再生医療の未来を切り拓く
「力」を活用した世界初の新素材開発

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2026.7.17
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甲南大学フロンティアサイエンス学部生命化学科 長濱宏治教授は、失った組織や機能を再び取り戻す医療として注目される再生医療において、「力」というこれまでにない新しいアプローチで細胞の再生を促す新素材を世界で初めて開発しました。「自分発のオリジナルな成果物が患者さんに届き、命を救うことにつながればこの上ない幸せ」と語ります。

 

 

Contents

・「力」を活用した再生医療への新たな挑戦

・独創性が導いた研究者としての歩み

・未来を拓く学びとキャリアのヒント

 

 

 

「力」を活用した再生医療への新たな挑戦

 

 

KONAN-PLANET 記者 

 

まずは、長濱先生の研究内容を教えてください。

 

 

 

長濱宏治 教授

 

 

再生医療で細胞を生体内に移植するときに使う新素材を開発しています。いわば、細胞が組織をつくるための「建築足場」です。生体内の細胞は、それを取り囲む細胞外マトリクスがあることによって成長や分化が誘導され、栄養をもらい、増殖できます。再生医療で細胞を移植する際にも、その細胞外マトリクスの環境を再現した新素材を一緒に混ぜることによって細胞が住みつき、増え、組織を構築するのを助けます。その過程に独自開発した「細胞間力学伝導ゲル」を建築足場とすることで再生医療に貢献しようとしています。

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者 

 

従来の足場材料との違いを教えてください。

 

 

長濱教授従来の研究では、コラーゲンやヒアルロン酸など生体内の化合物を用いて、足場として機能するゼリー状物質であるゲルを作製するのですが、私はそこに「力」という物理的環境を加えるアプローチを新たに取り入れました。

 

 

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者 

 

なぜ「力」に着目しようと思われたのでしょうか。

 

 

長濱教授身体では、例えば歩くことによって地面から得た力を生化学的なシグナルに変換することで、細胞はパフォーマンスを発揮します。これをふまえ、細胞に力が伝わりやすい足場をつくれば細胞をより活性化し、元のように再生できるのではないかと考えました。

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者 

 

今後はどのような分野への応用を目指しておられますか。

 

 

長濱教授骨、軟骨、筋肉、腱などの整形外科領域や皮膚といった領域から始めますが、この概念は力を受ける組織であれば適用可能です。軟骨や骨格筋などが再生できれば、歩けなかった人が歩けるようになり、経済効果も大きいでしょう。今後幅広い領域での応用を目指し、命を救うことに加え、健康寿命の延伸と介護予防に貢献したいと考えています。

 

 

 

 

 

 

 

独創性が導いた研究者としての歩み

 

 

KONAN-PLANET 記者 

 

どのような学生時代を過ごされたのでしょうか。

 

 

人のマネを嫌い、独創を追う

 

長濱教授幼い頃から医療に関心がありました。ただ、ものづくりにも興味があったため、大学は工学部物質化学科に進学しました。もともと人のまねをするのがいやな性格でした。例えば、金沢で過ごした大学時代は、週に3回は近くの市場に出向いて新鮮な魚介類や加賀野菜を買って、レシピ本に頼らず自分だけのレシピを考案して料理を作っていました。さまざまな素材を使って新しいものを生み出す訓練が、今なお研究のアイデアが枯渇しないベースを形作ったと思っています。

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者 

 

現在の研究との出会いについて教えてください。

 

 

長濱教授「医療の世界で貢献したい」と考え製薬会社に営業職として就職しました。自社の薬で患者さんが元気になっていく姿を見ることはうれしかったのですが、それは「薬のおかげであって、自分じゃなくてもできることだ」と気づきます。自分の力で医療に貢献したいと考え、製薬会社を2年半で退社し、医療材料(バイオマテリアル)の研究ができる大学院へ進学しました。そこで再生医療用の足場材料の研究に出会いました。

 

 

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者 

 

研究者として大切にしている姿勢について教えてください。

 

 

世界初を生んだ「守破離」

 

長濱教授大学院では指導教員に付いて足場材料であるゲルを構成する素材の研究を一生懸命やりました。これが「守」です。しかし、素材の研究だけではブレークスルーは生み出せないと感じ他の方法を探し始めました。これが「破」です。論文を読みあさり30~40の方法を調べる中で、世界でだれかがやっていることを消していった結果、残ったのが力で、これを甲南大学で研究し、成果に結びつきました。つまり「離」です。

甲南大学の環境も恵まれていました。化学だけでなく生物学の研究者もおられ、それによって化学と生物学を融合する視点が育まれ「力」というアイデアに着目することができたのです。

 

 

 

 

 

 

 

未来を拓く学びとキャリアのヒント

 

KONAN-PLANET 記者 

 

再生医療や生命科学の分野に興味を持つ高校生に、どのような学びを勧めますか。

 

 

長濱教授化学と生物学を学んでください。それぞれを理解した後に、化学と生物学の共通点を可能な限り多く見つけてください。そして、化学の視点で生物学を、生物学の視点で化学を見ることで、今まで別の並行線上にあった化学と生物学が交わって理解できるようになります。大学入学後に医療を学べば、医療用材料の研究の引き出しを多く持つことができます。

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者 

 

保護者に向けてアドバイスをいただけますか。

 

 

長濱教授お子さんにインタビューする形で、幼少期から今に至るまでの経験や関心事、その変遷について深掘りして、ヒストリーとしてまとめてあげてください。そうすると本気でやりたいことが見えてくるはずです。今後進むべき大学、企業名まで絞り、定年退職するまでのゴールを描かせてあげてください。それがキャリア構築の基盤となるはずです。

 

 

 

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者 

 

長濱先生ありがとうございました。

 

 

 

 

長濱研究室のホームページはこちら↓

 

 

 

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