甲南大学地域連携センター

KONAN INFINITY
24.3.4

えん罪救済プロジェクト:えん罪事件のイベントに登壇しました!

 去る2月23日、私たちはえん罪・狭山事件の支援のための集会、「第8回狭山事件の再審を実現しよう市民の集いin関西」に参加し、京都女子大学・伊藤睦教授や、他大学の学生と合同で模擬裁判を演じました。当日は京都女子大・近畿大・甲南大の学生が参加し、参加者に有罪か無罪を尋ねました。

 模擬裁判の題材は満員電車で起きた痴漢事件でした。被害者のクラスメイトとして証人尋問を受けた女子高生が、当初は被害者とはただのクラスメイトで話したことはほとんどないと証言していたにもかかわらず、尋問が進むにつれて実は被害者とは頻繁にSNSなどでやり取りをしており、事件当日は被害者から他人のふりをしてほしい、SNSのやり取りも全て取り消してほしいと言われたと証言を一転させるといったものです。真実は、被害者の女子高生が、事件当日被告人である年配の男性から、電車内でのマナーが悪いことを大声で注意されたことを恨み、痴漢の犯人として陥れようとしたというものでした。判決は無罪でした。

 痴漢が卑劣な犯罪であり許されるべきでないことは言うまでもありません。しかし同様に、してもいない犯罪で罪に問うことも絶対にあってはなりません。痴漢事件では、男性だから、中年男性だからなどの偏見から、いくら弁解してもそれを聞き入れられずに罪に問われてしまうことがあります。その人の属性を理由に、その弁解や発言の信用性を捻じ曲げてはならないはずです。

 狭山事件の石川一雄さんは、被差別部落出身者で、警察が差別意識から石川さんに見込み捜査を集中させたことが、この事件のえん罪の原因だとされています。このような差別意識や偏見に基づいた捜査が行われ、えん罪が生まれることは絶対にあってはならないと強く感じました。

 本イベントではえん罪被害の当事者・当事者の家族として、袴田ひで子さん、青木惠子さん、西山美香さんが登壇され、再審実現に向けて激励をなさっておられました。今回の模擬裁判は一つの大学だけでなく、3つの大学から学生が参加しました。えん罪被害に遭われた当事者の方々が、雪冤に向けて繋がり協力しあうように、私たち学生も、えん罪救済活動やえん罪問題の広報活動のため、大学の垣根を越えて協力しあえるような体制が作れたら良いなと感じました。今回のイベントへの参加が、その一歩になれば嬉しく思います。

 私はこの3月で甲南大学を卒業します。そのため、IPJに学部生として参加するのはこれが最後になります。この活動を通して私は、世の中にはえん罪という理不尽な不正義があること、その不正義を正すためのえん罪救済は本当に長期にわたる戦いであることを学びました。私は将来、法曹になりたいと思っています。数年後、法曹の立場からこの活動に改めて参加できるよう、精進したいと思います。そのころには、一つでも多くのえん罪が救済されていることを、強く願っています。

法学部4回生 堀田零生