誰もが使えるプラットフォームを。防犯カメラの映像で
社会を可視化。 映像から未来をつくる!

NEWS!『甲南人』の活躍 > トピックス
2023.2.21
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今や町のいたるところに設置されている防犯カメラ。

その映像をクラウド化することで、自分のために、

社会のために役立てたい、と考えた起業家がいます。

甲南大学のOB、佐渡島隆平さん。

2014年、セーフィー株式会社を立ち上げ、

たった8年で、クラウド録画サービス市場で

56.4のシェアを占める有力企業に成長。

起業のきっかけ、苦労、そして今後の展望など、

起業を目指す学生たちに向けて語っていただきました。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

佐渡島さん今日は宜しくお願いします!

 

 

 

 

佐渡島 さん

よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

まずは、佐渡島さんが経営する会社セーフィーについて教えてください。

 

 

 

 

 

 

世界中のカメラの映像をクラウド化して、

 

“誰もが活用できる映像プラットフォームを提供。”

 

 

 

防犯・監視カメラの録画データをクラウドプラットフォームに蓄積させて、スマホやパソコンなどでどこからでも見られるようにするクラウド録画サービス「Safie(セーフィー)」を主な事業としてやっています。カメラに電源をつなげて簡単な初期設定をすれば、Wi-Fi経由でPCやスマホで確認できるようになります。録画用サーバーの設置やセキュリティ対策は不要、機能をアップデートしながら提供できるので非常に安価で手軽、誰でもいつでも簡単に導入できる点がポイントです。

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
どういう場所で、どのように使われているのでしょう。

飲食店や小売店など、様々なところで防犯カメラが使われていますが、当社の特徴は「現場DX」ということです。つまり、現場を持っている人が遠隔で仕事ができる。例えば、映像を活用することでチェーン店のエリアマネージャーが遠隔で店内をチェックしたり、工事現場にいなくても現場監督が指示できたりします。今年で創業8年、社員は400名弱で、売上がだいたい100億ぐらいの規模の会社になっています。
佐渡島さん
佐渡島さん

 

 

 

 

 

 

原点は「自分が欲しいサービスを提供したい

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
急成長ぶりに驚きなのですが、いつから起業しようと思ったのでしょう。

甲南大学在学中、Daigakunote.comというインターネットサービスを自分で立ち上げました。これも、いわゆる起業ですね。卒業後はソニーグループのソネット(現ソニーネットワークコミュニケーションズ)に就職。「自分たちでサービスを作る」ということを散々大学時代にやってきたので「大手の資本を使って、もっと儲けてみよう」という気持ちはありました(笑)。実際、起業して最初に出資してもらったのはソニーグループでした。
佐渡島さん
佐渡島さん

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
では、大学のときからサービスを作って提供するという事業に関心があったんですね。

僕が学生の頃、ちょうど「iモード」が出てきて、携帯電話が初めてインターネットにつながったんです。僕にとっては衝撃的な出来事で、これで世の中が大きく変わればいいなと思いました。何か情報サービスを提供したい、自分たちが便利なものってなんだろうと思った時に思い浮かんだのが、休講情報でした。当時は、学校に行かないと休講かどうか分かりませんでしたから。
佐渡島さん
佐渡島さん

 

 

サークルをやっている学生に各校舎の掲示板にある休校情報をメールで送ってもらうなど情報が集まる仕組みを作って、芸能ニュースや洋服を決めるための天気予報を提供したり、ユーザーが登録している履修科目だけのファイルを作ったり、地元のアルバイト情報やクーポンを配ったり・・・アンケートに答えてもらったら学食のチケットをあげるなど、今で言うマーケティングリサーチですよね。
佐渡島さん
佐渡島さん

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
もう、すでに実業家ですよね。そのサービスは学生の8割が登録していたと聞きました。

はい、甲南と甲南女子では8割超えていたみたいですね。
佐渡島さん
佐渡島さん

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
え、甲南大学だけじゃないんですか?

 

関大、関学、神戸学院、立命館、そこからまた広げて・・・という感じで、最終的には関西圏の大学までカバーしていました。
佐渡島さん
佐渡島さん

 

 

 

 

 

インターネットを使って

 

世の中が面白くなるサービスを。

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
大学時代から手腕を発揮していた佐渡島さんですがどのような経緯で起業されたのでしょう。

ソニーグループでは面白い仕事ができたので、起業意識はあんまりなかったのですが、インターネットを使って世の中を変えたり、面白くなるサービスを作ってみたい、という思いはありました。インターネットの新しい可能性としてスマートフォンが出てきて、さらにAI革命があり、その発展を間近で見て、これはものすごい大きな社会インパクトが起きるな、とも感じていました。
佐渡島さん
佐渡島さん

 

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
え、そこから始まったんですか?

 

はい、そうなんです(笑)。一方でデータを持っている人がどんどん新しいアプリケーションを生み出していて、そこに新しい社会の可能性があることも見えてきた。そこで、データをたくさん集めて活用しようと考えたわけです。やっぱり、自分が欲しいと思うものじゃないと真剣に作れないじゃないですか。大学の休講情報も、自分が一番ほしかった(笑)
佐渡島さん
佐渡島さん

 

 

 

非常に小型のカメラを壁に貼り付けて、どんどん賢くなる仕組みがあれば、自分も欲しいし、欲しい人も多いはず、と思ったんです。いわゆるデータドリブン(データを収集・分析し、ビジネス上のさまざまな課題に対して判断・意思決定を行うこと)ができてくると社会に大きなインパクトがある。これは、技術的にも、社会のニーズを見ても、事業として見ても、非常に大きな可能性があると考えました。
佐渡島さん
佐渡島さん

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
それで、独立を?

最初はグループ内でやろうと思ったのですが、それでは時間がかかりすぎる。大企業ゆえに看板そのものが邪魔してしまうケースもあると思い、一緒に立ち上げた二人と会社に提案して「自分たちが辞めます」と言いにいきました。「外でやりますのでお金を出してください」と(笑)。そうしたら、「まあ、お前らがやるなら応援してやる」と言ってくれました。ソニーが出資するなら、とキヤノンMJやオリックス、関西電力など大手企業との資本業務提携が広がっていきました。
佐渡島さん
佐渡島さん

 

 

 

 

 

軌道に乗るまで3年半。

 

地道な努力を重ね、光を見出す。

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
起業した後、事業はいかがでしたか?

 

サラリーマンをやっていた三人が起業するのでお金がない。1000万円ほど集めて起業しましたが、売上は立たないし、ハードウェアは不具合だらけだし、お金もないし、人も採用できないし・・・という状況が3年半くらい続きました。最初は家用のカメラとしてやっていたんですが、全く売れない。そこで、建設現場、飲食チェーンなど新しい需要を自分たちで発掘して、もうあの手この手を使って少しずつ顧客を広げていきました。
佐渡島さん
佐渡島さん

 

 

 

 

 

 

創業4年目から大躍進を遂げるセーフィー。

 

その成長につながる

 

3つのブレークスルーを教えていただいた。

 

 

 

 

カメラに入るOSを社会のオープンソースとして提供。結果、ハードウェアを持っている会社が簡単にクラウドサービスに参入できるようになり、マーケットそのものが開拓された。

 

 

 

今までのネットワークカメラは店の中に設置するだけだったが、携帯電話の電波をベースにどこでも使えるようにした。それによって、もう一つ大きなマーケットを広げることができた。

 

 

 

新型コロナウイルスにより、遠隔サービスの必要性を社会全体が認知。Safieを使うことで現場を持つ人が遠隔でマネジメントできるようになり、マーケットが一気に拡大した。

 

 

 

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

佐渡島さんは幼稚園から大学まで甲南です。
甲南とは、どんな学校ですか?

 

 

佐渡島 さん

 

甲南は、かつての産業を作ってきた人たち、社会のイノベーションを起こしてきた人たちが作った学校だなと今も思います。OBのネットワークも強いですし、いろいろ会社を経営されている人も多い。ビジネスを広げようと思ったときに、OBのネットワークというリソースを活用すると一気にスケールアップできます。

 

また、甲南の「友達を大事にする」という姿勢がとても役に立っています。ビジネスは結局、人の営みで成り立っている。技術があるから、機能があるからいい、というだけではダメで、そういうものの掛け算がプロデュースできる人がいて初めてうまくいく。そういう意味では、甲南の卒業生は人と繋がっていいものを作る、作ったものをたくさんの人に使ってもらえるよう広げていく、という点に長けていると思いますね。

 

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

甲南大学でも起業したい学生が増えているそうです。

 

 

佐渡島 さん

それは嬉しいですね。この30年、日本の賃金は増えていません。それはつまり、直近30年は何も成功していないに等しい。さらに、労働生産人口が40年で800万人減少すると言われています。大阪府の人口が消えるくらいのインパクトです。日本の新陳代謝を上げるには、若い人が動くしかないと思うんです。OBのネットワークを使って新しい産業構造を起こしたり、日本の文化や技術、サービスを海外に輸出するなどして、成長する必要がある。「稼ぐ」ことが産業構造として求められている中で、甲南の持つネットワークというのは、ものすごく大きなアドバンテージがある。それを活用しない手はありません。

 

KONAN-PLANET 記者

起業したい学生にメッセージをお願いします。

 

 

佐渡島 さん

起業するというのは、難しいことがほとんどないんですね。最初の自分たちのアイディアから一歩踏み出して、「とにかくやってみる」ことが大事だと思います。失敗することもありますが、失敗が一番成功に近づくんです。そして、「最後までやりきる」という覚悟を持ってチャレンジしてほしい。やってみたら社会が求めている新しいチャレンジかもしれない。「そんなにびびらなくても大丈夫」と言いたいですね。

 

 

KONAN-PLANET 記者

最後まで やりきることに対して不安などなかったのですか?

 

 

 

 

佐渡島 さん

もちろんあります。だから、それを相談できる身近な人が必要です。僕も社員や共同創業者など仲間の存在と、応援してくださる方や企業があることが大きな力になっています。また、仲間がいれば自分の心が折れようとも、「まあ、もうちょっとできるよ」とか、「こういうふうにやってみよう」とか、いろんな試行錯誤ができる。そういう意味では、仲間選びはすごく大事ですね。営業が得意な人、物作りが得意な人、お金に強い人など、自分にない才能の人を掛け算することも重要です。

 

 

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

でも、やはりリスクも気になります・・・

 

 

 

 

佐渡島 さん

リスクは株主が負担し合うので限定されますが、リターンは無限大です。1000万円で創業したとして、それが500億とか1000億にもなってくる。限定の中でしっかりチャレンジすれば充分成功できます。そして、次は僕がそのチャレンジを積極的に支援していきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セーフィー株式会社 代表取締役社長CEO

佐渡島隆平さん

 

甲南大学経済学部卒業。大学在学中に学生同士が交流できるマッチングプラットフォームサービスDaigakunote.comを起業。2002年、ソニーネットワークコミュニケーションズ入社、モーションポートレートを経て、2014年10月、同僚だった森本数馬、下崎守朗と共にセーフィーを創業。『映像から未来をつくる』をビジョンに掲げ、約6年で出荷カメラ台数10万台を突破。国内のクラウド録画サービスにおいてシェアNo.1を誇る。2021年11月25日発売の「Forbes JAPAN」1月号の特集「日本の起業家ランキング2021」で1位に輝いた。

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