兵庫県選出の参議院議員・伊藤孝江氏に、お話を伺う機会を頂きました。
伊藤議員は大阪弁護士会所属の弁護士として17年間活動され、その間にホームレス支援や刑事弁護・少年事件弁護などにも関わられたというご経歴があります。現在2期目の参議院議員として活動され、参院法務委員会の理事を務めています。当日は、国会の動きの実態や、死刑制度に関する議員連盟の活動内容、弁護士としての仕事と国会議員としての仕事の比較などについて、詳しくお話しいただきました。
講演後の質疑だけではなく、講義後も1時間以上、質疑に熱心にお付き合いくださいました。終了後は学生からの追加の質問にもメールで丁寧にお答えくださいました。
学生からの感想の一部をご紹介します(一部、表現を少し修正しています)。
[法学部教授・笹倉香奈]
・弁護士、国会議員としての両方の経験をお聞きする事ができました。現場の生の声を聞く
ことができ、貴重な経験となりました。これから法学部で学んでいく上で今回学んだこと
考えたことを大切にしていきたいと思います。
・弁護士として実務を経験された立場から見た、政治についてのお話が面白かったです。
国会議員の間でも再審の話が議論できるような土台作りに、私たちも励まないといけない
なと思いました。
・前回の参議院選挙からヤングケアラーについての取り組みをされている方との情報を得て
いて、実績やビジョンの現実性についても、立候補されていた他の立候補されていた候補
者の方と比べて素晴らしい方と印象を受けていたので、本日先生のお話を聞くことができ
てとてもいい経験をすることができました。ありがとうございました。
・死刑制度についてさらに深く考えることができました。日本は少数派の死刑存置国で、世
論でも8割が死刑支持をしています。私自信は人の命を奪ってしまった人への刑罰として死
刑はやむを得ないとも考えていますが、世界と交流していく上でこの死刑制度がネックに
なっていることを知り、さらにこのIPJボランティアでえん罪について学びその危険もある
と思うので、廃止した方がいいのかとも思ったりしています。もっと死刑制度について勉
強したいと思っています。
・現職の参議院議員である伊藤先生から政治面での問題だけでなく法制度に関する現状につ
いてもお伺いすることができました。法制度を急に変化させる事への不信感や、現行の法
制度を政治家の方々が重要視しているから改革が進んでいないという偏見を抱いていたの
ですが、そもそも法制度に関する関心を抱いている方が少ない現状が問題であると知りま
した。
・弁護士と議員の仕事は、目的が違えど共に法に従って行うものなので、似たものだと思っ
ていました。しかし、伊藤先生のお話を聞き、全く違ったものだと知りました。弁護士は
自分の正しいと思うことを論理的に主張し、相手の弱点をうまく突ければ結果を出すこと
ができます。それに対し、議員はあくまでも有権者や党の代表者です。そのため、どんな
に正しいことを主張したとしても、多数の賛成を得られなければ実行に移すことができま
せん。私は大学で模擬裁判を行ったり、IPJの活動で弁護士と関わったりすることが多かっ
たので、正しい主張で相手を説得させること大事だと思っていました。そのため、「正し
いことが全てではない」という発想が全くありませんでした。ありがとうございました。