昨年の夏(2023年6月から8月)は、日本の平均気温が平年と比べて1.76度高く、気象庁が統計を取り始めた1898年以降の125年間で最も高くなりました。さらに、日本近海の海面水温も過去最高となり、地上だけでなく、海も最も暑い夏となりました。
気象庁が5月21日に発表した2024年夏の長期予報では、6月から8月にかけての3か月は暖かく湿った空気が流れ込みやすく、全国的に気温が平年より高くなる見込みとのことです。地球温暖化やエルニーニョ現象の影響で地球の大気全体の気温がかなり高くなっていることから、太平洋高気圧が強まれば、昨年のような猛暑の可能性もあるそうです。
近年の日本における熱中症の統計
総務省消防庁の令和5年(5〜9月)のデータでは、91,467人が熱中症で救急搬送されました。この人数は、統計を取りはじめた2008年以降で過去2番目に多く、搬送後最初に行われた診断で死亡が確認されたのは107人、重症が1,889人、中等症が27,545人、軽症が61,456人でした。年齢別では高齢者(65歳以上)が半数を占めており、18歳以上65歳未満が30,910人、7歳以上18歳未満が9,583人、7歳未満が801人でした。発生場所は住居が36,541人(全体の約40%)と最も多く、野外(道路など)の26,928人(全体の約27%)を上回っていました。月で言うと、7月・8月に搬送者数が急増していて、気温の上昇に比例していることが分かります。
熱中症のサインに気づく
初期症状の見分け方
自身の水分不足(脱水症状)に気づくことが大切です。口の中が乾いていたり、暑いのにも関わらず汗が少ない場合は脱水症状の兆候かもしれません。また、少しでも頭痛や眩暈がした場合には、我慢をせずに早めに涼しい場所で休憩を取るようにしましょう。
熱中症を予防する方法
なぜ水分補給が必要なのか?
人は運動をしていなくても、日常生活を送るだけで1日に2.5リットル前後の水分が身体から失われています。3食の食事からも水分は摂取しているので、少なくとも飲料水として1ℓ以上は摂取したいところです。
効果的な水分摂取方法
水分補給といっても緑茶やコーヒーなどのカフェインを多く含む飲み物は、利尿作用があるため水分補給には不向きです。水分補給には、カフェインを含まない飲み物を選びましょう。水分を一度にたくさん飲んでも全ては吸収されないため、一口程度をこまめに飲むようにしてください。また、食事内容を見直す事も大切です。昼食時に汁物を摂られていない方は、お味噌汁などを追加するだけでも水分の摂取量を増やす事ができます。
熱中症の応急処置
現場での対処法
一刻も早く体温を下げる事が重要です。涼しい場所へ移動して首や脇を冷やすのが一般的ですが、改善しない場合は冷水に浸したタオル等を体や腕にかけて冷やしましょう。事前に準備が必要となりますが、氷を入れたビニールプールや水風呂に入る方が身体の冷却効果は高くなります。
医療機関への連絡が必要な場合
意識がはっきりせず動けなかったり、自分で水が飲めない様であれば救急搬送を考える必要があります。また、軽症に見えても症状が改善しない場合は医療機関を受診しましょう。
熱中症に関する誤解と正しい知識
最近では予防のために経口補水液を飲むという声を聞く事がありますが、これには注意が必要です。経口補水液にはスポーツドリンクと比べて多くの塩分が含まれています。脱水傾向のある方が飲むのには適していますが、健康な方が飲み過ぎてしまうと塩分を摂り過ぎてしまう恐れがあります。特に血圧が高い方などは注意が必要です。
厚生労働省では、熱中症を防ぐために知っておきたいことをとりまとめ、
「熱中症予防のための情報・資料サイト」としてわかりやすく
まとめて情報発信しています。お役立てください!
熱中症による救急搬送や死亡事故は
熱中症への正しい理解と
適切な対策で防ぐ事ができるものです。
熱中症をただの体調不良と軽く考えず、
正しく恐れて適切な対策をしていきましょう。
熱中症は厳しい真夏だけでなく、暑さに体が慣れていない5月や6月の季節にも十分注意が必要です。スポーツの現場だけでなく、日常生活においても必要な知識として誰もが理解しておいて欲しいものです。しかし、具合が悪くなった人を目の前にすると、不安からうまく対応できなくなることもありますね。だからこそ、日々正しい情報に触れる機会を増やし、備えることで、大切な命を守り、自分や周りの人が健やかに過ごせるようにしたいですね。