
祝!ファジアーノ岡山J1昇格!!
甲南サッカー部OBの木村太哉選手が
チームの悲願をかなえる劇的ゴール!
甲南サッカー部OBの木村太哉選手が
チームの悲願をかなえる劇的ゴール!
クラブとリーグの歴史をぬりかえるドラマを実現。
甲南大学初のJリーガーとしてファジアーノ岡山に入団した木村太哉選手。プロ4年目となった2024年シーズンはチームの中心として全試合出場をはたし、J1昇格を決めるプレーオフでもゴールをあげる大活躍!クラブ初のJ1昇格を決めただけでなく、リーグ5位からの昇格というJ2史上初の快挙も達成しました。いよいよ日本サッカーのトップカテゴリーで躍動する木村太哉選手。すでに心身ともにJ1挑戦への準備を進めているなか、現在の心境や来季にかける想いなどについて取材しました!
心機一転。初心に帰って戦った2024年シーズン。
KONAN-PLANET 記者
クラブ初のJ1昇格おめでとうございます。
2024シーズンは背番号を入団時の27に戻して
シーズンを戦ったわけですが現在の心境はいかがですか。
木村太哉 選手
背番号を27にしたのは、入団2年目と3年目は怪我の影響もあって全力でプレーできなかった悔しさもあり、心機一転、まさに初心に帰ろうという気持ちの表れでした。その想いが実ってかフルシーズン活躍することができ、悲願のJ1昇格を果たすことができました。これからより厳しいカテゴリーに挑むわけですから、あらためて身が引き締まる思いですね。やはりもっと自分の強みを磨いていかないと通用しないだろうと思っています。
-ご自身の強みというのは、プレーのどのあたりでしょうか。
木村選手:やはり、常に全力でプレーするところです。そのうえで、ドリブルで仕掛ける推進力とか、攻守の切り替えの場面で守備の最初のスイッチになるため強度をもってあたれるところでしょうか。そういうアグレッシブさが自分の持ち味だと思っています。
-今季はこれまでのMFというよりFW、
いわゆるシャドーのポジションでの起用が中心でしたね。
木村選手:チーム戦術として前線からのハイプレスが基本ですので、すばやくプレスにいけるという自分の強みがフィットした起用だと思います。
-そんな求められる役割をこなしつつ、
J1昇格を決めるプレーオフでのゴールは最高でした!
木村選手:じつは2年前にもプレーオフ進出で昇格のチャンスがありました。相手は山形で、リーグ戦で対戦したときに自分の1ゴールで勝利していたんです。ところが競技規則の適用ミスという理由で再試合になり、幻のゴールになってしまいました。結局その年はプレーオフで負けてしまったので、自分としては借りがあるというか、絶対に山形戦で得点してやると決意していました。悔しかった気持ちをすべてプレーにぶつけた結果という感じです。
より高い目標をもって挑戦する、J1という夢の舞台。
KONAN-PLANET 記者
劇的な昇格を経て、いまの心境としてはいかがですか。
木村選手:より強い相手と戦うため、よりクオリティの高い選手がどんどん加入してチームが強化されています。当然チーム内での競争も激しくなっているので、あらためて試合に出るところから勝ち取らなければいけない。そうしないと新しい舞台で戦うチャンスも与えられませんからね。そのためにも、いまは試合でも練習試合でも、さらに全力でプレーするよう心がけている日々です。
-チーム内での競争に勝つため、新たに努力していることはありますか。
木村選手:なにかを新しくはじめるというより、いまできることをさらに伸ばしたいと考えています。入団してもう4年ですから、監督が意図していること、チームとして大切にしていることは深く理解しているつもりです。そのポイントをプレーのなかで徹底することが、試合で起用されるための近道かなと。だからファジアーノ岡山の強み、らしさというものを、自分が率先して発揮していくことにフォーカスしています。
-ファジアーノ岡山らしさとは、どういったスタイルでしょう。
木村選手:常にチームが一丸となって、どんな局面でも決してあきらめないことです。全員で攻撃して、全員で守る。そのために全力で走り、恐れずに身体を張る。そういうチームです。
-実際、2024年シーズンはリーグでも失点が2番目に少なく、
試合の半分が無失点のクリーンシートでした。
木村選手:やはりチームとしての戦術を選手がしっかりと理解し、プレーに落とし込むことを徹底できた成果だと思います。あとシーズンを通じてプレーオフ圏内を維持できたのは、やはり連敗しなかったことが大きかったですね。負けても落ち込まず、次の試合で跳ね返そうという姿勢を最後まで貫けたこと。そんなメンタル部分が他のチームより勝っていたと思います。
-新シーズンに向けて目標にしている数字はありますか。
木村選手:J1というカテゴリーでは、どれだけ守備を頑張っても勝ちきれない試合がでてくると思います。やっぱり前線の選手が点を取れないと厳しいので、もっとゴールに絡んでいきたい。昨シーズンはプレーオフを含めて4ゴールでしたけど、今季はたとえJ1チーム相手であってもリーグ戦だけでそれ以上の数字を残したいですね。
多くの人の想いを代表する、プロ選手としての自覚。
KONAN-PLANET 記者
昨季はフィールドプレイヤーとして唯一の全試合出場でしたが、
日々のコンディションで気をつけていることはありますか。
木村選手:特に意識していることはないですね。もちろん睡眠や食事のバランスには気をつけていますけど、逆に節制しすぎて精神のバランスを崩しても良くないので。ただ、いつでも試合に出られるよう身体と気持ちの両方をしっかり準備しています。たとえベンチスタートであっても、常に全力でプレーできるように整えておく。そこは監督にも信頼してもらっている部分だと思います。
-チームでは選手会長も務めていますよね。
甲南サッカー部では主将でしたし、
自分の中でキャプテンシーとかは意識していますか。
木村選手:どうなんでしょうね(笑)むしろ大学時代の方がキャプテンシーはあったと思うんですけど…。ただ根は真面目な人間だと思うので、そういう部分を他の選手から評価してもらえているなら嬉しいですね。あと練習での雰囲気づくりとかは意識しています。アップ段階から積極的に声を出したりして。これは入団当初から心がけていたことで、最初は遠慮がちでしたけど、みんなもだんだん乗り気になってくれて。いまの活気ある練習というのは他チームから来た選手が驚くほどで、すっかりチームの個性みたいになっています。
-東京のジュニアチームでサッカーをはじめられて、
中高時代は北海道、大学時代は神戸、いまは岡山と
いろいろ環境が変化したと思いますが、現在の生活はいかがですか。
木村選手:もう4年目なので生活には慣れましたけど、岡山は本当に良い街です。都会すぎず、すごく暮らしやすい。気候も温暖なのでアスリートとしては快適に過ごせます。サポーターの方々も応援の熱気はすごいけど、かといって変にブーイングしたりすることなく、ただ一生懸命に選手の背中を押してくれる。そうした地元の人々がかける想い、そしていままでチームで一緒にプレーした選手たちの想いをすべて背負って戦ってきたつもりなので、J1昇格でようやく応えることができたかなと。それがなによりも嬉しいです。
-J1で戦うとなると、甲南サッカー部の後輩だった
アビスパ福岡の井上聖也選手との対戦もありそうですね。
木村選手:彼はこちらをあまり先輩だとは思ってないでしょうけどね(笑)プレーオフの時も連絡をくれましたけど、応援というより「負けるなよ」と茶化すようなメッセージでしたし。対戦すればお互いにマッチアップするポジションですから叩き潰す勢いでいきますよ!
-これは激しい宣戦布告ですね…!
木村選手:いや、大学時代にも自主練でよく1対1をしたりしていたので、お互いのことは知り尽くしている仲というか(笑)ただプロになってそれぞれに多くの経験を積んで成長しているでしょうから、それを全力で見せあいたいという気持ちです。
大学時代の経験に支えられた、これまでの成長。
KONAN-PLANET 記者
大学サッカーの経験というのは、
やはりプロになってから役立っていますか。
木村選手:甲南サッカー部は学生主体でやっていく部分が多かったので、やはり自己管理能力が身につきました。他の選手と差をつけるには、ただ漠然と練習していれば良いわけではない。練習前のアップも含めてトレーニング方法を工夫したり、練習時間外でも身体を強化するためにパーソナルトレーナーから学んだり、いろいろと努力できることがあるわけです。そんな自分から考えて行動する重要さを大学時代に学んだからこそ、ここまでプロとして成長できたのだと思います。
-そんな甲南サッカー部ですが、昨年は天皇杯に出場して2回戦進出
するなど大きく躍進しています。後輩たちの活躍はご存知ですか。
木村選手:もちろんです!チームのSNSなんかはチェックしていますし、OBグループからいろいろ情報が回ってきます。今年の初蹴りにも顔を出して、現監督の竹口さんや関係者の人と話をさせてもらいました。学生サッカーというのは周囲の支えがあってこそなので、それをしっかり結果につなげている選手たちには感心します。常に応援していますし、自分への刺激にもなっています。
-また新たなJリーガーとして當麻颯選手が
福島ユナイテッドFCへの加入が決定しました。
木村選手:こうして甲南サッカー部出身のJリーガーが後に続いてくれると、やっぱり嬉しいですよね。ただ、そんな後輩たちにしょぼい背中を見せないためにも、先輩としてよりいっそう頑張らないといけませんね!
-さて、いよいよ開幕ですが、昨期のJ1では、
J2からの昇格チームが台風の目としてリーグを席巻しました。
木村選手:J2のレベルが低いわけではないということを実感させてくれて、本当に良いモデルケースを示してくれたと思います。だからといって自分たちも上手くいく保証はありませんが、しっかりと戦える可能性を見せてくれました。ファジアーノ岡山らしく地に足をつけながら、自分たちのサッカーに自信をもってJ1にチャレンジしたいと思います。
-今日はありがとうございました。J1での活躍を応援しています!
KONAN-PLANET 記者まとめ
KONAN-PLANET 記者
J3から昇格して勢いのある3チームと、J1から降格とはいえ地力に勝る3チームを含めた20チームが争うJ2リーグは、毎年のように熾烈な混戦をきわめます。そこで安定してシーズンを戦うために重要となるのがチーム全体への戦術の浸透度。フィールドプレイヤーとして唯一、全試合出場を果たした木村太哉選手は、ファジアーノ岡山にとってチーム戦術を体現する貴重な存在だといえるでしょう。運動量、推進力、献身性と木村選手を評価する声はいろいろと聞きますが、大学サッカーで育まれた考える力を基盤とする戦術理解があるからこそ、ひとつひとつのプレーが輝くのだと今回の取材で感じました。いよいよ舞台をJ1へと移し、早速、先日の開幕戦で得点を挙げ初勝利に貢献した木村選手のさらなる活躍を、ぜひ応援したいですね!