
誰もが使えるプラットフォームを。防犯カメラの映像で
社会を可視化。 映像から未来をつくる!
社会を可視化。 映像から未来をつくる!
今や町のいたるところに設置されている防犯カメラ。
その映像をクラウド化することで、自分のために、
社会のために役立てたい、と考えた起業家がいます。
甲南大学のOB、佐渡島隆平さん。
2014年、セーフィー株式会社を立ち上げ、
たった8年で、クラウド録画サービス市場で
56.4%のシェアを占める有力企業に成長。
起業のきっかけ、苦労、そして今後の展望など、
起業を目指す学生たちに向けて語っていただきました。
KONAN-PLANET 記者
佐渡島さん今日は宜しくお願いします!

佐渡島 さん
よろしくお願いします。
KONAN-PLANET 記者
まずは、佐渡島さんが経営する会社セーフィーについて教えてください。
世界中のカメラの映像をクラウド化して、
“誰もが活用できる映像プラットフォームを提供。”
防犯・監視カメラの録画データをクラウドプラットフォームに蓄積させて、スマホやパソコンなどでどこからでも見られるようにするクラウド録画サービス「Safie(セーフィー)」を主な事業としてやっています。カメラに電源をつなげて簡単な初期設定をすれば、Wi-Fi経由でPCやスマホで確認できるようになります。録画用サーバーの設置やセキュリティ対策は不要、機能をアップデートしながら提供できるので非常に安価で手軽、誰でもいつでも簡単に導入できる点がポイントです。
原点は「自分が欲しいサービスを提供したい

インターネットを使って
世の中が面白くなるサービスを。



軌道に乗るまで3年半。
地道な努力を重ね、光を見出す。

創業4年目から大躍進を遂げるセーフィー。
その成長につながる
3つのブレークスルーを教えていただいた。
カメラに入るOSを社会のオープンソースとして提供。結果、ハードウェアを持っている会社が簡単にクラウドサービスに参入できるようになり、マーケットそのものが開拓された。
今までのネットワークカメラは店の中に設置するだけだったが、携帯電話の電波をベースにどこでも使えるようにした。それによって、もう一つ大きなマーケットを広げることができた。
新型コロナウイルスにより、遠隔サービスの必要性を社会全体が認知。Safieを使うことで現場を持つ人が遠隔でマネジメントできるようになり、マーケットが一気に拡大した。
KONAN-PLANET 記者
佐渡島さんは幼稚園から大学まで甲南です。
甲南とは、どんな学校ですか?

佐渡島 さん
甲南は、かつての産業を作ってきた人たち、社会のイノベーションを起こしてきた人たちが作った学校だなと今も思います。OBのネットワークも強いですし、いろいろ会社を経営されている人も多い。ビジネスを広げようと思ったときに、OBのネットワークというリソースを活用すると一気にスケールアップできます。
また、甲南の「友達を大事にする」という姿勢がとても役に立っています。ビジネスは結局、人の営みで成り立っている。技術があるから、機能があるからいい、というだけではダメで、そういうものの掛け算がプロデュースできる人がいて初めてうまくいく。そういう意味では、甲南の卒業生は人と繋がっていいものを作る、作ったものをたくさんの人に使ってもらえるよう広げていく、という点に長けていると思いますね。
KONAN-PLANET 記者
甲南大学でも起業したい学生が増えているそうです。

佐渡島 さん
それは嬉しいですね。この30年、日本の賃金は増えていません。それはつまり、直近30年は何も成功していないに等しい。さらに、労働生産人口が40年で800万人減少すると言われています。大阪府の人口が消えるくらいのインパクトです。日本の新陳代謝を上げるには、若い人が動くしかないと思うんです。OBのネットワークを使って新しい産業構造を起こしたり、日本の文化や技術、サービスを海外に輸出するなどして、成長する必要がある。「稼ぐ」ことが産業構造として求められている中で、甲南の持つネットワークというのは、ものすごく大きなアドバンテージがある。それを活用しない手はありません。
KONAN-PLANET 記者
起業したい学生にメッセージをお願いします。

佐渡島 さん
起業するというのは、難しいことがほとんどないんですね。最初の自分たちのアイディアから一歩踏み出して、「とにかくやってみる」ことが大事だと思います。失敗することもありますが、失敗が一番成功に近づくんです。そして、「最後までやりきる」という覚悟を持ってチャレンジしてほしい。やってみたら社会が求めている新しいチャレンジかもしれない。「そんなにびびらなくても大丈夫」と言いたいですね。
KONAN-PLANET 記者
最後まで やりきることに対して不安などなかったのですか?

佐渡島 さん
もちろんあります。だから、それを相談できる身近な人が必要です。僕も社員や共同創業者など仲間の存在と、応援してくださる方や企業があることが大きな力になっています。また、仲間がいれば自分の心が折れようとも、「まあ、もうちょっとできるよ」とか、「こういうふうにやってみよう」とか、いろんな試行錯誤ができる。そういう意味では、仲間選びはすごく大事ですね。営業が得意な人、物作りが得意な人、お金に強い人など、自分にない才能の人を掛け算することも重要です。
KONAN-PLANET 記者
でも、やはりリスクも気になります・・・

佐渡島 さん
リスクは株主が負担し合うので限定されますが、リターンは無限大です。1000万円で創業したとして、それが500億とか1000億にもなってくる。限定の中でしっかりチャレンジすれば充分成功できます。そして、次は僕がそのチャレンジを積極的に支援していきたい。
セーフィー株式会社 代表取締役社長CEO
佐渡島隆平さん
甲南大学経済学部卒業。大学在学中に学生同士が交流できるマッチングプラットフォームサービスDaigakunote.comを起業。2002年、ソニーネットワークコミュニケーションズ入社、モーションポートレートを経て、2014年10月、同僚だった森本数馬、下崎守朗と共にセーフィーを創業。『映像から未来をつくる』をビジョンに掲げ、約6年で出荷カメラ台数10万台を突破。国内のクラウド録画サービスにおいてシェアNo.1を誇る。2021年11月25日発売の「Forbes JAPAN」1月号の特集「日本の起業家ランキング2021」で1位に輝いた。