「三原舞依のマイ・レジリエンス」
甲南ブランド・ナビゲーター三原舞依編 Vol.2
甲南ブランド・ナビゲーター三原舞依編 Vol.2
日刊スポーツ×KONAN-PLANET連動企画「三原舞依のマイ・レジリエンス」第2回では、三原舞依さんとスケートとの関わりについて深掘りしていきます。競技引退後は、甲南大学体育会フィギュアスケート部の監督を務めながら、研究者として得た知見や成果をスケートの現場にも活かされています。今回は、本人ならではのスケートとの関わり方や、今後の展望について伺いました。

Profile
三原舞依(みはら・まい)・・・1999年、神戸市生まれ。小2の時、浅田真央さんの演技に憧れてフィギュアスケート選手に。グランプリ・ファイナル女王に輝き、四大陸選手権も2度制覇するなど、優美な演技で世界を魅了した。昨年12月の全日本選手権を最後に現役引退。現在、甲南大学大学院社会科学研究科経営学専攻博士課程1年次で、研究テーマは「レジリエンス(回復力)」。プロフィギュアスケーターとしてアイスショーなどにも出演予定。甲南大学体育会フィギュアスケート部監督。7月から、甲南学園の広報を担う「甲南ブランド・ナビゲーター」に就任。
Contents
・監督として受け継ぎ、伝えていきたいもの
・レジリエンス研究がもたらした気づき
・表現者として、研究者として、その先へ
KONAN-PLANET 記者
甲南大学体育会フィギュアスケート部の監督になって、どのようなことを心がけていますか。
三原舞依さん
今は、自分自身がこれまで学んできたことをお伝えする立場になりました。どうすれば選手の皆さんの身体や感覚に反映しやすく伝えられるのかを、日々考えています。先生方からは、「あなたができることが、そのまま相手に伝わるとは限らない。一人ひとりの特徴や跳び方に合わせた教え方をしなければいけない」とアドバイスいただきました。自分が経験してきたことをそのまま伝えるのではなく、一人ひとりに分かりやすい教え方を考えることの大切さを学び、今も強く意識しています。
私にとってスケートの先生方は、競技だけでなく人生の先生でもあり、ずっと尊敬していて、「いつか先生方のような素敵な人になりたい」という思いがあります。そのためにも、まだまだ学びたいことはたくさんあります。特に伝え方はとても重要だと感じているので、いろいろな角度からアプローチできるように考えながら過ごしています。
-先生方からかけていただいた言葉の中で、特に印象に残っているものはありますか。
三原さん:休養していた時期に、先生方から「舞依は大丈夫」と声をかけていただいたことは、今でも大きな支えになっています。また、試合の際に「集中力の天才」と言っていただいたことも、とてもうれしくて特に印象に残っています。
―経験を踏まえて、学生たちにどんなことを伝えられると思いますか。
三原さん:これまでに、休養期間も含めて、自分自身の考え方やつらい時期の感情と向き合いながら過ごしてきました。そうした経験を生かして、もちろん、ご本人にしか分からないこともあるかなと思うのですが、できるだけ相手の心に寄り添えたらと思っています。実際に相談を受けることもあり、「心が元気になりました」と言ってもらえたことはとてもうれしかったです。スケートのことはもちろんですが、講演会なども含めて、少しでも誰かの役に立ち、光になれたらなと思います。
-そうした思いや経験を、具体的にどのように伝えていきたいですか。
三原さん:マイナスな状況にある時、どのように考え、どのように前に進んできたのかを伝えていくことで、すこしでもお役に立つことができたら嬉しいです。私自身、つらい時期は、どうしても視野が狭くなってしまうことが多いです。少し視点を変えるだけで、一見マイナスに思えることもプラスに考えられることがあります。そうすることで見える景色が変わり、視野も広がっていくのではないかと思います。


KONAN-PLANET 記者
レジリエンスについて学ぶ中で、自身にどのような変化がありましたか。
三原舞依さん
レジリエンスは、日本語で「回復力」や「弾性力」と訳されることが多いです。私は昔から考えすぎてしまう性格で、物事をネガティブに捉えてしまうこともありました。でも、レジリエンスについて学ぶ中で、別の視点から物事を見ることを意識することで、自分を客観的に見つめられるようになりました。近くで“もう一人の自分”が見てくれているような感覚で、考えすぎたり不安になったりしたときでも、落ち着いて受け止められるようになりました。
以前は「緊張してはいけない」と考えていましたが、今は必ずしも緊張が悪いものだとは思っていません。「自分は今、緊張しているんだな。じゃあどうしたらいいのかな」と前向きに考えられるようになりました。緊張さえもポジティブに捉えられるようになったことは、大きな変化だと思いますし、休養期間を経て得られた新しい視点の一つだと感じています。
-自分を客観的に見られるようになったきっかけを教えてください。
三原さん:16歳のころ、氷に乗ることができなくなった期間があり、どこからも光がない、真っ暗な小さな空間にいたような感覚になったときです。応援のお手紙やたくさんの温かいお言葉をいただきました。そこから少しずつ差し込む光を感じて、思考の転換もできるようになったのかなと思います。
-レジリエンスの知見を、どのように学生や競技現場に活かしていきたいですか。
三原さん:私自身の経験から、マイナスの状態から急にプラスの状態になることはむずかしいのかなと感じています。一歩一歩前に進んでいくプロセスがあることで、少しずつ良いサイクルが生まれていくのではないかと思います。現在は、その思いとともに研究を進めているところです。
フィギュアスケート部の監督としても、レジリエンスの学びを活かしたいと考えています。春の大学生の試合の際に、緊張で身体が固くなっていた後輩に、リラックスできるよう声をかけました。すると表情も少しずつ和らぎ、「心強かった」と言ってくださり、素敵な笑顔で滑ってもらえたことがうれしかったです。


KONAN-PLANET 記者
自身で振り付けもされています。今後取り組みたいことはありますか。
三原舞依さん
7月に開催されたシスメックス神戸アイスキャンパスのイベントでは、かおちゃん(坂本花織選手)と一緒にグループナンバーの振り付けをしました。また、大学の後輩の編曲や振り付けもさせていただきました。
音楽に合わせたポーズや見せ場を考えたり、「この音に合わせてこう魅せると素敵かな」と試行錯誤したりする時間もとても楽しいです。スケーターさんとコミュニケーションを取りながら、得意な滑りや素敵な表現を引き出し、その方らしい魅力が輝く瞬間を見つけたいと思っています。
これから振付師としての経験も積み、音楽の世界観を表現できるプログラムや、スケーターの魅力をより引き出せるプログラムを作っていけるよう、もっと自分のスケートにも磨きをかけていきたいです。
-アスリートへのインタビューにも取り組まれる予定ですが、これまでの経験をどのように生かしていきたいですか。
三原さん:レジリエンスの研究でも感じているのですが、一つの考え方やプロセスが全ての人に当てはまるわけではないと思っています。だからこそ、その方ならではの経験や考え方を大切にしながら、お話を伺いたいです。
一つ一つの言葉の中に、その人が積み重ねてきた学びや気づきが込められているのかなと思っています。私自身、言葉の大切さを実感することが多かったこともあり、さまざまな場面で心に寄り添える言葉や、前向きになれる考え方についても聞いていきたいです。
-最後に、これからについて聞かせてください。
三原さん:これまでの経験を、スケートや研究者としての進化に活かしたい思いがあるのですが、どの道に進むかはまだ決めていません。今は、多くのことを学び、たくさん学んで経験を積みながら歩んでいきたいです。
また、これまで支えてくださった方々への感謝の気持ちを、アイスショーなどスケートを通してお伝えしていきたいと思っています。そして講演会などでも、誰かの光となれるように一つひとつの思いや言葉も大切にお伝えすることができたらと思っています。

KONAN-PLANET 記者
「誰かの光になれたら」。インタビューを通じて繰り返し語られ、その原動力となっているのは、これまで支えてくれた人たちへの感謝の気持ちです。
競技者として培ってきた経験、研究を通じて得た知見、そして指導者としての学び。その姿がこれからも多くの人に勇気を届けてくれることでしょう。
次回は、そんな三原さんの新たな挑戦の一つであるアスリートへのインタビュー企画を掲載!
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◆「三原舞依のマイ・レジリエンス」
甲南ブランド・ナビゲーター三原舞依編
