甲南大学の読書王に聞く 今年読んだ、おすすめの本ベスト3!

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2023.12.21
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今日1日の過ごし方、生き方のヒントは本にある

 

 

古代ギリシアの哲学者ソクラテスが「本をよく読むことで自分を成長させていきなさい」と言ったように、本を読めば学びがあり、成長がある――。そう感じている人は多いのではないでしょうか? でも、毎日200冊が発売される今、何を読めばいいのか迷ってしまいますよね。 そこで今回は、読書活動を中心に書籍に関する幅広い活動を通して、読書週間や表現力、企画力などを身に付け、KONANライブラリ サーティフィケイトに認定されたお2人に、2023年に読んだ本ベスト3を紹介していただきます!

※KONANサーティフィケイトとはhttps://www.konan-u.ac.jp/konancertificate/

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

今日はよろしくお願いいたします!  まずは、自己紹介をお願いします。

 

 

 

佐伯さん

 

文学部4年次の佐伯菜奈実です。読書を好きになったきっかけは、辻村深月さんの『ツナグ』です。本書を読んで、文章だけで非現実的な世界へ入り込む楽しさを感じました。ライブラリーサーティフィケイトには、サークルの先輩の影響で挑戦し、2022年度に2級を取得しました。好きな本のジャンルは、展開が緩やかなフィクションです。

 

 

 

西山さん

 

マネジメント創造学部4年次の西山天美です。私にとって読書は、知識を得たり興味を持ったりするきっかけを与えてくれるもの。ライブラリーサーティフィケイトは、大好きな読書をするだけで、生協で使えるクーポンがもらえるなんて最高!と思って取り組み、2022年度に2級を取得しました。本はジャンルを問わず、家にある本を片っ端から読んでいます。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

ありがとうございます。では早速、今年読んだ本の中から“おすすめベスト3”を発表していただきたいと思います。まずは、佐伯さんから第3位をどうぞ!

 

 

 

佐伯さん

 

3位は、『カッコいい女!』(夏木マリ著)です。本書は、日本の代表的な俳優、夏木マリさんが、自身の仕事や恋愛、生き方について語るエッセイ本です。 夏木さんを知ったのは、2021年に放送された連続テレビ小説「おかえりモネ」がきっかけ。ドラマでは、主人公の百音を引っ張る役柄ですが、ご本人もエネルギッシュで、本書からも力強さが伝わってきました。 印象的だったのは、夏木さんが「自分の体は楽器」と語っているところです。演奏家がいつでも良い音を出せるよう楽器の手入れをするのと同様に、夏木さんも、いつでも演出家のイメージに近い演技ができるよう、日々、肌の手入れや健康管理に努めているそうです。ベテランの俳優でありながら日頃から努力をされていると知り、背筋が伸びる思いがしました。

 


 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

夏木さんのエッセイを読んで、佐伯さんの考えや行動は変わりましたか?

 

 

 

佐伯さん

 

夏木さんみたいに、もう少し意志を強く持って生きたいと思いました。また、夏木さんは、大事な時間を一生懸命過ごして、「やるだけやった」と感じると、自信が湧くそうです。私も、自分に自信が持てるよう、日々の時間を一生懸命、大切に過ごそうと思いました。 ほかにも、「運が良くないと嘆く前に何かやりたいと思うことや、こうなるといいなと思うことがあったら少しずつ進めてみる。考えていないでまず動いてみる。少しの努力とやる気が運を呼ぶのだ」という言葉が印象に残っています。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

うまくいかないとき、どう過ごせばよいか、ヒントになりますね!  では、西山さんの第3位の発表をお願いします!

 

 

 

西山さん

 

私の3位は、『ぼんやり記念日-リラックマ生活〈6〉-』(コンドウ アキ著)です。本を開くと、片面にリラックマたちのイラスト、片面に一言メッセージが添えられています。小学生のとき、クリスマスにサンタさんにもらって以来、ことあるごとに読み返しています。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

どんなメッセージが書かれているのですか?

 

 

 

西山さん

 

たとえば、「ちょっと休憩しましょう」「見つめるから気になるんです」とか。「言葉ひとつで変わります」というメッセージのイラストページには、一生懸命掃除をしているキャラクターと、その横でぐうたらしているキャラクターが描かれています。ぐうたらキャラは、掃除をしているキャラクターにイラッとされてしまい、「ありがとう」という言葉でその場をおさめようとしているんです(笑)。その後、掃除をしているキャラクターの気持ちがおさまったかどうかは分かりませんが、そのページを見て、最近、自分はちゃんと友だちに声をかけられているかな、伝えたいことをちゃんと言えているかな、と顧みるきっかけになりました。 この本を開いて目にするメッセージは、いつも自分に向けて言われているように感じます。この本を見ると、1日の過ごし方が変わりますね。言葉のチョイスは秀逸で鋭いのですが、ゆるくてかわいく、軽く読めるのでおすすめです。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

見るとかわいいイラストにホッとして、気付きもある…。1日に1回は読みたくなりそうです。

 

 

 

 

 

 

 

今日1日の過ごし方、生き方のヒントは本にある

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

では、続いて第2位をお願いします!

 

 

 

佐伯さん

 

2位は、『「手紙屋」~僕の就職活動を変えた十通の手紙~』(喜多川泰著)です。主人公は、就職活動に出遅れ、将来を思い悩む平凡な大学4年生の「僕」。ある日カフェで知った「手紙屋」との10通の文通を通して、新しい発見をする物語です。この本は、私が就職活動をしていたとき、気分転換に行ったポートアイランドキャンパスの図書館で目にして手に取りました。当時、就活に悩んでいたのですが、この本に背中を押されました。

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

佐伯さんご自身は、どんな悩みがあったのですか?

 

 

 

佐伯さん

 

当時、やりたい仕事があったのですが、自分ができる仕事ではないと感じていたので、一歩踏み出せず、諦めようとしていたんです。この本の主人公は、手紙屋から「自分に向いている職種を探すより、考えただけでわくわくするような目標を持った会社を探してみるのもいいんじゃないか」という手紙を受け取ります。そのくだりを読んで、私も自分がやりたい仕事ができる会社を探して、就職活動しよう!と気持ちが切り替わりました。おかげで、希望に近い仕事ができる会社に就職が決まりました!

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

勇気を持って一歩踏み出すことで、現実も変わっていったのですね。すごいです! では、西山さんの第2位をどうぞ!

 

 

 

西山さん

 

2位は、『ながい坂(上)(下)』(山本周五郎著)です。江戸時代、身分制度に憤りを覚えた下級武士の家に生まれた主人公が、悩んだり悔やんだりしながら立身出世を目指す時代小説です。主人公を取り巻く登場人物も個性豊かで深みがあり、生き方や価値観を見直すきっかけになりました。

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

どのようなエピソードや登場人物が、西山さんに影響を与えたのですか?

 

 

 

西山さん

 

特に印象的だった登場人物は、森番の大造です。学がなく大酒飲みで、一般社会では「ダメな奴」と烙印を押されそうですが、小説の中では、多くの人に受け入れられ、愛されているんです。また、大造は、森の中で育つ木と育たない木を目利きでき、人のことも一目で出世するかしないかを見極める特技を持っています。出世したり、世の中で大活躍するだけが理想の人生ではないと思いました。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

この小説で人生観が変わったのですね。時代小説は好きなんですか?

 

 

 

西山さん

 

実は、時代小説は苦手なんです。登場人物が多いうえに、名前も変わりますから。でも、山本周五郎さんの小説は、導入部分や構成、文体も秀逸で、どんどん引き込まれていきます。長編で読みごたえのある作品なので、小説の世界観に浸るためにも時間のあるときに読んでほしいなと思います。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

物語だけでなく、文章にも注目して読んでいるとは、さすが読書王です!

 

 

 

 

ハウツー本と、自己肯定感が高まる小説が第1位に!

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

では最後に、第1位の発表をお願いします!

 

 

 

佐伯さん

 

私の1位は、『海辺のカフカ」(村上春樹著)です。

 

 

 

 

西山さん

 

私が1位に選んだのは、『言葉を減らせば文章は分かりやすくなる』(山口遙司著)です。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

では、佐伯さんから、本の内容と1位に選んだ理由を教えてもらえますか?

 

 

 

佐伯さん

 

『海辺のカフカ』は、主人公の「僕」が、世界で一番タフな15歳になるために、15歳の誕生日に家出をし、小さな図書館の片隅で暮らし始める不思議な物語です。ゼミで扱うことになって上下巻を買って読んでみたら、とても良かったので1位に選びました。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

どのようなところが、良かったのでしょう?

 

 

 

佐伯さん

 

自分は、ありのままでいい、と思えたところです。物語には、読み書きができず、ネコと会話ができる知的障がい者の「ナカタさん」が登場します。ナカタさんは、ヒッチハイクで出会ったトラック運転手の自己中心的な考えを、少しずつ変えていきます。読み書きができなくても、人と違っていても、自然体で接すれば人に良い影響を与えられる、と思いました。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

佐伯さんは、それまで少し無理していたのですか?

 

 

 

佐伯さん

 

本書を読む前は、常に全力でがんばらなければいけないと思っていました。でも、ナカタさんのように肩の力を抜いて、自分らしく生きることが大切だなと思うようになりました。また、以前は周りを気にするタイプでしたが、今は自分がやりたいことをしよう、と思っています。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

佐伯さんの自己肯定感が高まって、生き方が少しずつ変わったのですね。1位になったのも納得です! では、西山さん、1位に選んだ本の内容を教えていただけますか?

 

 

 

西山さん

 

本書では、伝わる文章の書き方を例文付きで紹介しています。この本を読めば、削るべき語句や分かりやすい文章を書くコツが分かります。とにかく理解しやすく、汎用性が高いハウツー本です。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

さまざまな文章に応用できるということでしょうか。

 

 

 

西山さん

 

はい。私は、今書いている卒業論文に応用していますが、SNSで使える短いテキストの作成、普段の会話、読書感想文など、さまざまなシーンで参考になると思います。 以前、教授に卒論を見てもらい、「この言葉はいらない」と指摘されたことがありました。そのときは理解できなかったのですが、本書を読んで納得できました。SNSで発信している人や卒論を書いている人は、この本を読んで、伝わるうれしさを感じてほしいと思います。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

西山さんは、文章を書くのが好きなんですか?

 

 

 

西山さん

 

いいえ、書くのは苦手です(笑)。ですから、卒論を書くときは、この本がとても参考になりました。本書によると、自分が必要だと思っている言葉でも、相手を混乱させる場合があるそうです。この本では、一度、伝えたいことを書き出してから、不要な言葉を減らしていく方法が紹介されているのですが、その部分はとても印象に残っています。本書を読んでから、卒論を教授に提出すると「文章が良くなっている」と褒められたので、役立っていると実感しました。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

なるほど。分かりやすく、実践的なのですね。私も参考にさせていただきます! 

 

 

 

お二人の話を聞いて、年末年始にゆっくり読書をしたいと思いました! 

皆さんは、読んでみたい本はありましたか? 

最近、忙しくて読めていない人も読書家の方も、 この機会に気になる1冊を手に取ってみてはいかがでしょうか?

 

※画像の引用元はamazonから使用しております。

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