天皇杯でJリーグのチームに劇的勝利!
2回戦でもJ1相手に大健闘。 プロにも通用する甲南サッカーの強さに迫る!

NEWS!『甲南人』の活躍 > スポーツ
2024.7.21
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一昨年は2部降格となりながらもヴィッセル神戸の元選手である竹口清一監督を迎え、わずか1年で1部復帰を果たした甲南大学サッカー部。その勢いのまま25年ぶりの天皇杯出場を決め、一回戦ではJ3のツエーゲン金沢をPK戦の末に撃破。2回戦でもJ1の湘南ベルマーレ相手に後半80分まで1-1と互角の試合を展開し、1-3で敗れはしましたが、スコア以上の実力をトッププロに見せつけました。甲南大学サッカー部は、いままさに全国レベルの強さに成長しています。そんなチームから5人の選手たちに加え、竹口監督にもお話を伺い、天皇杯を振り返りつつ強さの秘訣や今後について語ってもらいました。

 

 

 

すぐれたキャプテンシーで

チームとディフェンスライン

統率するDF當麻颯選手。

 

天皇杯の2試合どちらでも

プロ相手にゴールを決めた

FW清水健生選手。 

 

金沢戦でPK勝利の立役者

なるなどまさに守護神である

GK板敷洸大選手。 

 

チームの10番を背負い

テクニックと運動量で攻守を

支えるMF泉彩稀選手。 

 

2回生ながらリーグ戦で

活躍し大舞台のスタメンに

選ばれたMF森勇聖選手。 

 

 

自分たちのサッカーを信じて闘い抜いた全国が注目する大舞台。

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
天皇杯の2試合、トッププロを相手に真剣勝負を戦って、どんな感想でしょうか。

金沢戦は思っていたよりボールを持てて、自分たちのやりたいサッカー、攻守にアグレッシブなプレッシングサッカーができました。 前半早い時間にセットプレーで失点してしまいましたが落ち込むことなく、後半の良い時間帯で同点に持ち込めて、このままもしもPK戦になったとしても板敷が止めてくれると信じて戦っていました。
當麻選手
當麻選手
あのPK戦については、とにかく止めてやるぞという気持ちでしたね。自信があるとかではなく、とにかく止めればみんなに褒めてもらえるな、なんて考えていました。そしてPKストップした瞬間、最初にチームのみんなの大喜びしている姿が目に入ってきて。それが、なによりも嬉しかったです。
板敷選手
板敷選手
次の湘南戦は、前半特に攻め込まれている時間が長かったんですが、それでも全員で守ってカウンターを狙っていく展開でした。最少失点で前半を終えれば、後半に必ずチャンスはくると。実際、後半開始すぐ、金沢戦に続いて清水が同点にしてくれましたしね。
當麻選手
當麻選手
J1チームが相手だけにリズムのつかみにくい試合でしたけど、自分たちのやりたいことをしっかりできる時間帯もありました。終盤に実績のあるフレッシュな選手をどんどん投入されて結果的には負けてしまいましたけど手応えはありましたね。ストライカーとして1試合1点は決める、というのはリーグ戦でも意識していることですが、プロ相手に得点できたというのはやはり自信になりました。
清水選手
清水選手

 

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
甲南大学サッカー部は着実に強くなっていると感じますが、選手視点ではどうでしょう。

かつての甲南は、一度失点してしまうとずるずる複数失点してしまう試合が多かったような気がします。けれどいまは、たとえ失点しても崩れたりしない。逆に追いついて、逆転するぞという勝負強さが身についてきたと思います。チーム全体で勝ちにこだわっている感じがしますね。
泉選手
泉選手
そうですね、選手のみんなを見ていても、切り替えがすごく早い。僕は2部降格からチームをリビルドしているときに加入したんですけど、試合でも練習でもスイッチのオンオフが素早くて、だからチームとしてすごく引き締まって見えるんです。そういうサッカー選手としての意識の高さをいつも感じています。
森選手
森選手
2部降格という逆境のなかで竹口監督が就任されてコーチも増えて、練習の質と強度が一段と高くなったと思います。全国で勝てるチームになるための基準が求められて、そこに応えるためチーム全員が一丸になれているなと。
當麻選手
當麻選手

 

 

 

 

絶対に未来を変える決意と、チームの団結力が強さの秘密。

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
甲南大学サッカー部の強みというか、魅力はどんな点だと思いますか。

これは柳川前監督の頃からですけど「観ている人を勇気づけられるサッカー」を目指していることです。いまは3-4-2-1という大学サッカーではめずらしいシステムを採用しているんですけど、とにかくチーム全体で守備も攻撃もする全員サッカーを目標にしている。天皇杯の湘南戦でも、テクニック面では正直勝てないにしても、メンタル面では絶対に負けなかった。これが他の大学にない強みだと思います。
清水選手
清水選手
このチーム、特に4回生には個性の強い選手が多くて、その背中がみんなを引っ張ってくれています。たとえば當麻キャプテンは無失点へのこだわりがすごくて、その気持ちが全面に出たプレーにみんなが刺激される。だから一致団結した守備ができている。あと試合を観にきた人によく言われるのは「みんな楽しそうにプレーしている」ということですね。このムードの良さは甲南大学サッカー部の魅力だと思います。
泉選手
泉選手

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
昨年は守護神であるGK肝付啓人選手が肺がんにより20歳の若さでお亡くなりになりました。チームへの影響も大きかったのではないでしょうか。

肝付とは同学年で、Aチーム昇格を争うライバルでもありました。彼が亡くなる2日前にも面会にいって「絶対戻ってこいよ」と言うと「おれも頑張るからおまえらも勝ってこい」と逆に激励されました。今年の天皇杯出場は、彼のためにも本当に良かったなと。試合では、自分のユニフォームの下に肝付のユニフォームも着て出場しました。金沢戦でのGKストップも、数々のセーブも、ともに戦った彼のおかげです。肝付が亡くなった、もう一緒にプレーできないという現在の結果は変えられないけど、自分たちがサッカーとどう向きあうかによって、彼がいた甲南大学サッカー部の未来の結果は変えられると信じています。
板敷選手
板敷選手
肝付はチームのムードメーカー的な存在でもあったので、彼が亡くなったことにチームとしてショックを隠しきれませんでした。でも彼はいまも一緒に戦ってくれていると思います。試合中のすごく苦しい時間帯でも、ベンチにある彼の写真を見ると勇気をもらえたりするんです。
當麻選手
當麻選手

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
日頃の練習環境についてはどうでしょう。六甲アイランドでの活動がメインですが。

グラウンドの芝がすごく良くて、サッカーをするには本当に恵まれた環境です。室内のトレーニングルームも充実していて、そこでメニューに沿った筋トレも行えますしね。甲南大学サッカー部が結果を出せているのは、このすばらしい練習環境のおかげもあると思います。
泉選手
泉選手
キーパーは別メニューで練習することが多いんですけど、そのときにいつも感じるのは、この環境を共有するチームの連帯感です。自分がゴール前を使ってしまうとBチームやCチームの練習ができなくなることもあるのに、みんな自主的に協力してくれる。カテゴリーに関係なく、みんなでひとつのチームだという意識を感じますし、常に感謝もしています。
板敷選手
板敷選手
OB・OGの方々の支援もすごいですよね。連戦の過密スケジュールのときは疲労軽減のアミノ酸食品を差し入れてくださったり、遠征では費用を寄付してくださったり、日頃からきめ細かく熱心にサポートしてくれます。もちろん毎試合観戦や応援もしてくださって、サポーターとしてもチームを支えてくれています。
森選手
森選手

 

 

 

 

 

全国出場から全国常連へと、

さらに目標を高く掲げて強くなる。

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
25年ぶりの天皇杯出場でしたが、今後の目標はありますか。

まずは関西学生サッカーリーグの1部に定着していくこと。さらに全国大会出場を目標にするだけでなく、全国常連校になることですね。レベルの高い選手がどんどん入ってきていますし、もっと未来を考えた目標を設定し、達成していかなければと感じています。
清水選手
清水選手
僕が入学したときから、関西で優勝して全国に出場するというのはずっと言われていた目標でもあります。これについては全日本大学サッカー新人戦へ出場し、創部初の決勝トーナメント進出で3位になれましたし、今回の天皇杯でも歴史を塗り替えることができました。このまま全国での常連になっていきたいですね。
泉選手
泉選手
これまで先輩たちがしっかりと甲南サッカーの基準というものを押し上げていってくれて、僕たち下級生の選手にもかけがえのない経験をさせてくれています。この経験を活かしてさらに成長し、全国に名を知らしめる、誇りを持てるチームになることが目標だと思っています。
森選手
森選手
甲南大学サッカー部は、いまよりももっともっと強くなれると思います。だからこそ、自分たち4回生が残りの現役期間でも結果を出し続けて、後輩たちにしっかりバトンを渡していきたいですね。
板敷選手
板敷選手
天皇杯2回戦までいったのは甲南初ではありますけど、総理大臣杯にはまだ出場したことがありませんし、泉や森にはチームの記録をどんどん更新していってもらいたい。目の前の一戦一戦も大切ですけど、来年、再来年と、長期的に成長していってほしいですね。
當麻選手
當麻選手

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
そういう意味では毎年新たな戦力が加入しますが、どんな選手に入部してほしいですか。

甲南大学でのキャンパス生活には楽しいことがいっぱいあります。でも、それだけに誘惑も多いんですよね。選手として誘惑に負けないためにも「なによりもいちばんサッカーが好き」と言える選手に来てもらいたいです。
清水選手
清水選手
これからどんどん強くなっていくためにも、やはりしっかりとサッカーの上手い人が増えると良いですし、そういう人たちが選ぶべき、集まるべきチームになっていくと思います。
板敷選手
板敷選手
僕としても、より高いレベルを要求してくるような人に入部してほしいですね。そうしてライバルが増えれば増えるほど自分もチームも士気が上がると思うので。
森選手
森選手
たしかにライバルになるような人にどんどん入ってきてほしいですね。たとえ自分のポジションを脅かすような選手であっても大歓迎です。
泉選手
泉選手
甲南大学サッカー部というのは、昔から選手主体のクラブです。練習も、マネジメントも、常に全員で主体的に行動して活動しています。これは甲南大学の教育方針にも通じるんですが、やはり自分で考えて自分から動ける人に来てほしい。学園100年の歴史を自分の行動で変えるんだという熱意のある人に入部してほしいですね。
當麻選手
當麻選手

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
どうもみなさん今日はありがとうございました。今後の活躍にも期待しています!

 

 

 

 

チームの気持ちを奮い立たせた寄せ書きメッセージ!

 

天皇杯で1回戦を勝利し2回戦へと進んだチームのために、キャンパスでは学生や教職員による寄せ書きが実施されました。たくさんの応援を受け取った選手たちから、ここで感謝のメッセージをいただきました。

 

 

湘南戦への移動前日に観たんですけど、ほんとにいろんな人が応援メッセージ書いてくれて、めちゃくちゃ力になりましたし、改めてみんなで頑張ろうという気持ちになりました。
當麻選手
當麻選手
天皇杯という特別な大会だからだと思いますが、いつもあまりサッカーを見ない人でも関心を持つきっかけになったのかなと。そうだとしたら大きな変化を起こせたと思います。
清水選手
清水選手
ほんとに多くの人がメッセージを書いてくれて、応援してくれているのが嬉しかったです。相手がJ1チームだろうと、絶対に負けずに頑張ろうっていう気持ちになれました。
板敷選手
板敷選手
一面にびっしりメッセージが書いてあって、応援してくれる気持ちがすごく伝わりました。天皇杯は終わりましたが、これからもこの期待に応えるため結果を出していきます。
泉選手
泉選手
僕は寄せ書きを書いてくれる場所に立ち会ったんですけど、いろんな人から口々に応援してもらえて。なんだか大学生になっても「青春」ってあるんだなと感動しました。
森選手
森選手

 

 

 

竹口監督が語る、甲南サッカーの変化と進化。

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

 

天皇杯を戦った感想と、

この戦いから得たものがあればお教えください。

 

竹口監督

 

まずは天皇杯出場決定後、壮行会の開催や寄せ書きなど、大学を挙げて甲南大学サッカー部を応援していただきありがとうございました。いつもの公式戦とは異なる環境で素晴らしい相手と真剣勝負をできた経験は、学生たちにとっても、甲南大学サッカー部にとっても大きな財産になると思います。

 

天皇杯の2試合は試合展開がそれぞれ異なりましたが、金沢戦は甲南がボールを支配する時間が多く、シュート数でも相手を圧倒できました。PK戦までもつれてしまいましたが2点目が取れていれば完璧な試合内容でした。一方で湘南戦はJ1ということもありなかなかボールを奪えず守備の時間帯が長くなりました。それでもよく走り、最後のところで身体を張り、臆せず前に出ていく守備からチャンスを作れたことは取り組んできたことの成果だと思います。最終的に地力の差が出ましたがJ1チームにビハインドから追いつき、終盤まで同点で試合を進められたことはチームにとって大きな自信になりました。

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

 

天皇杯2回戦に進出できた最大の要因は何でしょう。

またチーム作りで意識したことは。

 

竹口監督

 

こうした結果を出せた最大の要因は、選手たちがハードワークを厭うことなく、最後まで諦めずに粘り強く戦えたことだと思います。その背景には日頃から献身的にチームを支えてくれるスタッフやマネージャーなどの想いがあり、それを背負ってプレーすることの重みを選手自身が自覚したからこそ持てる力を最大限に発揮できたと思います。

 

チームについては就任当初、ピッチ内外で規律が欠如していると感じる場面が多かったため部内ルールの整備をおこないました。「凡事徹底」を合言葉に、だれもが知っている当たり前のことを、だれも真似できないレベルまで徹底することを要求してきました。その結果が、先制されても追いつける粘り強さに現れてきたと感じています。

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

 

チームとして意図的に変えたこと、

または自然に変わっていったことはありますか。

 

竹口監督

 

監督就任時に要望された関西1部で優勝争いができるチーム作りのため、まずは指導体制の強化からはじめました。コーチ、フィジカルコーチを新たに招聘し、トレーナーの帯同回数も増やしました。ただ予算面からフルタイムの指導者は監督のみです。六甲アイランドの体育施設などハード面は他の強豪大学に比べて引けを取りませんが、指導体制などのソフト面はまだこれからです。

 

戦術面については、チームとして大枠のプレーモデルはこちらで決めて、シーズン開始のミーティングで全体に伝えています。カテゴリーが違えば選手の特徴や個性も変わってくるので、チームの最大値が出せるようディティールは各チームの担当者に任せています。各カテゴリーで担当コーチや学生スタッフが責任を持って粘り強く指導し、Bチーム以下も公式戦で結果が出せるようになってきました。あと昨年からフィジカルコーチの指導のもとAチームは週2回、曜日と時間を決めて筋トレを実施しています。すでに学生たちの身体つきにも変化が生まれ、1部リーグでもフィジカル面は互角以上に渡りあえるようになってきました。

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

 

指揮者として、特に苦労された点はありますか。

 

竹口監督

 

苦労と言えるか分かりませんが、いまも悩むのは「学生主体」という言葉の難しさです。学生に任せきりだと停滞しますし、リードし過ぎてもやらされている感が勝って指示待ちになってしまう。学生たちにはできるだけ「指示」ではなく「情報」を伝えるようにして、自分たちが決定して組織を動かしている実感を持ってもらいたいのですが、そのバランスが難しい。いまも模索中で、最適解をいつも自問自答しています。

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

甲南大学サッカー部の強みと今後の課題は何でしょうか。

 

竹口監督

 

甲南大学サッカー部の強みは「人」だと思っています。真面目でポテンシャルの高い選手が多く、チームのために動くことができる学生スタッフも多く在籍しているのは強みです。

 

その一方で、詰めの甘さが出てしまうところは課題です。ある程度で満足して妥協するメンタリティーは払拭しなくてはいけません。「甘え」「妥協」といった勝つためのマイナス要因を学生たちが自ら排除していけるかどうか。練習で手を抜く選手がいたら、自然と周囲から置いていかれるような状況が必要です。そうすれば頑張っている選手が報われるし、チャンスをもらえるようになる。つまりみんなが頑張るという循環になるので、そうなるようなマネジメントを心掛けています。

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

今後の甲南大学サッカー部が進んでいく目標をお聞かせください。

 

竹口監督

 

勝つことはもちろんですが、活動目的である「甲南大学体育会サッカー部に関わるすべての人に勇気を与えるチームになる」を体現すべく、チームも人も成長する組織を作りあげたいと思っています。

 

チーム内のルール化を進めたと言いましたが、最終的にはモラルをチーム内に浸透させることが目標です。元サッカー日本代表監督の岡田武史さんが「モラルが定着するチームが強くて良いチーム」と言われていました。例に挙げられていたのは、グラウンドをランニングする時に角をショートカットして内側を走る選手と外側を走る選手がいた場合、「ラインに沿って外側を走ること」と決めるのがルール化で、「ちゃんと外側を走ろうぜ」と選手間で言える環境がモラル化だと。チームが強くなるのは後者であり、それを伝えるのが監督の役目だと考えています。 天皇杯は終わってしまいましたが、また学生たちと一緒にいままで見たことのない素晴らしい景色を見られるよう、次はインカレ出場を目指してこれからも全力で取り組んでいきます。

 

 

 

竹口 清一監督 プロフィール

 

■選手歴

ヴィッセル神戸ユース

ヴィッセル神戸

TDKSC

アルテ高崎

■指導歴

ヴィッセル神戸サッカースクール

ヴィッセル神戸伊丹U-15

ヴィッセル神戸U-15

ヴィッセル神戸U-18

甲南大学 体育会サッカー部(2023.1~現在)

 

 

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