ゲストハウスから日本茶、保育園まで!?
独自の美意識と感性で日本に、世界に、新しい風を吹き込む!

NEWS!『甲南人』の活躍 > カルチャー
2023.3.20
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ゲストハウスの経営にはじまり、 日本茶ブランドの企画・輸出販売事業、さらには保育園運営へ。 甲南大学法学部卒業後、次から次へと さまざまな分野に新風を吹き込んでいる澤田修司さん。 日本の伝統文化を現代的センスで継承し、 新たな価値を創造するという独自のコンセプトを持つ事業は、 その大胆な挑戦はどんな考えや生き方に支えられているのか。 澤田さんの事業への思いや未来の展望に迫ります!!

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

澤田さん、今日はよろしくお願いします!

 

 

 

 

澤田修司 さん

 

よろしくお願いします。

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

澤田さんは、ゲストハウスの経営を発端に多岐にわたる事業を展開されています。

起業したきっかけはなんだったのでしょう。

 

 

世界を旅して見つけた、ゲストハウスという可能性

 

 

実家が商売を営んでいたこともあり、大学時代から自分で事業をやりたいと思っていました。大学時代、バックパッカーで海外を旅行した時に海外の人とのコミュニケーションが楽しく、ゲストハウスを利用した経験から自分でもゲストハウスを運営したいなと思うようになりました。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

なるほど!大学時代から計画されていたのですね

卒業後、すぐに実現に向けて動かれたのですか?

 

 

 

澤田修司 さん

 

大学卒業後は新卒で大手広告代理店に入社しました。事業を立ち上げるには資金が必要でしたし、一度は企業で働いてみたかったんです。ゲストハウスの経営にも役立ちそう、という思いもありました。2年ほど広告代理店でテレビCM制作などに携わりながら準備を進めて、目途が立った段階で退職し、2014年夏、24歳で京都にゲストハウス1号店をオープンさせました。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

ゲストハウスの経営はどうでしたか?

 

 

 

 

 

澤田修司 さん

 

1年目から稼働率95%の黒字経営でした!

自分でベッドメイクをして、朝ご飯を作って・・・というところからスタートしましたが、ちょうど外国人旅行者が増え始めたタイミングで、京都市内にゲストハウスが30件ほどしかなく競合もいなかったんです。

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

世間の時流をうまく捉えたわけですね!

 

 

 

澤田修司 さん

 

けれども2年目からは「民泊」という言葉が出始めて、ゲストハウスだけではリスクが高いと判断し、ゲストハウスの運営と平行して古民家の高級一棟貸しを始めました。一泊2、30万円の宿ですが海外の富裕層をターゲットにしたおかげで稼働率も好調で、最終的には15棟の町屋を宿泊施設としてリノベーションしました。京都市では町屋の相続問題が深刻で、空き家の活性化事業の一環として取り組めたことも追い風になりましたね。現在、ゲストハウス事業は別法人で運営を続けています。

 

 

 

 

日本茶事業について

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
ゲストハウス、町屋の一棟貸し・・・
そこから、なぜ日本茶の世界へ?

 

 

実家が畳屋だったので、1階に職人さんがいて、2階で僕たち家族が暮らす、という生活でした。いつもい草の香りがして、食後のお茶も日本茶が出てくるような家庭でしたので、日本の文化やお茶の文化が、いつも身近にありました。事業を始めるきっかけとなったのは、後に仕事のパートナーとなる茶師と出会ったことです。彼に淹れてもらったお茶が、衝撃的においしくて心から感動して…そこから日本茶に興味が湧き、ゲストハウス事業と同じタイミングで日本茶の輸出事業を始めました。
澤田修司 さん
澤田修司 さん

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
ゲストハウスも日本茶も、澤田さんが感動したことをきっかけに、ビジネスが始まっている印象です。

 

 

本当はダメなんですけど、収益計算は後から考えます(笑)。ゲストハウスで海外にあるものを日本に持ってきて売れたという成功体験があったので、今度は逆に日本のものを海外に輸出したらどうだろう、と考えました。海外の人たちにとって日本文化はスペシャルな存在。そんな彼らに本当においしいお茶を提供すれば、ビジネスとして成功すると確信しました。正直なところ日本茶は斜陽産業ですし、知り合いの農家さんは80歳以上の方も多く高齢化も進んでいます。このミスマッチを突けば、勝機があると思ったんです。
澤田修司 さん
澤田修司 さん

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
日本文化を海外に輸出する、という発想なんですね。
どのように輸出しているのでしょう。詳しく教えてください。

 

 

 

茶葉は納得のいく品質を求めて茶師と一緒に全国を回り、農家さんから直接仕入れています。国内で販売すると宇治や八女など産地が重要になりますが、海外向けなので各産地の茶葉をブレンドして「日本茶」として輸出。最も売れるのはアメリカで、続いてフランス、中国の順ですね。一番高いものは抽出したお茶が720mlで120万円くらいしますが、それも年間30本くらいは出ます。全国の高級茶を扱っているので、国内でも北新地の高級料亭や寿司店、星付きのレストランにも卸しています。

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
そんなに高いお茶が売れるとは驚きです!
事業化において苦労などありませんでしたか。

事業を始めた頃は農家さんと信頼関係を築くことが難しかったのですが、農作業のお手伝いをしたりして少しずつ認めてもらえるようになりました。今もゴールデンウィークは各地で茶摘みを手伝います。海外に輸出するときに苦労するのは「水」です。水が違うとお茶の味も変わるので、輸出先で一番人気のある水を取り寄せ、その水に合う茶葉をブレンドするようにしています。将来的には、現地で茶葉を作ってブレンドする「地産地消」を目指しています。
澤田修司 さん
澤田修司 さん

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
澤田さんが考えるお茶の魅力とは何でしょう。

 

僕はお茶を毎日淹れますが、まさに「一期一会」で同じ味になることがありません。時間の区切り、一日の始めなど、しっかり丁寧にそこだけに向き合うツールとして、お茶はとても有効だと思いますね。僕は有名ホテルの食後の飲み物の選択肢に日本茶がないことに、とても違和感がある。紅茶や珈琲と同じように、日本茶がリストに並ぶ日が来るといいですよね。また、ゆくゆくは、ワインのようにそれ自体に意味のある飲み物にしていきたいと思っています。
澤田修司 さん
澤田修司 さん

 

 

保育園事業について

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
2017年からは保育園の運営も始められましたね。

 

保育園の運営は未来投資事業として上本町からスタートしました。2018年には京都に、2021年には大阪・靭本町に保育園を開業しました。きっかけは子どもが生まれたことです。妻も会社の経理を担当していたので保育園に預けようとなったのですが、認可保育園に入れなかった・・・それなら、保育園をつくればいいかと(笑)。
澤田修司 さん
澤田修司 さん

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
こちらも収益は度外視だったのですか?

そうですね。社会経済において企業の判断軸の中心はやはり「お金」だと思うのですが、僕の人生観ではお金より「美しいかどうか」「心が動かされるかどうか」を中心に事業をしていきたいという思いがあります。ですから、ほとんどの事業で収益計算をせずに「なんとかなるやろう」という精神でやっています。
澤田修司 さん
澤田修司 さん

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
保育園事業で澤田さんが大切にしていることは何ですか。

 

 

保育方針には、子どもを可能性に満ちた存在として尊重し主体性を育む教育理念に共感し、イタリアで生まれた「レッジョ・エミリア・アプローチ」を採用しています。保育士の先生方は、あくまでもサポーター。子どもたち自身が考え、話し合う中で、世界に通用するコミュニケーション力を身につけながら成長してほしいと思います。
澤田修司 さん
澤田修司 さん

子どもの時代も「美意識」が勝ち筋だと思う。
また、子どもたちがどう感じるかを大切にしています。例えば、壁紙は和紙に土を混ぜたものを作家さんにお願いして作ってもらったり、木材は無垢の木を使ったり。無垢の木だと、落書きをしても子どもたちがヤスリをかければ、きれいな木が現れる。「木の中に木がある!」というような、工業製品では得られない体験や美しさの価値基準を伝えたいですね。子どもの豊かな未来を創る上で、保育士の人材育成と労働環境の改革が必要との思いから、2022年11月に保育業界専門の転職支援サービス「保育のカタチ」もスタートさせました。
澤田修司 さん
澤田修司 さん

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
次から次へ事業を広げられている澤田さんですが、
小さい頃はどんなお子さんだったのでしょう。

 

僕は小さい頃から変なことばかりする異端児でした(笑)。そのせいで小学校時代は、いじめられたこともあります。いつも何となく生きづらさを感じていた僕にとって甲南の空気感は、すごく心地よかった。初めて伸び伸びと学ぶことができました。また、企業の経営者には、甲南出身の方が多いんです。みなさん、ファミリー感が強くて(笑)親身にアドバイスしてくださったり、集まりに招いてくださったり…「甲南ファミリー」の絆に支えられています。
澤田修司 さん
澤田修司 さん

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

甲南大学の卒業生のネットワークは心強いですね!

最後に、澤田さんの今後のビジョンを聞かせてください。

 

 

 

澤田修司 さん

 

企業には利益の確保が不可欠ですが、

それを最優先にするのでなく、

僕たちが美しいと思うものや心動かされるものを事業化したい。

そうして、新たな価値基準を創造していきたいと思います。

 

 

 

 

 

日本文化を愛し、独自の美意識と大胆なチャレンジで

次々と新たな価値を生みだす澤田さん。

その経営センスとアーティスティックな感性が描き出す未来に、

これからも期待です!!

 

 

 

株式会社シェンゲン 代表取締役

澤田 修司さん

2013年、法学部卒業。大手広告代理店を経て独立し、ゲストハウス経営、日本茶ブランドの企画・輸出販売事業、保育園運営などを手掛ける。プライベートでは、3人の子どもの朝食から送迎までこなす良きパパ。朝一杯のお茶を淹れ、花を生ける「静」の時間と、四国まで車を走らせサーフィンを楽しむ「動」の時間をバランスよく楽しみ、仕事のエネルギーに変えている。

 

 

 

 

学園広報誌『KONAN TODAY No.63』でも

澤田さんのインタビューを掲載しています。

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