海外で活躍する卒業生インタビューリレー⑥
アメリカ・カリフォルニア州編

NEWS!『甲南人』の活躍 > カルチャー
2024.4.18
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ロスアンゼルス、シンガポール、シドニーなど、7か国・都市に拠点を持つ甲南大学同窓会の「海外甲南会」。海外で活躍する先輩たちをリレー形式でご紹介する企画の第6弾は、「ロスアンゼルス甲南会」の佐田行史(さだたかし)さんをご紹介します! 1997年に経済学部を卒業・就職後、サーフィンと生きる暮らしを追い求めカリフォルニア州へ。現在は日本食レストランのオーナーとして活躍されています。卒業後から現在に至るまでのストーリーをお聞きしました。

 

 

contents

〇サーフィンと出会いカリフォルニアへ

〇アメリカ人に日本食を提供する難しさ

〇サーフィンが身近な暮らしを満喫中

〇「自分にとって大事なこと」を追い求めよう
 

 

 

 

サーフィンと出会いカリフォルニアへ

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

甲南大学にいた頃は、どんな学生でしたか。

 

 

 

 

佐田さん

 

僕は高石市という大阪の南の方の出身で、神戸の大学に憧れがあって甲南大学に入学しました。「阪急電車で通学したい」という気持ちもありましたね。おしゃれじゃないですか(笑)。大学1年生の時、先輩にサーフィンに連れて行ってもらったことがきっかけでサーフィンにどっぷりハマってしまって、アルバイトとサーフィンばかりしているような学生でしたね。

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

大学卒業から現在までの経緯について教えてください。

 

 

 

 

佐田さん

 

卒業後は繊維の商社に就職し、東京で勤務していました。それなりに楽しく仕事をしていたのですが、「自分には会社勤めが合わないな」と考えるようになって・・・。就職してからも休日にサーフィンを楽しんでいましたが、「もっとサーフィンをしながら生きていきたい」という気持ちが、どんどん大きくなっていったんです。 カリフォルニア州はビーチも多く、サーフィンと生活がとても近い。カリフォルニアの人たちはジムに行くような感覚で、気軽に波に乗りに行く。僕もそんな暮らしがしたいなと、渡米を考えるようになりました。これからはグローバルな感覚が必要だという気持ちもありましたが、一番の理由はやはりサーフィンでしたね。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

サーフィンへの熱い想いが佐田さんを動かしたんですね。

 

 

 

 

佐田さん

 

 

そうですね。それで、勤めていた会社を4年で辞めて、試しに1ヵ月ほどカリフォルニアに滞在して「やっぱりここで暮らしたい」と確信しました。たまたま会社の後輩のお父さんがカリフォルニアで飲食のビジネスをしていたので、紹介してもらえるよう頼み込み、2002年にカリフォルニアへ移住。到着したその日に蝶ネクタイを渡され、日本食レストランのマネージャーを任されることになりました。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

いきなりマネージャーですか!? 飲食業の経験はあったのですか?

 

 

 

 

佐田さん

 

大学時代にレストランやバーでアルバイトをしたことはありましたが、まさか自分が飲食業をするとは考えていませんでした。当時はサーフィンのために「なんでもやります!」という気持ちだったんです。また、サーフィンを自由に楽しむためには経営者になるしかないとも考えていたので、「いずれ独立したい」ということを社長に初めに伝えました。

 

 

働いていた店はオーセンティックな日本食のレストランで、スタッフもお客様もほとんどが日本人でした。もう、無我夢中で働きましたね。毎日へとへとでヒーリング音楽を聞いたりしていましたから、今思い返せばとても大変だったんだと思います。休みの日やオープン前に海に行くこともありましたが、サーフィンを思うように楽しめる時間はありませんでした。

 

 

そうしているうちに、2012年にのれん分けという形で2002年から社長をやらせてもらっていた店のオーナーになり独立しました。オーナーになると全てを管理しなければなりませんし、利益も上げていかなければならない。社員同士のトラブルも日常茶飯事でしたから、なかなかサーフィンに行く時間がとれずしんどかったですね。自由にサーフィンに行けるようになったのは、つい最近のことです。

 

 

 

 

アメリカ人に日本食を提供する難しさ

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

佐田さんが経営されているお店について教えてください。

 

 

 

 

佐田さん

 

アメリカで寿司といえば「巻き寿司」
カリフォルニアのREDONDO BEACH、HERMOSA BEACH、El SEGUNDOの3つの市で店を構えています。どの店もビーチが目の前で、日本でいうと湘南のような雰囲気です。サーフィンもさかんで観光地としても有名なので、お客様はほとんどがアメリカ人です。アメリカでは日本の寿司が独自に進化していて、一番人気は巻き寿司。カリフォルニアロールは日本でも知られていますが、とにかくいろんな種類があって、アメリカで寿司といえば巻き寿司ですね。

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

3店とも人気店となっていますが、成功のコツなどありますか。

 

 

 

 

佐田さん

 

 

日本では、外国料理店が紹介される際、よく「本場の味!」という表現が使われるように、その国の元々の味が良しとされます。そのため、日本人が海外で日本食を提供する時も「本物を提供したい」という想いが強いんです。「本物の日本食を」というようなプライドを貫くと、アメリカの飲食店では失敗しがちです。そもそも文化が違うから「本物」が通用しないんですね。アメリカ人にしてみれば、本場の味かどうかは関係ない。自分たちが美味しいと思えるものを出してくれ、というニーズの方が強いんです。

 

 

僕も最初は失敗だらけでした。お客さんに感想を聞いたり、食べ歩きをして傾向を掴んだり、少しずつ軌道修正しながら、ようやくアメリカ人の欲しいものが分かるようになってきた。商売の基本はお客様に喜んでもらえることですから、歩み寄りは必要だと思います。
スタッフはほぼアメリカ人で、3店舗あわせると100人近くが働いています。文化も考え方も違うアメリカ人を雇うのは難しい面もあります。けれども、日本人ではなくアメリカ人のスタッフが料理を説明した方が、アメリカ人に料理の魅力が伝わるんですよね。その分、管理するのはめちゃくちゃ大変ですが(笑)

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

大変そうですが仕事のやりがいも大きそうです。

 

 

 

 

佐田さん

 

そうですね。やっぱり、お客様が楽しそうに食事をされているのを目の前で毎日見られる、というのはこの仕事の醍醐味です。繊維の商社に勤めていた頃は味わえなかった喜びですね。自分たちが開発したメニューでたくさんの人に喜んでもらえるなんて、良い仕事だなと感じています。

 

 

 

 

サーフィンが身近な暮らしを満喫中

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

プライベートについて教えてください。

 

 

 

 

佐田さん

 

会社員時代に同期だった妻と、高校生と中学生の子どもの4人家族です。妻には店の会計を担当してもらっていて、彼女もこちらの暮らしを楽しんでいるようです。子どもたちを見ていると、こちらの教育は早い段階でやりたいことを決めさせられる、という印象です。中学から自分でクラスを選択するなど、主体的に選ぶ場面が多いですね。アメリカ人が主張が強いのも、そういう教育があるからではないでしょうか。

 

 

僕が住んでいる街はビーチも近いので、今は週に3日はサーフィンを楽しめています。サーフィンと生活を両立させる暮らしは、こちらでは当たり前。サーフィンが特別じゃない、ということが何より心地いいです。

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

おすすめのグルメやスポットなどありますか?

 

 

 

 

佐田さん

 

カリフォルニアはメキシコの移民が多いのでメキシコ料理がおいしいですよ。店も多いです。それから、とにかくビーチには困りません(笑)。日本のビーチと雰囲気が違っておすすめです。サンタモニカなどはアメリカ人にも人気ですね。

 

 

「ロスアンゼルス甲南会」には、渡米した時に声を掛けられ、それから参加しています。会合では10人前後のメンバーが集まりますが、僕が最年少です。僕が若い頃は欧米に行きたい人がたくさんいましたが、最近は日本の若者の間でもアメリカ志向が減っているような気がします。今はアジアに目を向けている若者が多いのではないでしょうか。

 

 

 

 

「自分にとって大事なこと」を追い求めよう

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

最後に、読者の方々へメッセージをお願いします。

 

 

 

 

佐田さん

 

 

僕はサーフィンをやりたくて、その結果、カリフォルニアに辿りつきました。サーフィンが僕にとっての「軸」であり、僕にとっての「いい暮らし」が日本にはなかった、ただ、それだけのことなんです。「自分にとって大事なこと」は何か、本人が納得できることが重要なんだと思います。 みなさんも目指している生活があれば、ぜひ、そのために動いてください。主張がなくても、自分には主張がないと嘆く必要はありません。誰かにダメと言われても、自分はダメだと思う必要はない。流されながらも楽しく過ごせればそれでいいんです。日本人は真面目すぎる。もっとわがままになっていいのではないかと思います。

 

 

 

 

1997年経済学部卒業。卒業後は繊維商社に就職し、東京で勤務。 学生時代から熱中していたサーフィンをもっとしたいという強い想いから、2002年に退職し、知人の伝を頼りにロスアンゼルスに移住。 現地で日本食レストランの社長として勤務。2012年に同店のオーナーとなり独立し、現在はREDONDO BEACH、HERMOSA BEACH、 EL SEGUNDに計3店舗を展開。

 

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