私たち学生コーディネーター「なんティア」は、大学内の教授・職員と連携しながら、学生と地域を繋ぐために企画・運営や情報発信に取り組んでいる学生団体です。活動4年目を迎えた今年は、①「ボランティア活動に関心がある甲南大生の一歩踏み出すきっかけを増やす」、②「ボランティアコーディネーション力を高める、③「メンバー間の関わりを深める」の3つを目標として掲げ、1年間活動に取り組みました(図1)。3つの目標をふまえて、今年度を振り返ります。
【図1】年間の目標決めの様子(2024年4月10日撮影)
◆甲南大生のはじめの一歩を踏み出すきっかけを目指して
目標①の「ボランティア活動に関心がある甲南大生の一歩踏み出すきっかけを増やす」の評価指標は、各アンケート調査結果にて、「今後、ボランティア活動に参加してみようと思う」70%以上、「実際にボランティア活動に参加した」と回答する割合が30%以上をめざすという目標を設定しました。
地域のNPOを招いて甲南大生がボランティア活動先を探す「CHIIKI×GAKUSEI マッチングイベント」の参加者アンケートの結果によると(回答数:22、回収率100%)、「本イベントを通じて、団体の活動に興味を持ち、参加してみたいと思った団体はありましたか」との設問に「団体活動に興味を持ち、参加してみたい団体を見つけた」と21人(95.5%)が回答しました。
次に、コーディネーションチームによる「イベント型ピア相談」、および、企画チームによる「あなたの初めてのボランティア活動をサポートします!」のアンケート結果によると、「あなたは今後もボランティ活動に参加したいと思いますか」の設問には、企画チームのアンケート(対象者:3人、回答数:3人、回収率100%)で「ある程度そう思う」と3人が回答し、コーディネーションチームのアンケート(対象者:1人、回答数:1人、回収率:100%)では「そう思う」と1人が回答しました。
また、初めての試みとして、なんティア主催のイベント参加者を対象に、その後のボランティア活動への参加について追跡調査を実施しました(配布数22,回答数7,回答率31.8%)。「あなたは、なんティア主催の企画に参加後、ボランティア活動に参加しましたか」の設問に対して「参加した」と7人が回答しました。
以上のことから、目標①は概ね達成できたと評価します。なんティア主催企画によって、甲南大生のボランティア活動参加を促進し、その後のボランティア参加につながっていることは高く評価できると考えています。
◆活動を通して高めたボランティアコーディネーション力
目標②「ボランティアコーディネーション力を高める」の評価指標は、学生ピア相談活動の来場者へのアンケート調査にて、指標①「学生コーディネーターの対応に「満足・ある程度満足」が70%以上」、指標②「なんティアメンバーが活動先の社会課題の理解を深め、自信をもって紹介できる活動先を2年生は1団体、3年生は3団体以上見つけて、メンバーに共有する」、指標③「ボランティアサーティフィケートの取得率が、なんティア全体で50%以上」と設定しました。
結果は、まず「イベント型ピア相談」におけるアンケート結果(配布数9、回答数7、回収率:77.8%)によると、「本イベントにおける個別ピア相談の満足度」は7人が「満足」と回答しました。またボランティア活動の共有については、「なんティア」メンバーの振り返りアンケート結果(配布数11、回答数11、回収率:100%)より、9人が「共有できた」と回答しています。自由記述では、「質問をされても、何も迷うことなく返答ができた」、「広報されている情報・自分のボランティア経験に加えて、団体の方から聞いたことも含めて伝えることができた」 と、あまり不安を感じずに応対できていることが伺えました。また、ボランティアサーティフィケートの取得率はメンバー24人中15人(62.5%)が取得する見込みです。
以上から目標②は、概ね達成することができたと評価します。学生ピア相談対応の満足度が高かったことや、ボランティア活動を紹介する研修を通して活動先について理解しているメンバーがいることから、コーディネーション力を概ね高めることができました。今後の課題は、培ったコーディネーション力を発揮できるように、学生ピア相談の利用者を増やすことや、参加者の多い「ボランティア情報展示・相談会」の回数を増やすなどが挙げられます。
◆最も力を入れたメンバー交流
昨年度は、メンバー同士が知り合う機会が不足していました。そのため、今年度はメンバーが交流できる機会を増やすために、ご飯会等の開催頻度を増やすとともに、研修でもチームを超えて交流できる機会を増やしました。
目標③「メンバー間の関わりを深める」の評価指標は、メンバーに実施する年度末のアンケート調査の結果より、「所属チーム関係なくメンバーと関わることができた」、「定例会に参加することが楽しみだった」と回答する割合がそれぞれ70%以上と設定しました。
アンケート調査の結果(回答数:20、回収率:100%)は、「所属チーム関係なくメンバーと関わることができた」は、「とてもできた」6人、「少しできた」10人で計80%が「メンバーとの関わりを持てた」と回答しました。また「定例会に参加することが楽しみだった」については、「とても楽しみだった」2人、「少し楽しみだった」14人で80%が、活動に参加することが楽しみだったと回答しました【図2】。 また自由記述は、「親睦会や食事会、ピア相談の時間で、普段チーム活動では関わることのないメンバーとも話す機会があった」、「話し合いや、意見の交流ができて、自分では思いつかないような意見を聞くことができるので定例会は有意義な時間だと思う」、「先輩方との交流や、新しいことを学べるのが楽しみでした」等の意見がありました。このことから、今年度力を入れて取り組んだ交流の場を増やすことが、目標の達成にある程度繋がったと感じます。一方で「チーム活動が本格化している時期は、他チームメンバーと関わる余裕が持てなかった」、「定例会での活動内容が多く、それまでの準備も含め、負担であった」との意見もあり、来年度以降はチーム活動が本格化しても交流できるように、年間を通じて関わる機会を作っていくことや、「なんティア」メンバーがやりがいを感じられるようにしていくことが課題であると考えています。
【図2】メンバー間の関わりに関する「なんティア」メンバーの評価
◆活動5年目に向けて
年度初めに掲げた3つの目標について、今年度はすべて概ね達成することができました。初の取り組みである追跡調査は、回答数は少ないものの、私たちが携わった企画がその後のボランティ活動に繋がったことを把握できました。また今年度は交流の場を増やすことに力を入れ、定例会はもちろんそれ以外でも交流の場を設けるようにしました。この成果は、目標③の達成に大いに貢献でき、なんティアの雰囲気がより良くなったと感じます。一方で、各チームの活動内容や学んだ社会課題、ボランティ活動の意義等の共有を増やすことが今後の課題であると考えています。今後もよりいっそう甲南大生に寄り添った学生コーディネーターとなることを目指して活動5年目も成長し続けます。
地域連携センター学生コーディネーター「なんティア」
副代表 藤本 心菜(法学部3年生)