
天皇杯でJリーグのチームに劇的勝利!
2回戦でもJ1相手に大健闘。 プロにも通用する甲南サッカーの強さに迫る!
2回戦でもJ1相手に大健闘。 プロにも通用する甲南サッカーの強さに迫る!
一昨年は2部降格となりながらもヴィッセル神戸の元選手である竹口清一監督を迎え、わずか1年で1部復帰を果たした甲南大学サッカー部。その勢いのまま25年ぶりの天皇杯出場を決め、一回戦ではJ3のツエーゲン金沢をPK戦の末に撃破。2回戦でもJ1の湘南ベルマーレ相手に後半80分まで1-1と互角の試合を展開し、1-3で敗れはしましたが、スコア以上の実力をトッププロに見せつけました。甲南大学サッカー部は、いままさに全国レベルの強さに成長しています。そんなチームから5人の選手たちに加え、竹口監督にもお話を伺い、天皇杯を振り返りつつ強さの秘訣や今後について語ってもらいました。
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すぐれたキャプテンシーで チームとディフェンスライン を統率するDF當麻颯選手。 |
天皇杯の2試合どちらでも プロ相手にゴールを決めた FW清水健生選手。 |
金沢戦でPK勝利の立役者と なるなどまさに守護神である GK板敷洸大選手。 |
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チームの10番を背負い テクニックと運動量で攻守を 支えるMF泉彩稀選手。 |
2回生ながらリーグ戦で 活躍し大舞台のスタメンに 選ばれたMF森勇聖選手。 |
自分たちのサッカーを信じて闘い抜いた全国が注目する大舞台。







絶対に未来を変える決意と、チームの団結力が強さの秘密。







全国出場から全国常連へと、
さらに目標を高く掲げて強くなる。










チームの気持ちを奮い立たせた寄せ書きメッセージ!
天皇杯で1回戦を勝利し2回戦へと進んだチームのために、キャンパスでは学生や教職員による寄せ書きが実施されました。たくさんの応援を受け取った選手たちから、ここで感謝のメッセージをいただきました。
竹口監督が語る、甲南サッカーの変化と進化。
KONAN-PLANET 記者
天皇杯を戦った感想と、
この戦いから得たものがあればお教えください。
竹口監督
まずは天皇杯出場決定後、壮行会の開催や寄せ書きなど、大学を挙げて甲南大学サッカー部を応援していただきありがとうございました。いつもの公式戦とは異なる環境で素晴らしい相手と真剣勝負をできた経験は、学生たちにとっても、甲南大学サッカー部にとっても大きな財産になると思います。
天皇杯の2試合は試合展開がそれぞれ異なりましたが、金沢戦は甲南がボールを支配する時間が多く、シュート数でも相手を圧倒できました。PK戦までもつれてしまいましたが2点目が取れていれば完璧な試合内容でした。一方で湘南戦はJ1ということもありなかなかボールを奪えず守備の時間帯が長くなりました。それでもよく走り、最後のところで身体を張り、臆せず前に出ていく守備からチャンスを作れたことは取り組んできたことの成果だと思います。最終的に地力の差が出ましたがJ1チームにビハインドから追いつき、終盤まで同点で試合を進められたことはチームにとって大きな自信になりました。
KONAN-PLANET 記者
天皇杯2回戦に進出できた最大の要因は何でしょう。
またチーム作りで意識したことは。
竹口監督
こうした結果を出せた最大の要因は、選手たちがハードワークを厭うことなく、最後まで諦めずに粘り強く戦えたことだと思います。その背景には日頃から献身的にチームを支えてくれるスタッフやマネージャーなどの想いがあり、それを背負ってプレーすることの重みを選手自身が自覚したからこそ持てる力を最大限に発揮できたと思います。
チームについては就任当初、ピッチ内外で規律が欠如していると感じる場面が多かったため部内ルールの整備をおこないました。「凡事徹底」を合言葉に、だれもが知っている当たり前のことを、だれも真似できないレベルまで徹底することを要求してきました。その結果が、先制されても追いつける粘り強さに現れてきたと感じています。
KONAN-PLANET 記者
チームとして意図的に変えたこと、
または自然に変わっていったことはありますか。
竹口監督
監督就任時に要望された関西1部で優勝争いができるチーム作りのため、まずは指導体制の強化からはじめました。コーチ、フィジカルコーチを新たに招聘し、トレーナーの帯同回数も増やしました。ただ予算面からフルタイムの指導者は監督のみです。六甲アイランドの体育施設などハード面は他の強豪大学に比べて引けを取りませんが、指導体制などのソフト面はまだこれからです。
戦術面については、チームとして大枠のプレーモデルはこちらで決めて、シーズン開始のミーティングで全体に伝えています。カテゴリーが違えば選手の特徴や個性も変わってくるので、チームの最大値が出せるようディティールは各チームの担当者に任せています。各カテゴリーで担当コーチや学生スタッフが責任を持って粘り強く指導し、Bチーム以下も公式戦で結果が出せるようになってきました。あと昨年からフィジカルコーチの指導のもとAチームは週2回、曜日と時間を決めて筋トレを実施しています。すでに学生たちの身体つきにも変化が生まれ、1部リーグでもフィジカル面は互角以上に渡りあえるようになってきました。
KONAN-PLANET 記者
指揮者として、特に苦労された点はありますか。
竹口監督
苦労と言えるか分かりませんが、いまも悩むのは「学生主体」という言葉の難しさです。学生に任せきりだと停滞しますし、リードし過ぎてもやらされている感が勝って指示待ちになってしまう。学生たちにはできるだけ「指示」ではなく「情報」を伝えるようにして、自分たちが決定して組織を動かしている実感を持ってもらいたいのですが、そのバランスが難しい。いまも模索中で、最適解をいつも自問自答しています。
KONAN-PLANET 記者
甲南大学サッカー部の強みと今後の課題は何でしょうか。
竹口監督
甲南大学サッカー部の強みは「人」だと思っています。真面目でポテンシャルの高い選手が多く、チームのために動くことができる学生スタッフも多く在籍しているのは強みです。
その一方で、詰めの甘さが出てしまうところは課題です。ある程度で満足して妥協するメンタリティーは払拭しなくてはいけません。「甘え」「妥協」といった勝つためのマイナス要因を学生たちが自ら排除していけるかどうか。練習で手を抜く選手がいたら、自然と周囲から置いていかれるような状況が必要です。そうすれば頑張っている選手が報われるし、チャンスをもらえるようになる。つまりみんなが頑張るという循環になるので、そうなるようなマネジメントを心掛けています。
KONAN-PLANET 記者
今後の甲南大学サッカー部が進んでいく目標をお聞かせください。
竹口監督
勝つことはもちろんですが、活動目的である「甲南大学体育会サッカー部に関わるすべての人に勇気を与えるチームになる」を体現すべく、チームも人も成長する組織を作りあげたいと思っています。
チーム内のルール化を進めたと言いましたが、最終的にはモラルをチーム内に浸透させることが目標です。元サッカー日本代表監督の岡田武史さんが「モラルが定着するチームが強くて良いチーム」と言われていました。例に挙げられていたのは、グラウンドをランニングする時に角をショートカットして内側を走る選手と外側を走る選手がいた場合、「ラインに沿って外側を走ること」と決めるのがルール化で、「ちゃんと外側を走ろうぜ」と選手間で言える環境がモラル化だと。チームが強くなるのは後者であり、それを伝えるのが監督の役目だと考えています。 天皇杯は終わってしまいましたが、また学生たちと一緒にいままで見たことのない素晴らしい景色を見られるよう、次はインカレ出場を目指してこれからも全力で取り組んでいきます。
竹口 清一監督 プロフィール
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■選手歴
ヴィッセル神戸ユース ヴィッセル神戸 TDKSC アルテ高崎 |
■指導歴
ヴィッセル神戸サッカースクール ヴィッセル神戸伊丹U-15 ヴィッセル神戸U-15 ヴィッセル神戸U-18 甲南大学 体育会サッカー部(2023.1~現在) |